アウンコンサルティングは、2024年7月時点の世界40の国・地域における、PCとモバイルの主要検索エンジンシェア(※1)を集計し、その結果を公開した。

PCにおける「Microsoft Bing」のシェアが微増

全世界で見ると、Microsoft Bingのシェア率が若干ながらも上がっている傾向が見られた。

その背景としては、2023年2月に公開された「Bing AI(現Copilot)」がリリースされたこと、さらに2021年10月にリリースされたWindows11において、デフォルトでMicrosoft Bingの検索ボックスがタスクバーの中心に配置されたことが引き続きシェア率の上昇に貢献していると考えられる。
PCにおけるMicrosoft Binのシェア率(データ参照元:Stat Counter)
PCにおけるMicrosoft Binのシェア率(データ参照元:Stat Counter)

韓国では「NAVER」がモバイルにおける検索エンジンの首位を獲得

韓国発の検索エンジン「NAVER」が、モバイルにおける検索エンジンシェアでは昨年から逆転し、Googleを抑えて首位に浮上した。要因として、「NAVER」はポータル型の検索エンジンであり、現地に特化した地図アプリや、ニュース、メール、ショッピングなどのモバイルアプリでユーザーを獲得している点に加えて、2023年8月には、韓国版ChatGPT「CLOVA X」が公開され注目されたことも、モバイルにおけるシェアを伸ばした要因と考えられる。

また、NAVERでの検索結果は、上位に「リスティング広告」や「NAVER Smart Store」、「NAVER Blog」といった、NAVERプラットフォーム内のコンテンツが上位表示される傾向があり、自社サイトを上位に掲載するのは難しいと考えられている。韓国向けのプロモーションを検討する際は、「NAVER Blog」を活用するなど、GoogleのSEO対策とは異なる点に注意が必要である。

ヨーロッパではモバイルにおいて「Yandex」のシェアが微増

フランス、ドイツ、オランダ、オーストリアの4カ国において、モバイルにおける検索エンジンシェアで、ロシア発の検索エンジン「Yandex」が2位となり、昨年よりも若干増加の傾向があった。

ただし「ロシアのGoogle」とも言われている「Yandex」だが、2023年11月より、オランダにある親会社Yandex NVの、ロシア事業売却による再ブランド化の計画が報じられたことを受けて、注目を集めた結果が今回の結果に影響している可能性もある。Yandexの事業展開が検索エンジンシェアにもどう影響するか、今後の動向に注目である。

世界の検索市場においてトップシェアを占めているのはGoogleだが、引き続き各国のシェア率の変化やGoogle以外の検索エンジンの特徴、またAIによる影響を確認しておく必要があると、同社は考えている。

集計概要
「世界40カ国 主要検索エンジンシェア【PC・モバイル】 」
対象国:OECD加盟主要国を中心にアウンコンサルティングにて抽出
データ参照元:
・インターネット普及率:DataReportal–Global Digital Insights, Percentage of Individuals using the Internet
・検索エンジンシェア:Stat Counter
調査日:2024年7月3日~16日
調査対象時期:2023年6月~2024年6月

※1:「検索エンジン」の定義としては、検索システムを提供する会社、ブランドを指す。本調査においては、日本のポータルサイトのひとつ「Yahoo! JAPAN」は、検索エンジンとしては「Google」という扱いとなり、同様の理由から「Yahoo!台湾」や「Yahoo!香港」はMicrosoft Bingとなっている。