ケイティケイは、7月5日~6日、「SDGsに関する用語の認知度」について、全国の男女500人にアンケート調査を行った。その結果、認知度が最も高いのは「再生可能エネルギー」で、最も低いのは「ESD(Education for Sustainable Development)」であることがわかった。

近年、グローバルな社会課題を理解するための用語や、環境問題解決のための行動を促す用語が次々に登場している。それらはSDGs(持続可能な開発目標)の達成につながる用語だが、社会にはどの程度浸透しているのか。そこで同社は、全国の男女500人を対象に、SDGs関連用語がどのくらい社会に浸透しているのかインターネットアンケート調査を行った。調査結果は以下の通り。

「再生可能エネルギー」は認知度が高い

再生可能エネルギーは「内容や意味を知っている、人に説明できる」「知っているがだいたいの内容しかわからない」「内容はわからないが言葉は聞いたことがある」の回答を合わせると99%の結果となった。
電気料金のニュースから、エネルギーに関する言葉を聞く機会も多いと思われる。最近の電気料金の高騰は生活に直結する身近な問題となっているが、石炭・天然ガス・石油などの化石燃料の価格が世界情勢の影響で上昇していることが一因でもある。化石燃料への依存を見直す流れから、再生可能エネルギーを扱う企業も注目が集まっている。

「サステナブル」の内容を知っている人は70%

サステナブルは「内容や意味を知っている、人に説明できる」「知っているがだいたいの内容しかわからない」の回答を合わせると70%の結果となった。
SDGsはメディアや教育現場でも取り上げられ社会に浸透しつつある。サステナブルはSDGsのS(Sustainable)でもあり、見たこと・聞いたことがあるという人が多いようだ。サステナブルは持続可能という意味である。地球環境の持続可能性という大きな視点だけでなく、生産・経営などの分野でもサステナブルかどうかは重要な要素といえる。

「海洋プラスチック」を人に説明できる人は28%

海洋プラスチックは「内容や意味を知っている、人に説明できる」が28%となり、今回の調査対象用語の中で最も多い結果となった。
海洋プラスチックの問題については、プラスチックを餌と間違えて食べてしまい、命を落とす海の生き物のショッキングな映像が印象的だ。また、食卓にのぼる魚もプラスチックの影響を受けている、という点で日本人の食に関わる問題でもあり、関心が高いと考えられる。

「カーボンニュートラル」の内容をある程度以上知っている人は50%

カーボンニュートラルは「内容や意味を知っている、人に説明できる」「知っているがだいたいの内容しかわからない」の回答を合わせると50%の結果となった。
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量から、森林による二酸化炭素の吸収量を差し引いて、排出量を実質的にゼロにすることを意味している。気候変動問題の解決のために必要な対策であるが、言葉から内容が連想しにくいのかもしれない。

「フェアトレード」の内容や意味を知っている人は23%

フェアトレードは「内容や意味を知っている、人に説明できる」「知っているがだいたいの内容しかわからない」の回答を合わせると53%の結果となった。
フェアトレードとは、製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い生産者・労働者の人権を守る貿易の仕組みだ。チョコレート・コーヒー・綿製品などでフェアトレード商品が注目されている。

「シェアリングエコノミー」はわからない・知らない人が半数を超える

シェアリングエコノミーについて「内容や意味を知っている、人に説明できる」割合は10%の結果となった。
シェアリングエコノミーとは、場所・物・技能などをインターネットを介して個人間で貸し借り・売買することで資産をシェアしていく経済の動きを指す。カーシェア・民泊・レンタルスペース、などがその例となる。

「エシカル」を人に説明できる人は5%

エシカルは「内容や意味を知っている、人に説明できる」「知っているがだいたいの内容しかわからない」の回答を合わせると22%の結果となった。
エシカルは、人権や地球環境に配慮した倫理的で正しい行動のことを指す。つまり、自分の利益だけを追求するのではなく、他者・地域社会・自然環境などに思いやりを持つということを指している。

「SDGsウォッシュ」を聞いたことがない人は64%

SDGsウォッシュは「聞いたことがない」と回答した方が64%の結果となった。
SDGsウォッシュとは、SDGsの目的や本質を理解しないまま、表面的にはSDGsに取り組んでいるふりをする、うわべだけのSDGs活動を指す。

「ESG」を聞いたことがない人は69%

ESGは「内容や意味を知っている、人に説明できる」「知っているがだいたいの内容しかわからない」「内容はわからないが言葉は聞いたことがある」の回答を合計しても31%にとどまる結果となった。
ESGとは、環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の頭文字。これら3つの視点において配慮している企業は、社会的な価値があり長期的に安定した経営が期待できると認識されている。投資家にも注目される観点だ。

認知度が最も低かった用語は「ESD(Education for Sustainable Development)」

ESD(Education for Sustainable Development)は「聞いたことがない」の回答が75%の結果となった。
ESDとは「持続可能な開発のための教育」のことである。つまり、グローバルな課題を自分の問題として捉え身の周りから取り組むことで、持続可能な社会を実現していくことを目指した学習・教育活動を意味している。

