ADKマーケティング・ソリューションズは、関東・関西地区の男女15~79歳1万名以上を対象としたオリジナル調査「ADK生活者総合調査」を実施し、その結果から「SDGsに関する意識レポート」を取りまとめ、10月17日に発表した。

「ADK生活者総合調査」では、ライフスタイル・消費行動・メディア接触などの多面的視点から生活者の実態を捉えることができる。2015年にSDGs(持続可能な開発目標)が採択されて以来、さまざまな環境・社会問題を解決するための取り組みが活発になっている。そこで、企業と社会、企業と生活者の新しいつながり方の開発を通して社会的・事業的にインパクトのあるソリューション開発を目指「ADK SDGs Mate」が、SDGsおよび関連項目に対する人々の認知・理解度や、生活意識との関連性を分析した。

その結果、「SDGs」のワード認知率はすべての年代で80%を超える高い水準に到達しているものの、認知の上昇率には高止まりの傾向が見られた。またSDGs関連商品・サービスの利用、行動変容に関する阻害要因も見えてきた。調査結果は以下の通り。

レポートサマリー

  • 「SDGs」のワード認知率は、初めてすべての年代で80%に到達。「LGBTQ+」は昨年より大幅に上昇し認知率50%超えに。
  • SDGsに取り組む企業の商品・サービスへの利用意向は高い傾向にあるが、積極的な行動にはまだ結びついておらず、20ポイントのギャップが存在。
  • SDGs実現に向けた行動喚起や商品購入をためらう原因のトップ3は、「商品・サービスの価格が高い」「手間や時間がかかり面倒」「何をしたらよいかわからない」。
  • 共感度の高いSDGsの目標項目は2年連続で、「貧困をなくそう」「海の豊かさを守ろう」「すべての人に健康と福祉を」

調査詳細

  • 「SDGs」のワード認知率は、初めてすべての年代で80%に到達
  • 「LGBTQ+」は昨年より大幅に上昇し認知率50%超えに
SDGsという言葉について知っているかを聞いたところ、「知っている」と回答したのは、昨年から1.8ポイント上昇し全体で82.9%となった。年代別で見ても、すべての年代で認知率が上昇し、いずれも80%を超える結果となった。
また、SDGs以外の関連ワード認知率は、「LGBTQ+」「カーボンニュートラル」「フェアトレード」が40%を超え、中でも「LGBT理解増進法」が今年6月に成立、施行されるなど報道露出機会が多かった「LGBTQ+」が52.6%と、昨年から12.2ポイントの大幅な上昇となった。
※「LGBTQ+」「カーボンニュートラル」「ダイバーシティ&インクリュージョン」は2022年より聴講を開始
※「LGBTQ+」「カーボンニュートラル」「ダイバーシティ&インクリュージョン」は2022年より聴講を開始
  • SDGsに取り組む企業の商品・サービスへの利用意向は高い傾向にあるが、積極的な行動にはまだ結びついておらず、20ポイントのギャップが存在。
「SDGsに積極的に取り組んでいる企業の製品・サービスを利用したい(=利用意向)」に当てはまるか聞いたところ、48.5%が当てはまると回答した。一方、「SDGsを達成するために、自ら積極的に行動している」に対しては28.5%の回答に留まり、利用意向と比べて20ポイントの大きなギャップがあることがわかった。
  • SDGs実現に向けた行動喚起や、商品購入をためらう原因のトップ3は「商品・サービスの価格が高い」「手間や時間がかかり面倒」「何をしたらよいかわからない」。
SDGsの実現に向けて、行動を変えたり、商品・サービスを購入したりすることを妨げるものを選んでください、と聞いたところ「商品・サービスの価格が高い(56.1%)」「手間や時間がかかり面倒(27.4%)」となり、生活者側に負担や手間がかかると認識されていることが障壁として挙げられた。

また、SDGs実現に向けて行動を起こすために、企業はどのようなことをしたらいいと考えていますかと聞いたところ、「CO2排出量や削減量の見える化(43.6%)」「貢献できる商品・サービスの開発(40.4%)」「行動に対するポイント付与(37.7%)」などが挙げられ、生活者にとってわかりやすく“成果が示されること”や“貢献できるもの”などが求められていることがわかった。
  • 共感度の高いSDGsの目標項目は2年連続で「貧困をなくそう」「海の豊かさを守ろう」「すべての人に健康と福祉を」
    SDGsが掲げる17の目標の中で共感できるものを聞いたところ、2年連続で1位「貧困をなくそう」、2位「海の豊かさを守ろう」、3位「すべての人に健康と福祉を」という順位になった。

    1位の「貧困をなくそう」については、社会問題として取り上げられることの多い子どもの貧困や物価高騰なども重なり、関心が高くなっていると考えられる。2位の「海の豊かさを守ろう」は海洋ごみの問題など、海に囲まれた島国だからこそ解決を推進していかなければならない主要課題であること、3位の「すべての人に健康と福祉を」については、コロナ禍を経て、健康や医療・福祉などの重要性が注目されていることが考えられる。

    年代別にみると、17の目標のうち、9つの項目で60代の共感度が最も高い中、Z世代(10代)の特徴として、「ジェンダー平等を実現しよう」「人や国の不平等をなくそう」「貧困をなくそう」に対する共感度が、他の年代より高い傾向が見られた。
※年代別で最も高い数値を赤字で表記
※年代別で最も高い数値を赤字で表記

調査概要

目的:生活者の生活行動・価値観・メディア接触を多面的に把握するため
対象エリア:
関東(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県)
関西(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県)
対象者条件:15~69歳の男女(中学生は除く)
サンプル数:1万6320名
調査手法:インターネット調査
調査期間:5月16日~6月5日