デロイト トーマツ グループは、世界28カ国・地域、4万人以上を対象に実施した2019年版「世界モバイル利用動向調査(Global Mobile Consumer Survey)」を発表した。
 
今回は、例年実施している「デバイス所有状況」や「キャリア/店舗」の項目に加え、今年国内でもサービスが開始され来年から本格的導入が進むとされている「5G」に関する項目や、デジタルデバイスの普及により懸念されるユーザーの健全な利用「デジタル・ウェルビーイング」についてもアンケートを実施。さらに企業による個人データの利活用が進むなかで関心が高まる「プライバシー」に関する内容も調査した。

今回追加された「5G」「デジタル・ウェルビーイング」「プライバシー」に関して日本と各国を比較した結果からは以下の内容が判明した。

まず、「5G」についての調査結果を見ると、日本のスマートフォン所有者は、導入に対して各国に比べ慎重だ。回答者の約4分の1が「利用可能になり次第」「評判がよさそう」なら5Gへ乗り換えると回答している。一方で、5Gについて「わからない」との回答も多く、5Gの具体的なサービスに関して実感を持たないことなどから、5Gの本格的導入を前にサービスのメリットがまだ充分に浸透していない可能性が考えられる。
次に近年、「スマホ中毒」などの社会問題の対策として注目されている「デジタル・ウェルビーイング(デジタルデバイスの健全な利用)」に目を向けると、日本は他国に比べて「使いすぎ」という意識が薄く、「スマホの電源を切る」「使いすぎているアプリを削除する」などといった、利用を制限するための「使用管理を試みていない」と回答した日本の所有者は37%と対象5カ国中で最多。日本のデジタルデバイスの所有者は「デジタル・ウェルビーイング」に対する意識が低いことが判明した。
また、「プライバシー」に関する調査では、企業による個人データの利用について、個人データが企業に利用されていると思う所有者は2年前に比べて10%増加するなど、国内所有者の認識は高まっているものの、欧州などと比較すると20ポイント以上の開きがあり、低い水準に留まっている。特に若い世代での意識が低く、「企業が個人データを利用していると思う」と回答した所有者は45%と半数に満たない結果となった。
また、例年実施している項目については以下のような結果となった。

■デバイス所有状況
国内のスマートフォン所有率は従来型の携帯電話に置き換わる形で徐々に伸びているが、他国の8-9割の水準と比較して74%と開きがある。また、スマートスピーカーの所有率が4%に留まるなど、スマートデバイスへの感度はまだ低い。

■キャリア/店舗
MVNO(携帯電話会社から通信回線を借り受け、通信サービス料金の安い「格安SIM」を提供している事業者)が漸増する一方、 NTT docomo、au、SoftBankの3キャリアはデータ容量や通信の質を重視する18-24歳で利用比率が高い。また、次に買い替える理由は「壊れたら」が46%でトップだが、スマートフォン所有者の約1割が5Gを買い替えの契機としている。

■携帯電話で何をするか
世代別に見ると、65-75歳では天気や新聞・ニュース系のアプリを利用。一方、18-24歳はSNSやゲームアプリの利用が最も多く、続いて動画・写真アプリとストリーミングアプリの人気が高く、他世代と比較しても多い。

■サブスクリプション
他国に比べると、動画・音楽・新聞/雑誌のすべてにおいて契約率が低い。他国で40%を超える動画も日本では21%に留まる。

■ゲーム
日本では34歳以下がプレイヤーの中心となり、35歳以上は落ち込みが急に。アプリ内課金をする層は少ないものの、一人当たりの課金額は高い。