インテージは、全国約6,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+®(全国小売店パネル調査)をもとに、2021年5月までに日用消費財のなかで、なにがより売れたかを推定販売金額の伸びから振り返る「2021年、上半期売れたものランキング」を発表した。
コロナ2年目の上半期、1位となったのは麦芽飲料。SNSなどを中心に貧血や体力増強によいことが話題となり、昨年後半より需要が急拡大。一時品薄状態が続くも、2021年春頃に解消されてからは売り上げ拡大が続き、208%でランキングトップとなった。

2位はプロテイン粉末で160%。運動をする人が筋肉をつけるために買うイメージがあったが、コロナ禍の中で低脂質・高たんぱくと美容や健康の面で注目度が上がり、女性を中心に購入率も上昇。2019年の同時期に比べると市場規模も2倍以上になるなど、一気に市場が拡大した。

3位は玩具メーカー菓子で153%。昨年映画も大ヒットした「鬼滅の刃」関連の商品を中心に、ほかのコンテンツでもヒット商品が出たことで好調を持続。2年前に比べると販売金額も205%となっており、コロナ禍でも拡大が進んだことが伺える結果に。

4位・血圧計(125%)、5位・ヘアートリートメント(124%)は、家でのセルフケア需要が影響していると考えられる。病院やスポーツ施設などに置かれていた血圧計は、巣ごもりの増加や一時的に使用中止になったことが影響し、家で測定できるよう購入した人が増加。また、ヘアートリートメントで増加が目立ったのは、くせ毛ケアや滑らかな髪への仕上がり効果を訴求するもので、長時間滞在による感染への懸念から美容院などへ行くことを控える人などの需要を取り込んだと考えられる。

6位・テーピング(119%)や12位・サポーター(112%)において、昨年同時期には外出だけでなく部活などの運動も制限された影響で落ち込んだが、それらが一部戻ったことや、在宅勤務の増加による腰痛などへの需要もあり増加。11位・ビタミンB1剤(113%)も、インバウンド需要の減少などで数字を落としたが、腰痛・肩こりなどの効果を訴求したことで伸びた可能性がある。

8位・鼻炎治療剤(117%)は、前年は外出自粛に加え花粉が少なかったことで2割近く減少したが、今年は昨年に比べて外出が増加、花粉量も増加したことで、一昨年に近い売り上げに戻ってきた。9位・しわ取り剤(116%)は、ジャケットやコートなど衣類のしわを取るために使用するスプレー剤などで、外出が増えてくるなか、ウイルス除去の効果を訴求する新商品の寄与もあり大きく増加た。

上記のカテゴリーの前年比を月別にみると、昨年2月末に小中高の一斉休校が発表され、感染拡大が進んだ3月から売り上げを大きく落とす月もあるが、その反動もあり、今年の3月に回復している。
7位・栄養バランス食品(117%)は、人気のプロテインが含まれたものが伸びたほか、昨年の1回目の緊急事態宣言時と比べ、外出や出勤の動きが増えたことで、小腹満たしの需要も増加したことが影響していると思われる。10位・女性用保健薬(116%)は、女性特有の症状を緩和するための内服薬で、女性のストレス増加が背景にあると考えられる。

14位・ビール(発泡酒・新ジャンルを含まない)は、昨年10月の酒税法改正により値下げが行われたことが追い風となり、特に糖質ゼロと健康に配慮した新商品が好調で前年比111%となっている。15位・ノンアルコール飲料は、ノンアルコールのビールのほか、レモンチューハイなどの新商品が人気となっており、家飲みでも健康に配慮してアルコールの摂取を控える動きがあるようだ。

2020年に販売苦戦したが故に、今年大きく数字を伸ばしたものがある一方で、マスクなどの衛生系商品はランク外になるなど生活の変化で需要も大きく変わる上半期となった。