眠りが浅くなり、寝起きの熟眠感が悪化する人が増加傾向

ライオンは、新型コロナウイルス感染症予防にともなう働き方の変化が、「睡眠の質」に及ぼす影響について調査を実施した。新型コロナウイルスの流行による働き方や意識の変化、睡眠への影響を、就業者へのアンケートにより明らかにしている。
  新型コロナウイルス感染症の流行前後での「睡眠」の変化について尋ねたところ、「眠りの深さ」では、「浅くなった」と回答した人の割合が「深くなった」と回答した人の割合より多かった。また、「寝起きの熟眠感」でも、「悪くなった」と回答した人の割合が「良くなった」と回答した人の割合より多い結果となった。眠りの浅さや熟眠感の悪さは「睡眠の質」と深く関連するため、新型コロナウイルス感染症の流行にともない、一部の層で睡眠の質が低下していることが示唆された。
コロナ禍前後での「眠りの質」への影響(全体)
コロナ禍前後での「眠りの質」への影響(全体)

リモートワーク実施や仕事量の変化も影響

働き方の変化として、(1)リモートワーク実施の有無、(2)新型コロナウイルスへの不安、(3)仕事量の変化が、「睡眠の質(眠りの深さ、寝起きの熟眠感)」にもたらす影響を調べた。

(1) リモートワーク実施の有無

リモートワークの実施者(全体の約3割)と実施していない人の睡眠の質を比較した。「リモートワークあり」では、「眠りの深さ」「寝起きの熟眠感」ともに、「リモートワークなし」よりも睡眠の質が改善した人・悪化した人ともに割合が多く、睡眠への影響が大きい結果となった。特に、悪化した人の割合の方が大きく、睡眠の質は低下する傾向にあると考えられる。
リモートワークの有無での比較(コロナ禍前後の「眠りの質」の変化)
リモートワークの有無での比較(コロナ禍前後の「眠りの質」の変化)
(2) 新型コロナウイルスへの不安

新型コロナウイルスに対して「不安あり」と回答した人(全体の約7割)と「不安なし」と回答した人の睡眠の質を比較した。「不安あり」では、「眠りの深さ」「寝起きの熟眠感」ともに、「不安なし」よりも睡眠の質が低下する傾向が見られた。
不安の有無での比較(コロナ禍前後の「眠りの質」の変化)
不安の有無での比較(コロナ禍前後の「眠りの質」の変化)
(3) 仕事量の変化

新型コロナウイルス流行前後で、仕事量が減った人(全体の約4割)、変化がなかった人(全体の約5割)、増えた人(全体の約1割)に層別し、睡眠の質を比較した。仕事量が変化した人は量の増減に関わらず、「眠りの深さ」「寝起きの熟眠感」ともに、「仕事量に変化なし」の人よりも睡眠の質が低下する傾向が見られた。
仕事量の変化での比較(コロナ禍前後の「眠りの質」の変化)
仕事量の変化での比較(コロナ禍前後の「眠りの質」の変化)
今回の調査から、就業者にとって一日の大半を占める働き方など変化が、気持ちのあり方や生活のリズムにも影響をおよぼし、「睡眠の質」を低下させていると考えられる。ライオンは、睡眠の実態を「見える化」し、個人が自分自身の状態を把握したうえで適切な対応をすることが、健康づくりにおいて重要であるとして、今後も良質な睡眠習慣の普及に向けた研究を続けていくという。

<調査概要>
期間:2020年6月19日(金)~26日(金)
対象者:20~69歳(男性79.1%、女性20.9%)、2,671名(すべて就業者)
方法:Webアンケート調査