渋谷PARCOでは、9月13日より11日間、「SHIBUYA PARCO ART WEEK 2024」を開催する。他者や社会とのつながりを見つめた作品や、内なる自分と向き合い生まれた作品、ハピネスや愉悦を込めた作品など、約25本の展示やイベントが集い、作品鑑賞しながら館内を歩くことができる。
©FriendsWithYou Courtesy of NANZUKA
©FriendsWithYou Courtesy of NANZUKA
メインビジュアルは2人組アートコラボレーティブ、FriendsWithYouが担当し、渋谷PARCO 4F「PARCO MUSEUM TOKYO」にて展覧会を開催する。同時に4Fの吹き抜けスペースでは、無料で体験できるライドの作品も楽しめる。

また、昨年に続き実施されるパフォーミングアーツの演目として、本年は美術家、振付家、ダンサーのハラサオリによる『P wave』の改訂版を9月23日に上演し、9月20日には9F「SUPER DOMMUNE」での特別番組も配信する。

注目アーティストの個展も多数開催される。2F「2G」では中国生まれのアーティストNimyu、2F「OIL by 美術手帖」では作家・酒井建治氏、B1F「GALLERY X BY PARCO」では写真家・嶌村吉祥丸氏の写真展が館内各所で展開される。各企画の詳細は以下の通り。

架空の神話に基づく冒険「Ocean - Temple of the Sacred Heart」

9月13日~30日の期間中、サミュエル・アルバート・ボークソンとアルトゥーロ・サンドバルによるアートコラボレーティブ、FriendsWithYou。「PARCO MUSEUM TOKYO」では、NANZUKA氏のキュレーションの下、個展「Ocean - Temple of the Sacred Heart」を開催。「Magic」「Luck」「Friendship」を軸にして2人が生み出すのは、「新しい人間関係の構築」を提案する体験型の作品である。

鑑賞者たちは「KAWAII仲間たちの軍団が、Mixxyアルゴリズムから全ての存在を解放するために、団結して立ち向かう勇敢な冒険」へと参加する。作品には、参加を通じて自分自身や他者とつながり、友情を広げてコミュニティを築いたうえで、自然界との関係をも深めることを願う、アーティストの祈りが込められている。4Fの吹き抜けスペースでは、無料で体験できるライドの作品も楽しめる。

【FriendsWithYou プロフィール】
サミュエル・アルバート・ボークソンとアルトゥーロ・サンドバルが、2002年に設立した2人組アートコラボレーティブ。体験、没入型インスタレーション、彫刻、絵画、アニメーション、ライブパフォーマンスとして具現化された作品は、世界各国の名だたる美術館のパーマネントコレクションに所蔵されている。

地震大国・日本で生まれ育った身体の記憶を通して、「振動と受容」を問うPerforming Arts『P wave』

9月23日には、「環境と身体」をテーマに、自らの身体、光、音、テキスト、ドローイングなど多様なメディアを用いた上演型作品を制作するハラサオリ氏が、「ComMunE」で振付作品『P wave』を発表。PARCO ART WEEKでの上演は、2024年5月にゲーテ・インスティトュート東京にて行われた『P wave』の改変版である。

2021年より形を変えながら展開されてきた本作のテーマは、「振動と受容」。地震大国・日本で生まれ育ったハラ氏が、自らの身体記憶を振付的視点で再考するのは、揺れる環境におけるヒトの肉体的・精神的な在り方である。その過程で発見されるのは、曖昧に発生し消失する波の如く不確かなものとしての「意志」に他ならないと、ハラ氏は考えている。『P wave』というタイトルは、その「意志」を捉える視座の象徴として、地震発生時最初に地震計で記録される初期微動を意味する「primary wave」から取られている。

