電通において、全社横断で社会課題の解決に取り組む組織「新!ソーシャル・デザイン・エンジン」および「電通Team SDGs」は共同で、全国10~70代の男女計1,000人を対象に「エシカル消費意識調査2020」を実施。その結果を公表した。

【エシカル消費 意識調査2020の概要】
・対象エリア: 日本全国
・対象者条件: 10~70代の男女
・サンプル数: 性年代別に各125人ずつ、計1,000人を人口構成比でウエイトバック集計
・調査手法 : インターネット調査
・調査期間 : 2020年11月18日~11月25日
・調査機関 : 株式会社電通マクロミルインサイト

エシカル消費とは「倫理的消費」とも呼ばれ、地球環境や社会に配慮した消費やサービスのことを指す言葉。2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールのうち、ゴール12「つくる責任 つかう責任」に関連する取り組みである。

今回の調査では、エシカル消費全体に対する認知度、共感度、実践意欲に加え、産業別(全11業種)に見た消費者の意識傾向と期待値、今後の意向・行動を分析。この先、各産業がエシカルなサービス・商品を提供するに当たり、消費者側のボトルネックを解明し、より良い社会の実現に向けた取り組みの支援となることを目指していく。

■エシカル消費と企業イメージ、認知度

54.0%が「イメージ向上につながる」と回答。40~59歳女性はイメージ向上につながると回答した割合が最も高く、25~39歳男性は最も低い結果となった。
しかし、「エシカル消費」の名称認知率は24.0%。うち「意味まで知っている」は5.7%、「聞いたことがある」は18.3%であった。男女ともにミレニアル・Z世代で比較的高く、16~24歳男性と25~39歳女性が高い一方で、40~59歳男性の認知率が最も低かった。

■産業別エシカル消費取り組み度・期待度、実施意向

既にエシカルな取り組みを行っている印象が強い業界上位は、食品38.1%、自動車23.4%、日用品21.3%。一方で、現状の取り組みへの認識と期待値との差が大きく、今後の取り組みへの期待が高い業界は電力・火力・水道、金融、旅行業界だった。
電力・火力・水道のエネルギー業界では、「再生可能エネルギー」29.2%、「CO2排出量の少ないエネルギー」26.2%、「森林保全などの地域保全活動を行う企業のエネルギー」20.3%の順で消費意向が高い。男女ともに60~79歳の関心が高く、男性16~24歳、25~39歳が相対的に低い結果となった。

■産業別エシカル消費購入経験・購入意向

購入経験が多い産業は食品、自動車、日用品業界で、購入意向が高いのは食品、自動車、家電業界であった。また、現状の購入経験と購入意向との差が大きく、今後への期待値が高かった業界は、電力・火力・水道(22.3ポイント)、家具(21.2ポイント)、家電(19.6ポイント)だった。

■エシカル消費詳細に関する認知、共感、実施意向

エシカル消費に関する取り組み20項目における認知、共感、実施意向の上位は、認知度が「食品ロス防止」44.3%、「再生可能エネルギー」43.0%、共感度が「食品ロス防止」46.6%、「再生可能エネルギー」39.2%、実施意向が「食品ロス防止」36.1%、「地産地消」25.1%となった。

一方で、下位となった項目は、認知度が「ダイベストメント」7.7%、「エシカル金融投資」9.3%、共感度が「ダイベストメント」10.8%、「ベジタリアン・ヴィーガン・ハラル」11.6%、実施意向が「ダイベストメント」3.7%、「ベジタリアン・ヴィーガン・ハラル」4.0%、「エシカル金融投資」4.0%だった。

日頃耳にしたことがある項目は、認知だけでなく共感度も高い一方、聞き慣れない項目は自分ゴト化しにくく、共感・実施意向も低いことが伺える結果に。

■エシカル消費実施条件

購入条件は「価格が同じだったら」35.3%、「メリットがわかったら」34.5%、「自分の関心がある問題に関する商品であれば」31.0%、「身近な店で売られていたら」29.1%が上位となった。
購入理由は「同じような商品を買うなら社会貢献につながるものがいい」62.7%、「環境問題や社会問題に関心がある」51.8%、「長い目で見ると節約につながるから」40.2%が上位に。
購入しない理由は、「エシカル消費についてよくわからない」28.3%、「どれがエシカル消費につながるのかわからない」23.4%が上位となり、エシカルな商品やサービスへの購入意向を高めるためには適切な説明を行い、価格面でも納得感が求められていることが伺えた。

■新型コロナウイルスの影響におけるエシカル消費への意識変化

新型コロナウイルス対策の自粛期間によって30.9%がエシカル消費に対して「意識が高まった」と回答。一方で、実際に行動に移している人は6.5%にとどまった。
具体的な行動としては、「無駄な消費をしない/消費を抑える」が6.2%、「環境に良いことを考える/環境を配慮した行動をする」が6.0%、「食品ロスを減らす/食品を無駄なく使い切る」が5.7%と上位となった。また、「節約志向になった」「地産地消を意識する/地元の消費を増やした」という回答も得られた。