ブレインスリープは、全国47都道府県の約1万人(性別・年齢・都道府県で割付した10343人)を対象に調査した「睡眠偏差値」を発表した。個々の睡眠習慣など睡眠状態を直接的に判定する項目のみならず、職場での生産性やストレスの程度、また睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクなど、睡眠に関するさまざまな調査結果から、日本初となる「睡眠偏差値」を構成。

偏差値をランキング化した結果、TOP1000 (上位1割)とワースト1000 (下位1割)の対象者における「食事・喫煙・飲酒・環境」などの生活習慣には、大きな違いがあることがわかった。さらに、睡眠時間・SASリスク・仮眠意識・都道府県別ランキング・職業年齢別ランキングの5つの項目についても、日本人の睡眠における特徴が明らかとなった。

睡眠時間:日本の睡眠破綻が明らかに

日本人の睡眠時間は、2018年OECDなどの調査によると7時間22分で、世界ワーストの短さだった。24時間社会を背景に近年さらに睡眠時間が短くなり、厚生労働省の調査では日本人の約4割は睡眠時間が6時間未満であると報告されている。

今回の調査では、日本人の睡眠時間の平均が6時間27分と、OECDの報告値よりさらに55分短いことがわかった。

SASリスク:睡眠時無呼吸症候群リスクが高い人は22%

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に無呼吸状態が繰り返され、睡眠が妨げられる病気。中等度以上(1時間に15回以上の呼吸停止)のSASに罹患していると心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが通常の2~4倍になり、治療せずに放置した人の約4割がおおむね8年以内に死亡するというおそろしいデータもある。

今回の調査では、SASのリスクが高い人が日本人全体の22%もいることがわかった。SASリスクが高い人の平均睡眠時間は6時間17分で、そうでない人の平均睡眠時間6時間30分に比べて短いという結果となった。

仮眠意識:日本人の67%が仮眠を希望

日中に眠気を感じ、仮眠を希望した人はいずれの年代でもその割合が高く、全年代合計では全体の67%を占めた。特に20代から40代でより高い傾向がみられた。

都道府県ランキング:1位は青森県、47位は宮城県

睡眠偏差値には、各都道府県でそれほど大きな差はなく、日本人の睡眠の課題は全国的なものであるとうかがえる。1位の青森県は睡眠の質や習慣がよいため、日中に眠気を感じることがあまりない人が多く、また睡眠時間においても全国3位の長さだった。一方、最下位の宮城県は睡眠時間において短さはさほど目立たなかったものの、睡眠習慣や健康度合い、ストレスの項目において悪い傾向にあり、SASのリスクがある人も全国で1番多かった。

年齢職業別:若手経営者の睡眠が危険

全年代職業別にみると、建設・採掘の仕事に従事している人の睡眠偏差値が43.83と最も低く、次いで職業運転手が44.64だった。職業運転手は、睡眠不足が関与する勤務時間中における事故が多い職業の1つであり、特に、20代の職業運転手の睡眠偏差値は38.93と非常に悪い傾向がみとめられた。

また、「経営者・役員」の睡眠偏差値は、世代によって大きな差があった。50~60代では50.16と平均より高かった一方で、20代では35.77と全体の中でも最も低かった。睡眠時間で見ても5時間32分と、OECD(2018年度)の調査による平均値7時間22分と比べると1時間50分も短い結果となった。
睡眠はさまざまな疾患につながる重要な役割を担っているにも関わらず、これまで睡眠の質を可視化する方法がなかった。そこで今回、独自の調査方法によって日本の睡眠の可視化につながる偏差値基準を構築。ブレインスリープは今回の調査を活用し、今後、個々の睡眠改善や健康管理、企業の社員それぞれのパフォーマンス向上などにつながるさまざまな活動を行っていく。