【ハラサオリ氏 プロフィール】
1988年東京生まれ。美術家、振付家、ダンサー。約10年に渡るベルリン滞在を経て、2023年より東京、横浜、神戸、京都など国内各都市で活動を行い、舞台のみならず音楽やファッションなどのカルチャーシーンとも関わりながら多様な表現を展開している。
【石川朝日氏 プロフィール】
1995年生まれ。俳優。多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科1期生、3年時中退。その後、渡仏し、ジャックルコック国際演劇学校に入学。入学したは良いが、フランス語も英語もほぼわからず、毎日の授業、パリでの極貧生活、勘と努力で、2年間を生き抜いた。帰国して3年半がたち、自分が教える機会にも恵まれ、ルコックの教育のベースにあったマイム(同化)とはなんだったのか、今の日本の演劇とのズレがなんなのか、記憶を掘り起こし、検証中。

アーティストの個展を館内ギャラリーで体感

■Nimyu 「Dance with Me」
 
Feed Me Up - Octopus Girls, 2024 ©︎NimyuCourtesy of AKIINOUE and NANZUKA
Feed Me Up - Octopus Girls, 2024 ©︎NimyuCourtesy of AKIINOUE and NANZUKA
ART WEEKの後半戦、AKIINOUE氏キュレーションによる、9月13日~30日の期間中、Nimyu氏の新作個展「Dance with Me」を開催。中国生まれのNimyu氏は、北京の中央美術学院でBFAを取得後、ニューヨーク・アカデミー・オ ブ・アート大学院を卒業し、現在は東京を拠点に活動する注目のアーティストだ。さまざまな表現方法を通して彼女が探求するのは、高度情報化社会における個人のアイデンティティの複雑さ。人間、動物、食物などなど日常にありふれた現実的なモチーフとシュールな空想が同居する作品が、見る者を不思議の国へといざない、さまざまな問いを投げかけてくる展示となっている。

【Nimyu氏 プロフィール】
中国に生まれ、ニューヨークでアートを学び、現在は東京を拠点に活動するアーティスト。ペインティング、ビデオ、アニメーションなどさまざまなメディアで作品を制作 している。情報主導の社会と、私たちの世界理解に影響を与える根本的な要因を熟考し、個人のアイデンティティの複雑さを探求する。
■酒井建治個展「Like seeing this world for the first time」
シルクスクリーン、油絵、版画、立体作品。多彩な表現方法による作品を通して、生活を送る中で生じる感情の変化をさまざまな時間軸から捉え、現代社会における自分の位置や存在への確認と返答を行う酒井建治氏。8月30日~9月23日の期間中、そんな彼の個展「Like seeing this world for the first time」で発表されるのは、移りゆく人や世の中について思考し探求を続ける絵画シリーズのほか、幾何学構成的にストリートの風景を捉えた新作絵画である。身近ではあるが果てしないテーマと真摯に向き合うことによって立ち上がる、その比類なき世界観には、ただただ圧倒される展示となっている。

【酒井建治氏 プロフィール】
1996年生まれ。現在は主に油絵や版画、立体作品などさまざまなメディアを用いて作品を発表。図形を用いた表現や、社会や感情といったものにも形を与えて再解釈を行う。現在は東京を拠点に活動。

本の世界を空間体験する写真展「what is good?」

写真家・アーティストとして、そして領域横断的な活動で注目を集める嶌村吉祥丸氏は、初の写真集『what is good?』を9月25日にリリースした。収録されるのは、過去10年にわたり、東京、パリ、ベルリン、モスクワ、ラオス、ニューヨーク、ポートランドなど、世界各地を巡るなかで撮り溜められた作品から、「『good』とは何か」という問いと向き合って選ばれた約200点。この写真集の発売に先駆け、9月6日~23日の期間中、書籍の先行発売と作品の展示を行う展覧会が開催。「わたしにとって写真は、人やこの世界と対話するためのことば」と語る嶌村氏の、知らず知らずのうちに「good」を探して注いできた眼差しに、世界をそっくりそのまま抱擁する優しさがみなぎっているかのような展示となっている。

