ジェイアール東日本企画(以下、jeki)と野村総合研究所(以下、NRI)は、多様化する広告メディアにおける交通広告の特徴を探る共同プロジェクト「交通広告の価値再発見プロジェクト」にて共同研究を実施し、分析結果を発表した。
同プロジェクトは両社が協業し、メディアに関する知見に基づいて、NRIが「インサイトシグナル」サービスで収集したシングルソースパネルデータの分析によって、交通広告の本質的な価値について検証を試みたもの。関東在住の20~69歳の男女を対象に、2020年7月から12月および2021年4月の測定結果をもとに分析している。

今回の分析結果から、jekiは都市における交通広告のユニークな特徴として以下の4点を導き出した。分析詳細は以下の通り。

【1】スクリーニング性

メディアごとに予算別で広告予算を組みシミュレーションをした結果、関東の生活者全体へのリーチ率が最も高いのはテレビCM、時点で交通広告との結果となった。さらに、予算を3000万円とした場合、「20代」「有職者」「個人年収700万以上」「(消費価値観)先進層」それぞれへのリーチ率は交通広告が最も高い。このことから、マーケティング価値の高い生活者にふるいがかかったボリューム層への効率的なリーチが可能なため、交通メディアは予算が限られている場合の優先的な出稿に適したメディアと言える。

【2】自主視認性

また、「好きな広告/嫌いな広告」の調査結果において、交通広告が「好きな広告」のトップとなった。イメージ調査では「目障りな」「しつこい」といったネガティブな評価が最も低い。見ることを強制せず、生活者の自主性に視認が委ねられている点が好感につながっていると考えられる。生活者に嫌われない、自然なつながりを創出できる点を交通広告の特徴として導出した。

【3】ブースト効果

1週間という短期間の広告出稿シミュレーションにおいて、交通広告の接触者はテレビCMやWeb広告よりも高フリークエンシー(複数接触)層が多かった。交通広告は生活動線上にあるため、短期でのリーチという点ではほかのメディアを凌ぐ効果を持つと言える。強力な瞬間風速を生み出したい場合の出稿に適したメディアと考えられる。

【4】キープ効果

年間のメディア予算を3億円に固定したシミュレーションにおいて、テレビ・Webのみに出稿するよりも、同予算で交通広告にも配分すると年間の購入以降は高位で安定するという結果が導かれた。テレビ・Web・交通広告を組み合わせて展開することで、年間通じて購入意向などのブランドのKPIを良好な状態で維持できる。
以上の結果から、jekiは交通メディアの特徴を表す「バリューリーチメディア」というワードを開発した。広範なリーチ力をゆえに無駄打ちの避けられないマスメディアや小規模セグメントや個別ターゲティングを基本とするWebメディアとは異なる特徴を持つメディアであるとした。ポテンシャルの高い生活者へのリーチが可能であり、瞬間的な話題性の創出や中長期的な関係維持向上が可能な”価値あるリーチ”を提供するメディアであると言及した。