電通グループは、「2024メディアトレンド調査 ~The Pace of Progress(進歩のスピード)~」を発表した。同調査では、dentsuのインターナショナル・マーケットにおけるメディアエージェンシーであるCarat、dentsu X、iProspectを中心とした専門家がグローバルに蓄積した知見に基づき、メディア業界における10の重要な変化の要因を予測・紹介している。
 
同調査の、2024年以降のメディア業界の方向性に関する主な予測は、以下の通り。

1. 生成AI技術が主役に

生成AI技術は、過去10年間で最も革新的な進歩と言える。現役マーティング担当者の63%が、「自社ですでに生成AI技術を活用し始めている」と回答しており、今後数年以内にこの技術はメディア業界の仕事で中心的な役割を占めることが予想されている。

同技術は、検索をはじめ、クリエイティブ、メディアプランニングや制作など、多岐にわたるメディア業務の効率化を新たな次元へと引き上げることを期待されている。トレンドの詳細は以下の通り。

トレンド1:生成検索(ジェネレーティブサーチ)の台頭
生成AI技術は、検索エンジンからEコマース・プラットフォームまで、生活者が情報にアクセスする方法を変革する。

トレンド2:クリエイティビティの再構築
コンテンツや映像制作、コピーライティングなどを通じて、生成AI技術が人間の創造性を強化する。

トレンド3:生成の最適化
生成AI技術を活用することによって、広告制作、ターゲティング、効果測定の最適化を実現し、大規模かつ迅速に行うことを可能にする。

2. 収益化に向けた競争の激化

2024年にはプラットフォーマー間の競争が激化し、各プラットフォーマーはより高い収益を得るために、データ保護の徹底、ユーザーの理解、広告提供の強化に一層リソースを投下すると予想されている。トレンドの詳細は以下の通り。

トレンド4:類似アプリの乱立
各SNS・アプリの機能やデザインなどが類似してくることで、更なる差別化により、生活者の関心をいかに引き付けるかが、ブランドにとって重要になる。

トレンド5:データ保護の更なる強化(クローズドプラットフォームからクローズドパイプラインへ)
プラットフォームがデータ保護をより強化することで、データ保護と利活用におけるバランスが大きな課題となっていく。

トレンド6:アイデンティティへの再注目
サードパーティCookie使用の非推奨化が進むなか、メディアプラットフォームによるユーザーデータの収集・分析(ピープルインテリジェンス)が倍増する。

トレンド7:より多くの広告とより多くのリターン
多くのプラットフォームにおいて、新たな領域に広告を拡大し、その結果、新たなフォーマット、配信機会、そしてリスクも生まれていく。

3. インテグリティ・エコノミクスがブランドにとって不可欠に

2024年の成長は収益性だけでなく、ブランドの社会に対するサステナブルな貢献についても注目されている。社会と政治の分極化が進み、気候変動が深刻化するなか、生活者とブランドにとってより炭素効率が高く、多様で安全なオンライン空間を構築することが成功のカギとなる。トレンドの詳細は以下の通り。

トレンド8:成長への新たな局面へ
メディア消費の多様化とパーソナル化が進むなか、ブランドは生き残るために生活者のニーズとアイデンティティを反映し、適応していく必要がある。

トレンド9:より安全に、より良く、より速く、より強く
急速に変化するデジタル環境における、ブランドアシュアランス(ブランド保護)の新たな展開は、生活者とブランドの双方にとってより安全な環境の構築に貢献している。

トレンド10:注目度を高め、排出量を削減
ブランドがカーボンメディアの効率化戦略を実施する際、注目度を高めるための最適化が広告効果を通じて脱炭素化につながることが想定される。