電通においてダイバーシティ&インクルージョン領域に対応する専門組織「電通ダイバーシティ・ラボ(DDL)」は、2018年10月に全国20~59歳の個人60,000名を対象に、LGBTを含む性的少数者=セクシュアル・マイノリティ(LGBT)層に関する調査を行った。

今回の調査では、セクシュアリティを「身体の性」、「心の性(性自認)」、「好きになる相手の性(性的指向)」の3つの組み合せで分類し、DDL独自の「セクシュアリティーマップ」に基づき、ストレート(異性愛者であり、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する人=2と10)と答えた方以外をLGBT層と定義している。
■LGBT層に該当する人は8.9%、「LGBT」という言葉の浸透率は約7割に

調査の結果、LGBT層に該当する人は8.9%で、類似の調査を実施した2012年の5.2%、2015年の7.6%から増加していることがわかった。LGBTへの理解が深い若年層のアンケート対象構成比が増加したことに加え、LGBTに関する情報の増加により一般理解が進展したと推測している。また、「LGBT」という言葉の浸透率は68.5%であった。2015年調査の37.6%から30.9ポイントと大幅に上昇しており、特に女性と若年層において、より浸透している傾向が見られた。加えて、LGBTという言葉の認識にとどまらず、76.0%の人が「LGBTについて正しい理解をしたい」という意向を持っていることがわかった。
今回の調査では、LGBT層に対する性別・年代別の好意・容認度の傾向や職場の環境、メディアの影響力、行政による制度づくりに対する意見も聞いている。

■職場の環境は改善の余地あり

LGBT層の人にとって、「職場の同僚へのカミングアウト」については、50.7%が抵抗あり、21.1%は抵抗がないと回答した。また、同姓婚でも配偶者手当を支給するなどの福利厚生や、トランスジェンダーも使いやすいトイレの設置などの制度について、「職場にサポート制度がない」と回答したLGBT層は過半の54.5%である一方、「職場に十分なサポート制度がある」と考えるLGBT層は5.5%に留まった。
■国や行政による法制度づくりには7割以上の人が賛成

多くの先進国で認められている「同性婚」については78.4%の人が賛成している。賛成する人は男性よりも女性の方が多く、若年層ほど高い傾向にある。東京都のLGBT差別を禁止する条例については82.7%の人が賛成。さらに、72.1%の人は日本全体で「もっと法整備をすべき」と考えており、LGBTへの認知や理解の広がりにともなって、こうした制度面の充実への期待が高まっていることが伺える。