日本広告審査機構(JARO)は24日、2019年度上半期の広告審査に関する統計をまとめた。苦情や問い合わせなどの相談受付総件数は6125件(前年同期比117%)で、過去最多だった2018年度を上回るペース。媒体別の苦情の件数はテレビ(1962件)に次いで「インターネット」の広告に関する苦情が多く(1907件)、前年同期比で144.3%に達した。

苦情の内容は大別すると「表示」「表現」「手法」に対するものがあり、今期は「表示」が増え、過半数(54.1%)を占めている。「表示」とは、広告に書かれたことが実際と異なる、誤認させるなどとする内容のこと。一方で「表現」は若年層および高齢層で高く、10代では半数を超えている(58.7%)。

内訳は「苦情」が4501件(同115.1%)、広告制作にあたっての「照会」が1024件(同123.2%)などで、「称賛」(2017年度下半期から設置した項目)も7件寄せられた。

業種別の苦情件数を見ると1位は「デジタルコンテンツなど」で379件(同107.1%)、2位が「健康食品」で316件(同133.9%)、3位が「自動車」で209件(171.3%)。

■「苦情」の業種別件数
※1 業種分類はこれまで中分類で計上していたが、2016年度からはより詳細な小分類とした。<br />
※2 「インターネット関連」とは、インターネット回線サービス、インターネットプラットフォームなどである。
※1 業種分類はこれまで中分類で計上していたが、2016年度からはより詳細な小分類とした。
※2 「インターネット関連」とは、インターネット回線サービス、インターネットプラットフォームなどである。
「デジタルコンテンツなど」はスマートフォン用ゲームが98件と最も多く、「広告と実際のゲーム内容が違う」「ゲームの内容と関係のない性的表現が不快である」などの苦情が寄せられた。昨年3位だった「携帯電話サービス」は減少し、自動車が上回っている。

JAROは苦情対象となった広告主にその理由についての見解を伝え、広告の適正化を促す取り組みも実施している。見解の発信は「警告」「要望」「提言」の3段階に分かれており、今回の審議では、最も重い「警告」19件を含む21件(前年同期14件)を発信した。見解対象になった業種は「健康食品」、媒体は「インターネット」が多数を占め、特に近年はアフィリエイトサイトがかかわる事例が目立っているという。

入り口となるのはニュースサイトやSNSなどのインフィード広告で、そこからアフィリエイトサイトに飛び、「購入はこちら」などといったボタンから公式通販サイトへ誘導するパターンが多い。アフィリエイトサイトが関わる事例は今期13件あり、いずれも法違反のおそれがある「警告」と判断された。

急増したのが定期購入契約への苦情。2015年度から15件、2016年44件、2017年95件、2018年度98件と増加傾向にあったが、今期は上半期の段階で既に127件寄せられている。その対象は、健康食品と化粧品で7割を占める。

苦情の内容は、入り口となる広告などの表示には「モニター」「お試し」などと書かれていて「定期購入だと分かりにくい」、返金保証と表示されているが、「電話をしたら解約に条件があることが分かった」「電話がつながらない」などがあった。