BEAMSは、ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」に、バーチャル活動の拠点となる初のワールド「Tokyo Mood by BEAMS」を公開した。

東京の繁華街と路地裏をイメージした街の一角をリアルな描写で3D空間に起こし、バーチャル空間での交流を促す、実在感を演出したワールドである。5月31日の公開より1カ月で3万6000を超える訪問数、6700を超えるお気に入り登録数を記録している。
イメージ動画は、VRChat内「Tokyo Mood by BEAMS」ワールドで、出演者もカメラマンも全員がVR機器を操作しながら撮影が行われた。

BEAMSは、2008年に仮想の街への出店やアバター用衣装の販売などに初めて取り組んで以来、数々のゲームコンテンツやアニメーション作品などとのコラボレーションを通じて、実在する商品のデジタル化に取り組んできた。2020年には、VRChat上のイベント「バーチャルマーケット」に初出店。半年に一度、毎回約40~50人の社員によるバーチャル接客を続け、以降2023年12月まで7回連続で参加し、企業による最多出展記録を更新している。その後も、現在までバーチャル分野における活動を続けている。

今回の「Tokyo Mood by BEAMS」は、東京の繁華街の雑然とした美しさをリアリスティックな要素で構成し、バーチャル上の街としてユーザーに親しまれること、さらにユーザーによる写真やSNS投稿で映えるフォトジェニックなセッティングがソーシャルVRの魅力を広く伝えバーチャルコミュニティを拡げるきっかけになることを目指した。

鉄道の高架下に並ぶ飲食店、ゲームセンター、ミュージックバーや、路地裏の居酒屋などは、どれもユーザーが自由に入店することができ、友人同士がバーチャルで会って話したり飲んだりしながら過ごす居場所としてデザインされている。街の奥に佇むBEAMS店舗では、販売中の3D衣装をウィンドウやマネキンに展示し、新商品の発売と共にディスプレイや街中の屋外広告が変化する。

季節の移ろいや町の営みまでも感じさせる、都会の片隅に息づくバーチャルワールド「Tokyo Mood by BEAMS」に遊びに来てほしいと、同社は伝えている。

映画のセットのような空間設計と演出

ワールド制作を手掛けたのは、VRで映画製作活動をする個人たちによる「QADESH PROJECT(カデシュ・プロジェクト)」である。映画セットさながらの細密な設計と作り込み、そしてVR空間ならではの仕掛けや演出を備えたこの街には、QADESH PROJECTのVR映画製作の知見が込められている。

コンビニエンスストアから漏れ出る灯りと放送音、路上の水たまりに映る電飾の反射、街に響き渡る電車の走行音と車窓の光、ガード下にひしめき合うように駐輪された自転車など、新旧が溶け合い街が息づくように感じさせる演出が国内外のユーザーから好評を得ている。
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。数分に一度、鉄道が高架を走ると辺りには走行音が響き、ヘッドライトと車窓の光が街を照らす。ガード下には飲食店やゲームセンターが、裏路地には何軒もの居酒屋が並び、遠景には高層ビル郡が見える(photo by suma)
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。数分に一度、鉄道が高架を走ると辺りには走行音が響き、ヘッドライトと車窓の光が街を照らす。ガード下には飲食店やゲームセンターが、裏路地には何軒もの居酒屋が並び、遠景には高層ビル郡が見える(photo by suma)
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。架空の町名「新光町」など、BEAMSの社史に由来する名称も(photo by suma)
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。架空の町名「新光町」など、BEAMSの社史に由来する名称も(photo by suma)
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。ガード下にひしめき合うように駐輪された自転車が並ぶ
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。ガード下にひしめき合うように駐輪された自転車が並ぶ

BEAMSの店舗ではバーチャルファッションを紹介

路地の奥に佇むBEAMS店舗では、アバター用に販売中の3D衣装をウィンドウやマネキンに展示し、試着室ではユーザーが自身のアバターで3D衣装を試着できる。いずれもワンクリックで、ユーザーのPCブラウザでECサイト「BOOTH」の商品ページが開き、そのまま3Dデータ商品の詳細を確認し購入手続きへ進むことができるようになっている。