SDGsに関する用語が広まらない理由

環境問題やSDGsは世界が一丸となって取り組むべき問題である。このような用語の意味が広まらない理由について、自由記述による回答を得た。

<イメージが湧きにくい>

  • カタカナやアルファベットが多用されており、頭に残りにくく、かつイメージが湧きにくいため。
  • 英語をそのまま使っているから。その意味を持つ日本語を作り出すか、もしくは日本語の意味を持たせたうえで普及させて使えば認知度が上がると思う。
  • カタカナや英文字の表記は意味がわかりにくく、似たような言葉もあるので混乱するから。
<日々の生活に直結する印象がない>
  • 自分の身の回りで当てはまる具体的なことがよく周知されていないからではないか。
  • 誰もみんな自分自身の日々の生活に精いっぱいで、周りや将来のことに時間もお金も気持ちもかける余裕がないように感じる。
  • 今の自分には環境問題は直結せず、他人事だと感じる部分があるため。
<メディアでの取り扱いが少ない>
  • 単純にメディアなどで使われることが少ないからだと思う。
  • 受動的に得られる情報が少なく、自分で調べたりしないと情報が入ってこないため。
  • インフルエンサーが環境問題やSDGsに取り組めば、若者の認知度が上がると思う。
回答の中で最も多かったのは、英語由来のカタカナ語が多く、具体的なイメージにつながらず、意味がわかりにくいといった内容だった。また、自分自身に関係があることして主体的に捉えられていない、という意見も多くあった。用語の普及には、個人に直結する問題と結びついた具体的なイメージが必要だ、というのはもっともな思考といえる。

そのほか、テレビや新聞などのメディアであまり取り上げられていない、という指摘も目立っていた。さらに若年の世代は、テレビを見ることなくSNSなど新しい媒体を利用しており、主体的に情報を求めない限り目にする機会がない、というコメントも複数あった。

グローバルな環境問題に対する行動を促す際には、上記のような社会に広がらない要因も考慮に入れながら、効果的な方法で呼びかけていくべきだと考えられる。

最近気になるワードとその理由

地球や環境問題に関する用語の中で、最近気になっている言葉と理由についても回答を募った。最も多かった回答は、気候変動に関する言葉となった。豪雨や猛暑など、これまで経験がなかった異変が身近で実際に起きている中、自分自身に関わる問題として捉えられている。

<気候変動に関する言葉>
  • 地球温暖化…日本の四季が失われようとしているから。
  • 気候変動…身近で起きていることなので。
  • 異常気象…大雨や台風、気温の上昇などの異常気象が当たり前のように起きている。それに対応していくにはどうしたらいいかを知りたい。
次に多かったのは、二酸化炭素・CO2に関する言葉となった。二酸化炭素の増加が地球温暖化を促進し、気候変動の要因になっており、二酸化炭素削減にむけて日本も世界もかじを切っていることが反映されている現れといえる。

<二酸化炭素に関する言葉>
  • 二酸化炭素削減…私が小さい頃から言われているが、実際に削減できているのかわからないので気になる。
  • 脱炭素社会…石油、電力などについてはたびたび議題に挙がっているが、具体的に「脱炭素社会」の意味について理解していないので、もっと深く知りたいと思う。
  • 排出量取引…最近、欧州圏で行われているらしいが、日本でも導入されるかどうか気になる。
最近の電気料金の高騰は生活に直結する身近な問題となっているが、化石燃料に変わる新しいエネルギーに関する言葉も注目されている。現在の課題を解決する新技術に期待したいという思いもあるようだ。

<新エネルギーに関する言葉>
  • 次世代エネルギー…水素電池が取り上げられているが、そのほかどのようなものがどのように利用されるのかわからないから。
  • SAF…これから航空燃料として使われていくことで、少しでも環境問題が改善するのではないかと感じている。
プラスチックに関する言葉も多数あげられた。プラスチックは化石燃料由来の便利な素材だが、海洋プラスチック問題や地球温暖化への影響が懸念されている。

<プラスチックに関する言葉>
  • 生分解性プラスチック…使用後は、自然界に存在する微生物の働きで最終的にCO2と水にまで完全に分解されるので、環境に優しい。もっと利用できればよいと思う。
  • プラスチックフリー…そういった生活を実践していきたいから。
  • マイクロプラスチック…海洋の生態系に関わる問題であり、人間の食べるものにも何らかの影響がありそうなので気になっている。
廃棄物に関する言葉も目立った。日常生活で必ず出る廃棄物をどう扱うか、ということは、一番身近で個人でも判断・実践できる分野でもある。

<廃棄物に関する言葉>
  • 3R…身近なことからできることだと思うから。
  • リデュース…リサイクルなどより、そもそも不要なものを持たない・つくらないというのは大事だと感じるから。
  • エコボトル…購入している化粧品が最近使い捨てではなくエコボトルになった。環境に気を配るよう改善されたと思った。

調査概要

調査対象:全国の男女
調査日:7月5日~6日
調査方法:インターネットによる任意回答
調査人数:500人(女性319人、男性174人、その他7人)
調査対象者の年齢:10代3人/20代82人/30代174人/40代149人/50代71人/60代以上21人
調査対象用語:「エシカル」「サステナブル(サスティナブル)」「カーボンニュートラル」「再生可能エネルギー」「フェアトレード」「海洋プラスチック」「シェアリングエコノミー」「SDGsウォッシュ」「ESG」「ESD」