日経BPコンサルティングは「企業メッセージ調査 2020」の結果をまとめ、10月28日に調査結果報告書を公表した。今回の調査結果は、国内211社の企業メッセージ329件を「認知度」「理解度」「接触度」「好感度」のほか、16項目のイメージなど様々な角度から一般生活者が評価したものとなる。

​​​​​​​■企業名想起率トップ20

メッセージのみを提示し、企業名の記入を求めた時、正しく記入できた一般生活者の比率である「企業名想起率」の首位は、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」(ファミリーマート)となった。なお調査の際、メッセージ中に企業名を推測できる言葉や、企業名そのものが入っている場合、その部分を伏せ字にして提示したが、企業名想起率の全体平均は4.4%。50%を超えたのは329メッセージ中、わずか4件の結果となった。この4件のうち、ファミリーマート、コスモ石油、ケーズデンキの共通点は、ジングル(音声、曲)が付いていることが挙げられており、企業メッセージを浸透させるには、ジングルをつけることが有効だと考えられる。

■メッセージ好感度トップ20

好感を持てるメッセージかどうかを尋ねる「メッセージ好感度」のトップ20では、「笑顔(笑う)」「愛」「つなぐ」という言葉を含むメッセージが4件ランクイン。新型コロナウイルスの感染拡大により、人との絆、笑顔や愛を感じさせるようなメッセージの好感度が高くなったことが伺える。また、メッセージ好感度の首位は「事故のない毎日をつくりたい。」(住友ゴム工業)。まっすぐなメッセージが生活者に受け入れられたとともに、上述のような新型コロナウイルスの影響が関係し、事故や不安のない日々を一般生活者がさらに期待したことが、結果に反映されたことが想定される。

■イメージ項目別の首位

提示した企業メッセージを見聞きした際、どのようなイメージを持つかについての調査では、「夢がある」の項目では、「旅は魔法」(星野リゾート)、「自由闊達である」の項目では、「見つけた!私だけの旅」(阪急交通社)が首位を獲得。今回は、「夢」や「自由」といった各イメージ項目の言葉を含まないメッセージがランクインし、新型コロナウイルスの影響により社会活動の自粛が続き、「旅」に対して「夢」「自由」というイメージが強くなったことが伺える。

■イメージ項目「環境への配慮を意識させる」のトップ20

環境への配慮を意識させるメッセージでは、SDGsやCSRのメッセージが多くランクインする結果に。カリモク家具の「100歳の木を使うなら、その年輪にふさわしい家具をつくりたい。」は、「伝統を感じる」「高品質、技術の高さを感じる」の2項目において首位となり、SDGsの17の目標のひとつである「陸の豊かさも守ろう」に関連するメッセージと見ることもできる。また、企業名想起率では100位圏外となっているが、各イメージ項目で軒並み高評価を得る結果に。なお、「環境への配慮を意識させる」の項目では、首位は「木」をメッセージに含む、「木と生きる幸福。」(住友林業)となり、トップ20では過半数のメッセージが「地球」「自然」「海」「木」「食料」という言葉を含んでいる。

■理解度トップ20

企業が、このメッセージによって伝えようとする内容がわかるかどうかのスコアである「理解度」のトップは「近くて便利」(セブンイレブン・ジャパン)が首位に。トップ20に英語のメッセージは1件もない結果となった。一方で、「理解度」ワースト20では、12件のメッセージに英単語が含まれていた。企業のグローバル志向から、英語の企業メッセージが増えているが、日本の一般生活者が正確に理解できるメッセージは、日本語表記であることが読み取れる結果となった。