【嶌村吉祥丸氏 プロフィール】
東京生まれ。アーティスト・写真家として、分野を越境し国内外を問わず活動。さまざまな表現者と協働しながら「same gallery」(東京)や「koen」(京都)のディレクターとして企画・キュレーションを行うほか、「ラーメン吉祥丸」やフレグランスブランド「kibn」をプロデュース。主な個展に「Unusual Usual(Portland, 2014)」、「Inside Out(Warsaw, 2016)」、「photosynthesis(Tokyo, 2020)」など。

ほぼ日曜日「『チャレンジミッケ! おばけだよ』発売記念 ミッケ!であそぼう展」

9月13日~10月6日に開催される「ミッケ!であそぼう展」は、横3メートルの巨大なプリントで「ミッケ!」を体験できるイベントである。 『ミッケ!』はシリーズ累計国内1000万部を突破した大人気の「かくれんぼ絵本」。日本語への翻訳は、ほぼ日の糸井重里氏が刊行当初から手がけている。

PARCO出版「One Page BOOKSTORE -1ページの本屋-」

パルコが擁する出版レーベル「PARCO出版」の設立50周年を記念し、架空の本屋「One Page BOOKSTORE -1ページの本屋-」が9月6日から1カ月限定でオープンする。本屋のコンセプトは、カルチャー(culture)の語源でもあり、「耕す」という意味を持つ、カルティベイト(cultivate)となっている。

PARCO出版が50年間刊行してきたアート・ライフスタイル・ファッション・文芸など多様な書籍を販売するほか、PARCO出版が選んだ、新たな時代を予感させる50+αの「モノ・ヒト・コト=Cultivators(耕す人たち)」が自身を現すものとして世に送り出した、本やZINE、アート作品、アパレル商品、雑貨、植物などを販売すると共に、「Cultivators」の「今」を切り取った「1ページ」として展示する。

「本」「本屋」の枠を超えて、まだ見ぬ新たなものと出逢える場所となっている。

PAMM祭り2024「ひとりで考える」

9月21日には、「PAMM」の渋谷PARCO店オープン1周年を記念し、コミュニティを総集したイベント、「PAMM祭り」を開催。本イベントは 」ひとりで考える」 をテーマに、ファッションのみならずアートや文学、音楽、衣食住といった日々の暮らしに根付いたさまざまなカルチャーが集結。心地よい生活を提案する日本発のサンダルブランド「SUBU」をはじめ、PAMMと二度のコラボレーションを行うharu.氏が編集長を務めるインディペンデント雑誌『HIGH(er) magazine』、美しい見た目と斬新な味が魅力のお弁当「chioben」などの参加が決定した。また、シルクスクリーンイベントや、一味違ったフリーマーケットなど、「PAMM祭り」でしか体験できない、購入できないアイテムも多数展開予定である。

アートとカルチャーの融合型マーケットイベント「ART&CULTURE STREET.vol.4」

9月22日には、マルチクリエイター・YUUKI氏主催の、アートとカルチャーの融合型マーケットイベント「Art Culture Street.」の第4弾が開催される。参加アーティストによるアートマーケットや、アート展示、ライブペイント、ミュージシャンによる演奏など、多種多様なコンテンツが楽しめる場となっている。今回は、「SELF LOVE」をテーマにした、オリジナリティあふれる作品も並ぶ予定である。

【YUUKI氏 プロフィール】
4人組のバンド・CHAIの元メンバー。CHAIでは、ベースや作詞、アートワークなどを担当。2024年3月解散後からは、アパレルブランド「YMYM」でアパレルやライフスタイルグッズなどを手掛けたり、アートイベント「Art Culture Street.」の主催を務めたり、同時に作家としての活動を行うなど、これまで以上にマルチなクリエイターとして活動中。

「HERALBONY」ポップアップショップ

9月12日~24日には、「HERALBONY」のポップアップショップが開催される。今年6月のリブランディング後、東京初開催のフルラインナップでの出店となる。衣服自体が「アートを運ぶ装置」となるという発想から生まれた「HERALBONY ISAI」をはじめ、日常を彩るファッションアイテム、グッズを数多く展開予定である。

企画概要
タイトル:SHIBUYA PARCO ART WEEK 2024
期間:9月13日~23日
会 場:渋谷PARCO館内外