インターブランドジャパングループのC Space Japanが、顧客体験価値(CX:Customer Experience)のランキングを発表した。このランキングは、2015年より欧米で実施してきたもので、日本での実施は2019年に続いて2回目となる。

具体的な調査手法としては、まず一般消費者に「顧客の気持ちや求めることをよく理解している」ブランド・企業を頭に思い浮かべてもらい、そのブランドについて、以下の「顧客が求める体験価値の5要素」を具体的な項目に分解した21項目において評価してもらう。その評価から、ブランドのCXスコア(-10~+10)を算出している。なお、CXスコアと購入意向の有無には強い関係性が見られることがわかっている。

C Space 顧客体験価値(CX)ランキングTM 2020(1位~50位)

コロナ禍でも変わらぬ強さの「ディズニー」

ランキング第1位となったのは「ディズニー」。特に30代以下からの高い支持を得て、昨年の第17位から大躍進した。顧客体験の5つの要素のうち、「私向けのものだと思える」以外のすべてでトップで、特に「オープンで正直である」が高く、高い信頼を得ている。評価の理由として「ユーザーが楽しめるように追及をやめない」「カスタマーファースト」など、具体的なサービスに限らず企業の姿勢を挙げる多くの声が寄せられた。「(コロナ禍での)ごみ箱の工夫」など、コロナ禍でも顧客中心主義の姿勢が随所で評価され、信頼感につながっているようだ。「ディズニーランド」も7位にランクインしており、「ディスニー」の強さが際立つ結果となった。

新しい生活様式への迅速な対応で顧客体験価値を高めた「くら寿司」「ヨドバシカメラ」

第2位の「くら寿司」は、昨年の圏外よりランクイン。顧客体験の5つの要素のうち、「私向けのものだと思える」が特に高かった。顧客のニーズや好みを理解し、価値観に合った体験を提供してくれるブランドとしてほかを引き離している。評価の理由としても、①メニューの豊富さや工夫・おいしさ、②コロナ対策も含めた安全・衛生対策の徹底・迅速さ、③顧客を楽しませるサービスなどが挙げられ、価格を理由に挙げた人は一人もいなかった。

第3位は、ディスカウントストアの「オーケー」。一都三県を中心に約120店舗と限られた店舗展開にも関わらず、40代男女と、60代以上の女性から強い支持を得て、2年続けてTop20入りを果たした。第4位には、「ヨドバシカメラ」が昨年の圏外からランクイン。送料無料や配送の速さなど、テレワーク関連のニーズに応えた購買体験が、ランキングの躍進につながっている。

今回の調査において、Top20のうち9ブランドは昨年に続いてのランクインとなった。「ディズニー」を除く8ブランド(オーケー、JAL、任天堂、サントリー、ファンケル、ANA、じゃらん、味の素)は、昨年とのスコア差が±1.00以内で、環境の変化に影響されずに高い顧客体験価値を維持していることがわかる。また、Top20のうち5ブランド(くら寿司、ヨドバシカメラ、阪急百貨店、星野リゾート、マクドナルド)が、昨年のランキング圏外からTop20にランクイン。これらのブランドは、新しい生活様式への対応で顧客体験価値を高めている。コロナ禍により顧客と対面で接触する機会は減少しても、テクノロジーを活用して顧客ニーズの本質を理解し、その期待を超えて顧客を軸にビジネスを展開するブランドが顧客体験を高く評価されていると考えられる。