世界中のクリエイター・作品が集結! 「DESIGNART TOKYO 2023」ハイライトをレポート
世界のミックスカルチャー都市といわれる東京を舞台に、デザイン、アート、インテリア、ファッションなどがプレゼンテーションを行う、デザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO(デザイナート トーキョー)」が開催された。今年のテーマ「Sparks ~思考の解放~」のもと、108展示、83会場に世界中から作品・コンテンツが集結。「東京の街が美術館となった10日間」のハイライトを紹介する。
国内外から集まった最新のクリエイティブを集めた展覧会「DESIGNART GALLERY」では、注⽬の若手デザイナー進藤篤⽒による、コロナ禍で大量に消費され、行き場をなくしたアクリルパーティション板を再利用したインスタレーション「OVER DUST」が、約500㎡の空間で展示された。
また、Ambientecの照明が一同に並ぶAmbientec GALLERYやOriginal Kolor Designによる廃棄材料を使用したネームプレートのワークショップ、デザインとアートを横断した、見て楽しい紙の食器「WASARA」と家具メーカー「maruni」のパーティーテーブル、伝統技術ディレクター立川裕大氏による、日本の技の粋を集めた「AMUAMI」のプロダクト、高度なテクノロジーと熟練の職人によって精密に製作されたTokio.の照明作品、デザインスタジオ・キュリオシティのグエナエル・ニコラ氏による、空間を作るオブジェのような家具コレクション「SEIDO」、制作過程で生まれるコンクリート素材の余剰を活かした「RECONC」の新しいスツールbeautiful surplusなどの展示作品や、「B&B Italia」や「Paola Lenti」のアウトドア家具で構成されたSANLORENZO LOUNGEなど、連日最新のクリエイティブを体験し、楽しむ多くの来場者が見られた。
毎年、時代の先を行くテーマを設け注目を集める、このオフィシャルエキシビションの今年のテーマは、「A NEW HORIZON」で、2050年という未来を見つめ、アジアの未来のスターデザイナーが集結する展示「ASIA CREATIVE RELATION」を開催した。キュレーターのスージー・アネッタ氏(アジア太平洋地域のデザインメディア「Design Anthology」創刊編集長)は、「私たちが何と、どのように、なぜ、共に暮らすことを選ぶのか」という問題を表す、4つのチャプター「バイオモーフィズム(Biomorphism)」、「アップサイクル(Upcycled)」、「新しいベル・エポック(New Belle Epoque)」、「未来の伝統(Future Traditions)」に分類した作品を展示した。会場は青山通りに面した全面ガラスのファサードを持つワールド北青山ビルで、建築家石田建太朗氏により、都市的な空間に熱帯植物を約300鉢集められ、迫力ある自然環境が創出された。石田氏は、テクノロジーの発展とともに人間らしい原始的な風景を取り戻してゆくことに期待し、あえてこの自然環境という空間を提案したという。また、これらの植物は廃棄せず、終了後はマーケットの流通に戻していくという、好循環を生み出す空間づくりとなっている。
また、今年4月にリブランドした大京のマンションブランドTHE LIONSは、「2050年。人生の価値を高める究極のマンションとは?」 をテーマに、未来における新しい住まいと、ウェルビーイングに生きるための次世代のビジョン「THE LIONS JOURNEY 未知をゆくレジデンス」を発表。海の上を旅し、常に発見と出会いにあふれた人生を送ることができる新しい移動型レジデンスは、革新的なテクノロジーで高い教育や医療も受けることができ、未来の自由な生き方がかなえられる、としている。会場では、このnoiz 豊田啓介氏とのコラボレーションによって生まれた具体的な建築ビジョン・住み方までのアウトプットを体験できる展示となった。
ファサード前にはオフィシャルカーの新型クラウンCROWN“SPORT”およびCROWNを展示。会期中はDESIGNART TOKYOのロゴを纏った2台のCROWN“CROSSOVER”が東京の街を巡回した。
フランスのプレステージ・シャンパーニュメゾン「ペリエ ジュエ」は、10月12日から10月29日まで原宿駅前のWITH HARAJUKUに、「花は、すべてのはじまり。」をコンセプトとした、ブランド史上最大規模のPOP-UP「THE HOUSE OF WONDER by Perrier-Jouët」をオープンした。その会場に、メキシコ出身のアーティストでありデザイナーのフェルナンド・ラポッセ氏と、世界初公開のコラボレーションアート「The Pollination Dance」を展示した。ラポッセ氏はこのインスタレーションを通じて、自然をあらためて見つめ直すことの重要性を提唱。受粉のプロセスに焦点を当て、花の基本的な役割や植物と昆虫や動物との関係性を表現している。また、花粉を表す黄色い砂が花束からゆっくりと流れ落ちる「花粉時計」の好ましくアナログな表現が作品に動きと相互性をもたらし、ゆっくり時間をかけて楽しめる展示となった。
