日本雑誌協会と日本雑誌広告協会は、ビデオリサーチの協力のもと、デジタル広告効果測定調査「M-VALUE DIGITAL」を実施し、結果を公表した。
「M-VALUE DIGITAL」調査は、両協会が主体となり、広告会社3社(電通、博報堂DYメディアパートナーズ、ADKマーケティング・ソリューションズ)、ビデオリサーチ、そして、日本アドバタイザーズ協会の協力の下で、各出版社がエントリーする共同調査。「雑誌由来のWebコンテンツの価値可視化」を目的として、雑誌由来のWebコンテンツ=「出版社Webメディア」と、出版社以外のバーティカルメディアやニュースポータルなどの「一般Webメディア」を比較し、その差異を数値化することで検証した。

またアンケート調査、Webサイト訪問履歴に加え、自由記述の回答も収集することで、その差異がなぜ生まれたのかを分析している。

調査サマリー

■一般Webメディアと出版社Webメディアの違い

  1. 情報収集の意識~実用性と趣味性。求めるコトに違い~
  2. 情報源(メディア)の傾向~時短と専門性。重視するポイントに違い~
  3. 企画広告(タイアップ)の効果~潜在層にも届く、出版社Webメディア~
  4. 広告接触後の「心理変容」~体験欲求を促進する、出版社Webメディア~

■出版社Webメディアの広告効果

  1. ミッドファネル効果~コンテンツによる興味喚起~
  2. 体験促進効果~お試し意向の促進~
  3. 潜在層開拓効果(ブランディング効果)~「“次”に買いたい」の醸成~

■一般Webメディアと出版社Webメディアの違い

今回の調査では、一般Webメディアと出版社Webメディアでは、以下のような違いがあることがわかった。
1.情報収集の意識~実用性と趣味性。求めるコトに違い~
一般Webメディアのユーザーは、“生活に役立つ”実用性のある情報を求める意識が高い。
出版社Webメディアのユーザーは、“好きなコト”=趣味性の高い情報を求める意識が高い。

2.情報源(メディア)の傾向~時短と専門性。重視するポイントに違い~
一般Webメディアのユーザーは、“手早く要点を知る”情報源を好む「時短」思考。
出版社Webメディアのユーザーは、“専門性・信頼性”が担保された情報源を好む「共感」思考。

3.企画広告(タイアップ)の効果~潜在層にも届く、出版社Webメディア~
一般Webメディアのユーザーは、商品の認知・関心ありきの広告接触。顕在層に有効。
出版社Webメディアのユーザーは、商品をよく知らなくても広告接触。潜在層にもリーチ。

4.広告接触後の「心理変容」~体験欲求を促進する、出版社Webメディア~
一般Webメディアのユーザーは、広告接触後に、新たな情報を求める。
出版社Webメディアのユーザーは、広告接触後に、“お試し”意向が向上。

こうした差異を生んでいる背景を「自由回答」から探ってみると、出版社Webメディアの持つ信頼感やコンテンツ力が影響している様子がうかがえる。

<出版社Webメディアの閲読理由:自由回答>
信頼できる情報で全体的に好きな特集も多いので読むのが楽しいから。(女性34才)
参考になることが多く教科書のつもりで見ています♪(女性37才)
興味を持っている分野について深く知ることができるし、記事を読むことで自分でも気づいていなかった「好き」「知りたい」を刺激される楽しみがある。(女性40才)
自分があらゆる製品について、多角的な観点から記事にしているのが面白いと思って読んでいます。(男性48才)
プロの記事が大変に参考になる為です。今後も楽しみながら大いに学びサイトを拝見させて頂きたく思います!(男性54才)

■調査データから見えた、出版社Webメディアの広告効果

一般Webメディアと出版社Webメディアを比較して見えた複数の違いは、「閲読者とのエンゲージメントの高さ」によるものと考えられる。閲読者とのエンゲージメントが高い出版社Webメディアでは、以下3つの広告効果が期待される。
  1. ミッドファネル効果~コンテンツによる興味喚起~
  2. 体験促進効果~お試し意向の促進~
  3. 潜在層開拓効果(ブランディング効果)~「“次”に買いたい」の醸成~

1.ミッドファネル効果~コンテンツによる興味喚起~

出版社Webメディアは「商品」の事前認知が高く、訴求効果の素地が一般Webメディアより高め、“広告・記事”への好感度も高く、ミッドファネル効果が全体的に高くなっていることがわかった。
出版社Webメディアは、ミッドファネル効果が全体的に高くなっている。
(設問 Web メディア名に掲載している「××× 商品名」の広告もしくは記事について「とてもそう思う~まったくそう思わない」であてはまるものをお知らせください。)

また、広告接触前の認知レベルごとに広告効果を見た場合、「よく知らない」層=「商品理解が浅い層」におけるミッドファネル効果が、出版社Webメディアはすべての項目で、一般Webメディアを大きく上回った。

2.体験促進効果~お試し意向の促進~

広告接触による変化について、出版社Webメディアでは「お試しをしてみたい(48%)」が最も高く、一般Webメディアを16pt上回った。このことから、出版社Webメディアでの広告接触は、体験促進効果が高いと考えられる。また、次に高いのは「ブランド・サイト訪問意向(36%)」であり、ブランドに対する意識付けにも効果的な様子がうかがえた。一方、一般Webメディアは「口コミサイトを見たいと思った(36%)」が最も高く、新たな情報を求める傾向が見られる。

3.潜在層開拓効果(ブランディング効果)~「“次”に買いたい」の醸成~

広告接触した結果、一般Webメディアは全体の77.1%、出版Webメディアでは86.7%の閲読者が「購入・利用意向あり」と回答しており、出版Webメディアが一般Webメディアを上回っているが、いずれも良い結果となった。ただし「購入・利用意向がある」人たちの「購入予定時期」の割合を見てみると、一般Webメディアの閲読者は、「この広告をみて最近購入」「6か月以内」の割合が高く、出版社Webメディアの閲読者は「次に買うとき・買い替えるとき」が突出して高く4割強を占める。これは一般Webメディアに、ロコミサイトが含まれていることも少なからず影響していると考えられ、同メディアの閲読者の「いま欲しいものを探している」という傾向が強く表れた結果といえる。

一方、出版社Webメディアの閲読者は、前述の広告接触による変化において、「お試しをしてみたい(48%)」「ブランド・サイト訪問意向(36%)」が高くなっていたことを踏まえると、購入時期は、次の買い替えタイミング、もしくは未定ではあるものの、商品とブランド自体への興味喚起が実現できており、潜在層の開拓に寄与できているものと考えられる。

調査概要

調査目的:デジタル領域における出版社Webメディアの有意性(媒体価値・読者熱量)を客観性高く解明し、今後の効果的かつ効率的なプランニングに資するデータベースを構築する。
【協力広告主】50音順
アサヒビール、味の素、花王、コーセー、サントリーホールディングス、資生堂ジャパン、シチズン時計、東海旅客鉄道、パナソニック、レノボ・ジャパンほか

【プロジェクト体制】順不同
コアワーキンググループ:
小濱千丈(文藝春秋)、長崎亘宏(講談社)、古賀路(集英社)、河村英紀(小学館)、間瀬英之(マガジンハウス)、平田重遠(電通)、前川昌子(博報堂DYメディアパートナーズ)、倉重美紀(ADKマーケティング・ソリューションズ)