地元での買い物が定着傾向 コロナ禍後と物価高における買い物意識・行動調査【スコープ調べ】

スコープは、物価高における最新の買い物意識や行動について調査結果の一部を公開した。今回は、コロナ禍とコロナ禍明けにおける実店舗での買い物行動の変遷を探る。2023年10月末に実施した「買い物に関するアンケート」と2021年6月に行った同様のアンケートの調査結果を比較し、生活者の買い物行動の変化や特徴を明らかにしていく。

【TOPICS／回答から見えたこと】
1．コロナ禍をきっかけに変わった買い物行動
2．ポストコロナの買い物文化
3．生活者の買い物の不安を解消するデジタルの力
4．生活者の情報優先順位は、健康安全からコスパへシフト
5．コロナ後の買い物、「楽しい」はどこへ？

「地元志向」の買い物傾向の定着

Q．実店舗で買い物をする際に意識していること
コロナ禍（2021年6月）とコロナ禍明け（2023年10月）におけるスコア（20代～60代合計） 全体的に感染症対策に関する意識は低下し、感染リスクを最小限に抑えるための行動も減少傾向にある。

実店舗での過ごし方や滞在時間に関しては、「まとめ買いをする」や「あらかじめ購入するものを決めておき、それを買ったらすぐに退店する」といった行動はある一方で、ウインドーショッピングや、ついでの立ち寄りなど、実店舗での時間を楽しむような変化もスコアから見えてくる。

この中で、コロナ禍を通じて特に注目すべきは、「地元志向」の買い物傾向の定着である。「自宅から近いお店を利用する」といった地域コミュニティへの意識が高まり、42.0%の人々がこの行動をとっていることが明らかになった。また、「馴染みのお店」の利用も増加しており、地域に根差した買い物習慣が強まっていることがわかる。

コロナ後の買い物、「楽しい」はどこへ？

Q．実店舗で買い物をする際の現在における気持ち
コロナ禍（2021年6月）とコロナ禍明け（2023年10月）におけるスコア（20代～60代合計） 2021年と2023年の実店舗での買い物に対する感情のデータから見えるのは、わずかながらの「楽しみ・楽しい」という感情の増加である。確かにパーセンテージは上昇しているものの、「息抜きになる」「気分が上がる」といった項目も含めて、その伸びは控えめ。コロナ禍が明けた今、むしろ「面倒くさい」という感情も人々の胸に渦巻いていることがわかる。その背景には最近の物価高騰が大きく関わっていて、ショッピングに対する満足感や気分の上昇を阻害する大きな壁となっているのではないかと見受けられる。

また、コロナ禍中にさらに定着したオンラインショッピングの習慣が、生活者の行動パターンに深く根を下ろしていることも見逃せない。ワンクリックで世界中の商品が届く今、購入する商品によっては足を運んで買い物をする行為が、重たい労力に感じられているのかもしれないと見受けられる。

さらに、コロナリスク軽減や効率化を目的としたスマートストア化などにより、売場はよりシンプルになり、セキュリティ用カメラの増加なども進んだ。このような変化により、以前のような実店舗ならではの手作り感や店舗ごとのユニーク性が薄れてしまった可能性も考えられ、結果としてユーザーにとって、物足りなさや居づらさを感じる一因となっているかもしれないと同社は考えている。

調査概要
調査方法：Web調査
調査エリア：全国
調査対象者：20～69歳男性（ディーアンドエムの登録会員）
サンプル数：合計500サンプル (20代～60代まで各100名）
調査期間：2023年10月27日～29日