国立新美術館では「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」が開催された。
今年4月にミラノで開催された、FLEXFORMのアイデンティティと個性を築き上げてきたシグニチャーフォトと、プロダクトを通してそのストーリーが語られる展示「Portraying Design」が、FLEXFORM TOKYOで行われた。80年代から現代に至るまでの時系列に沿い、写真家4名によって撮影された広告キャンペーン写真の数々が大型パネルに再現され、FLEXFORMのタイムレスなスタイルを印象づける旅へと誘う、大胆なエキシビションとなった。
また、Time & Style Atmosphereでは、「DRILL DESIGN Collection」と「Claesson Koivisto Rune Collection」が公開された。
また、MA5 GALLERY by SANLORENZOでは、「PATTERN STROKE - 模様の筆跡 -」展が開催された。
実績(11月29日現在)
・来場者数:のべ約21万4500人
・オンラインビュー数(Web・SNS含む):約195万ビュー(8月9日~11月16日)
・メディア掲載数:562(新聞/雑誌/Web/ラジオ/SNS)
・出展者数:108展示・127組
・参加クリエイター&ブランド数:約300名(アーティスト、デザイナー、建築家、ブランドなど)
・会場数: 83会場
・マッチング数:60組
DESIGNART TOKYO 2023開催概要
会期:10月20日~10月29日
エリア:表参道・外苑前・原宿・渋谷・六本木・広尾・銀座・東京
主催:DESIGNART TOKYO実行委員会
オフィシャルエキシビション
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DESIGNART GALLERY(手前の作品はRECONC)©USAMIRYO
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OVER DUST for DESIGNART TOKYO 2023 Courtesy of Atsushi Shindo
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MUUTO ©Nacasa & Partners SANLORENZO ROUNGE ©USAMIRYO
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ASIA CREATIVE RELATION Powered by THE LIONS ©Nacasa & Partners
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Dongwook Choi Crest and Trough we+ Refoam ©Nacasa & Partners
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THE LIONS JOURNEY 未知をゆくレジデンス展示ブース ©Nacasa & Partners
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新型クラウンCROWN“SPORT”およびCROWN ©Nacasa & Partners
「思考の解放」のテーマに沿った挑戦的な作品群
今年のテーマ「思考の解放」のもと、若いクリエイターの実験的、挑戦的な作品が際立った。今年は若手支援プログラム「UNDER 30」のエントリー数も大変多く、勢いを感じる年となった。
左:Gala Espel (Archaeology of the Future)
右:鈴木舞 「よしづくしを組む」(ともにUNDER 30)
右:鈴木舞 「よしづくしを組む」(ともにUNDER 30)
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HONOKA/TATAMI ReFAB PROJECT ©Nacasa & Partners
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PHAT/BORDER from Wake(UP) collection ©Nacasa & Partners
アートコンシャスな照明作品
2023年は、従来の発想から一歩踏み出した、アートのような佇まいの照明作品が数多く見られた。以下はその一部となる。
h220430 Satoshi Itasaka/Balloon Rantan ©USAMIRYO
![左:HaKU Design Studio(ø[ou]-Diversity of Light)©Nacasa & Partners <br />
右:POPCORN(Fly a light“TAKO”)Courtesy of the brand](/files/topics/10241_ext_05_13.png)
左:HaKU Design Studio(ø[ou]-Diversity of Light)©Nacasa & Partners
右:POPCORN(Fly a light“TAKO”)Courtesy of the brand
