電通デジタルと、国内電通グループ5社は共同で、2030年までに起こるとされるトレンドをまとめ、未来起点の経営戦略立案や新規事業、サービス開発に活用できる中期未来予測ツール「電通未来曼荼羅2024」を3月1日より提供開始した。
近年、テクノロジーの発展、社会情勢の変化が加速している背景を踏まえて、国内電通グループでは2010年に、未来で予想される事象をまとめた中期未来予測ツール「電通未来曼荼羅」の提供をスタート。同ツールは「人口・世帯」「社会・経済」「科学・技術」「まち・自然」の4つのカテゴリーにトレンドテーマを網羅的に分類し、それぞれのトレンドの概要とデータ、関連トピック、それらが未来にもたらす変化や重要になる視点をまとめている。同ツールを用いたコンサルティングサービスも行われており(※1)、多くの顧客企業の経営戦略立案や事業シナリオの策定、商品・サービス開発などに活用されてきた。

電通未来曼荼羅2024未来トレンド72テーマと未来へのヒント・視点一覧

「電通未来曼荼羅2024」は、時代の変化に合わせて前年度版(※2)から22のテーマを刷新し、最新版では72のトレンドテーマを設定している。最新版は、2030年までの6年間に起こり得る未来トレンドの中でも、近年急速な広まりを見せ、今後のビジネスに多大な影響を与えると予測される価値観やテクノロジー、社会動向も踏まえており、各トレンドにおける今後の展望や商機について多角的な視点から紹介する「未来へのヒント」においても、最新の知見から得た示唆を盛り込んでいる。

今回追加されたトレンドテーマ例は、以下の通り。

●単一的な経済指標から、多元的な豊かさ指標へ
経済実績と社会発展の尺度としてGDP(国内総生産)が活用されているが、「所得と消費がもたらす豊かさ」とは、幸福度、潜在能力、健康、社会的つながりなど包括的な人間の豊かさから見れば、ほんの一部に過ぎず、今後、単一的な経済指標のみならず、多元的な豊かさ指標を確立する動きが活発化していく。

●多死社会、終末デザインビジネスが拡大
2030年に向けて年間死亡者数は増加傾向。死と向き合う機会も時間も多くなり、死生観や死に対するイメージ、死への向き合い方を捉え直す動きが活発化する。また家族が終活や葬儀を担ったり、墓を継承したりするのがさらに難しくなるなか、デジタルも活用して「他人や自然環境に迷惑をかけない」エンディングデザインが普及拡大。AIによる故人再現サービスの進展により、デジタル上で「永遠に生き続ける」ことも可能に。

●時間資源の貨幣化による新たな経済圏
全ての人に等しく分配されている時間という資源。特に若い世代がタイパ(タイムパフォーマンス)を重視すると言われており、そこに大きな経済圏が形成され始めている。

●多様化し拡大するジェンダーテック
女性の健康に関する課題をテクノロジーで解決することを目指す「フェムテック」の動きは世界中に広がり、それは「生物学的性/性自認/性的指向/性表現」において、あらゆるジェンダーを対象としたジェンダーテックへと拡大。さらには生物学的・社会的性差分析を取り込むジェンダード・イノベーションという概念が生まれ、その市場の拡大が見込まれる。

また、同社では「電通未来曼荼羅2024」の提供開始に伴い、同ツールを活用した新規事業構想を体験できるワークショップを開催予定である。

※1:電通デジタルと電通、近未来の事業構想に向けた発想支援ツール「未来曼荼羅2019」を活用したコンサルティングサービスを提供開始(2019年9月20日発表)
※2: 国内電通グループ4社共同で、2030年までに起こり得る未来トレンドをまとめた「電通未来曼荼羅2023」を発表(2023年4月27日発表)