BEAMS店舗の内外装、および店内に展示される衣装の制作を手掛けたのは、2022年よりBEAMSの3D商品の制作を担当する3Dモデラー、Cornet(SELECT SHOP -Cornet-)である。ワールド公開に合わせて発売したBEAMSロゴ入りの3D衣装は、これまでに発売したほとんどの3D衣装同様に、現実でも販売しているリアル商品を基に企画した。ユーザーは3D商品とリアルな(実在する)商品から選択できると同時に、自身とアバターで同じファッションを楽しむこともできる。
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。路地を進むと奥にBEAMSの店舗が(photo by suma)
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。路地を進むと奥にBEAMSの店舗が(photo by suma)
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。ウィンドウやマネキンに展示されたアバター用3D衣装は店内の試着室で試着可能
「Tokyo Mood by BEAMS」イメージ画像。ウィンドウやマネキンに展示されたアバター用3D衣装は店内の試着室で試着可能
左はBEAMS公式BOOTHショップで販売される3D商品(アバター協力:水瀬氏/mio3io氏)、右はBEAMS公式オンラインショップで販売される商品
左はBEAMS公式BOOTHショップで販売される3D商品(アバター協力:水瀬氏/mio3io氏)、右はBEAMS公式オンラインショップで販売される商品

Tokyo Mood by BEAMSで開催される多種多様なコミュニティイベント

■こけら落としライブ「Tokyo Mood by BEAMS Launch Party with Yamaha」
ワールド公開初日である5月31日には、ヤマハとのタイアップで、こけら落としライブ「Tokyo Mood by BEAMS Launch Party with Yamaha」を開催した。同社が選出したのは、バーチャル音楽シーンで活躍するアーティスト、AMOKA、StrollZ、JOHNNY HENRYの3組。ワールド内BEAMS店舗前の路上で、約50名の観客を前にパフォーマンスを披露し、BEAMS公式YouTubeチャンネルでもこの様子を生配信した。

VRで音楽活動をするアーティストの多くは、同社が提供する「SYNCROOM(シンクルーム)」というソフトウェアを使用しており、遠く離れたメンバー同士でも、まるで同じ部屋にいるかのようにリモートセッションを楽しんでいる。
■初心者歓迎交流イベント「居酒屋 和み」
ユーザー同士がそれぞれ自宅にいながら、VRChatなどソーシャルVRプラットフォーム内で開催されるイベントに参加し、アバター同士で語らいながら交流を楽しむといった、バーチャルライフの入門編として開催される「居酒屋 和み」。6月8日の夜は「Tokyo Mood by BEAMS」のワールドの飲食店スペースなどを会場にしたコラボレーション回を開催した。BEAMSスタッフも参加し、多くのユーザーと共に活気溢れる交流を楽しんだ。

■モデル撮影イベント「MERGE」
バーチャルファッションモデルが新作の3D衣装を身にまとい、バーチャル撮影に興味のあるユーザーが参加する形で開催される撮影会イベント「MERGE」。6月16日の夜に開催したコラボレーション回では、バーチャルモデルとして活躍する、Kawasaki SilviaさんがBEAMSの3D衣装を着用した男女のアバター姿で「Tokyo Mood by BEAMS」に登場し、街や衣装の魅力を引き出すプロの演技を披露した。

また、本イベントの様子を収めた動画が公開されている。VRヘッドセットと両手に持つコントローラーに加え、胸・肘・腰・膝・足などにもトラッカーを装着してアバターの動きを操作するフルボディトラッキングの技術を駆使したアクティングスキルのわかる動画となっている。
■ファッション愛好家イベント「リアクロ集会」
リアル寄りのファッションをバーチャルで楽しむコミュニティに人気のイベント「リアクロ集会」。2022年より続く4度目のタイアップで、6月22日の夜は「Tokyo Mood by BEAMS」を会場として開催した。

アバターをカスタマイズする、いわゆる「アバター改変」においてファッション愛好家たちはどのようなバーチャルブランドのアイテムを使ってスタイリングしているのか、BEAMSスタッフがイベント中に街頭インタビューを実施。バーチャルファッションの楽しさに迫ることを目指した。なお、BEAMS公式Xではクリップ動画を公開している。