右:POPCORN(Fly a light“TAKO”)Courtesy of the brand
美しい世界観に触れる感動のインスタレーション
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Perrier-Jouët×Fernando Laposse(The Pollination Dance)©Nacasa & Partners
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「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」2023年展示風景
歴史とクラフトマンシップを感じるインテリアのプレゼンテーション
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FLEXFORM(Portraying Design)Courtesy of the brand
また、Time & Style Atmosphereでは、「DRILL DESIGN Collection」と「Claesson Koivisto Rune Collection」が公開された。
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DRILL DESIGN Collection/Claesson Koivisto Rune Collection
注目の展覧会でアートを堪能。多田圭佑個展を同時開催
愛知県を拠点とするアーティスト多田圭佑氏の個展が、MAKI Gallery 表参道と、Gallery COMMONにて同時開催された。MAKI Galleryでは「Phantom Emotion」と題し、フィクションの世界と関わりたいという欲望や希望、同時に2つの世界に存在する確固とした断絶を突きつけられる切なさや孤独感が共存した『残欠の絵画』および『Heaven‘s Door』シリーズを展示。Gallery COMMONでは「Rhizomed Material」と題して、タイルや木製の床板、金属製の引き出しや鎖などがグリッチ状に組み合わさって見える立体的な作品で、実際にはアクリル絵具のみによってつくられている『trace/dimension』シリーズを展示。合わせて約100点を超える新作のペインティングで構成される、過去最大規模の展示となった。
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右:Gallery COMMONでの展示の様子 ©Nacasa & Partners"
左:MAKI Gallery
右:Gallery COMMONでの展示の様子 ©Nacasa & Partners
右:Gallery COMMONでの展示の様子 ©Nacasa & Partners
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「PATTERN STROKE - 模様の筆跡 -」展
トークイベントやワークショップなど多彩なイベントを開催
会期前に行われたTokyo Midtown DESIGN TOUCH 2023での「DESIGN TOUCH Talk Salon」をはじめ、会期中には、Apple表参道にてToday at Appleトーク「スージー・アネッタと考えるアジアが変えるクリエイティブ産業の未来」、PechaKucha Night x DESIGNART Tokyo Special、Espace Louis Vuitton Tokyo スペシャルワークショップを開催するなど、多彩なイベントが行われた。
左:Espace Louis Vuitton Tokyo スペシャルワークショップ ©Takuya Yamauchi
右:PechaKucha Night x DESIGNART TOKYO Special ©︎Brian Scott Peter
右:PechaKucha Night x DESIGNART TOKYO Special ©︎Brian Scott Peter
インターナショナルな交流と活気が高まった10日間
今年は本格的に渡航制限も空け、クリエイターを含む海外からの来日も多くなり、インターナショナルな交流と、会期中の街の活気の高まりが感じられるなか、開催初日のDESIGNART GALLERYでのレセプションパーティなどを通して、出展者、関係者を含む多くの方々の交流が行われた。
レセプションパーティ ©USAMIRYO
・来場者数:のべ約21万4500人
・オンラインビュー数(Web・SNS含む):約195万ビュー(8月9日~11月16日)
・メディア掲載数:562(新聞/雑誌/Web/ラジオ/SNS)
・出展者数:108展示・127組
・参加クリエイター&ブランド数:約300名(アーティスト、デザイナー、建築家、ブランドなど)
・会場数: 83会場
・マッチング数:60組
DESIGNART TOKYO 2023開催概要
会期:10月20日~10月29日
エリア:表参道・外苑前・原宿・渋谷・六本木・広尾・銀座・東京
主催:DESIGNART TOKYO実行委員会