サンリオピューロランドを運営するサンリオエンターテイメントとPwCコンサルティングは、幸福学および脳科学の知見を活用したKawaiiについての共同研究の第一弾として、「全国Kawaii実態・幸福度調査2021」の結果を発表した。

この共同研究は、幸福学および脳科学の知見を取り入れてKawaiiのメカニズムを解明し、Kawaiiの力を最大限に使い、世の中の幸福度を高めることを目的に2021年5月にスタートした。今回の調査の目的は、幸福学の知見を活用し、Kawaiiという感情に関する複雑性、Kawaiiという感情の幸福への影響度を捉えること。全国の15歳から79歳の男女を対象にインターネットで実施し、5,703の有効回答を得ている。

Kawaiiは約9割の方が抱く身近な感情、幸福度とも相関関係

今回の調査では、「自分自身に対してKawaiiと思うか」「身近な対象に対してKawaiiと思うか」「他人からKawaiiと思われていると思うか」といったように多面的に「Kawaii」に関する感情を調査した。その結果、Kawaiiに関する感情は、幸福度の高さとの相関を示す傾向があった。加えて、自分自身に対しても、身近な人に対してもKawaii感情を抱く人は、最も高い幸福度を示すことも伺えた。

Kawaiiは約9割(89.5%)の人が抱く感情であり、約7割(69.2%)の人は週に1回以上はKawaiiと感じているようだ。加えて、6割弱(55.5%)の人は「Kawaiiと思われたい」、また6割弱(58.5%)の人は「Kawaiiと思われているはずである」と考えていることが明らかになった。いずれの場合も、若年層、女性、ペット飼育やアート経験の習い事などをしている場合により強いKawaiiを示すことが判明した。

Kawaiiは見た目の良さだけでなく、ネガティブな因子に対しても起こる感情

今回は、特定のキャラクター、人物、音声に対するKawaiiやそのほかの感情についても調査している。その結果、赤ちゃんやシナモロール(サンリオのキャラクター)などがKawaiiと感じる対象の上位であった。Kawaiiや関連する感情についての因子分析の結果、最も強いのが「ベビースキーマ因子」(赤ちゃん的な因子であり、ノーベル賞受賞者の動物行動学者であるコンラート・ローレンツ氏が提唱した概念から命名)だったが、「グッドルッキング因子」(美しいなどの見た目の良さを示す因子)、「カウンター因子」(ダサい、気持ち悪いなどのネガティブな意味を持つ因子)を持つキャラクターに対してもKawaii感情を得ることが明らかになった。

また、Kawaiiの感じ方を基準にグループ分けを行った結果、プロファイルの異なる8つのクラスターに分解できた。各クラスターは、そもそものKawaiiへの感受性の高低や、Kawaiiと感じる対象で異なる特徴を持ち、性別、年代、価値観、幸福度などの観点でも明瞭な違いが見られた。

新型コロナウイルス感染症が幸福度低下に影響!?

PwCコンサルティングが2020年に実施した調査によると、人によって幸福度の増加・低下両面あるものの、全体としての幸福度の水準には新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であることが示唆された。しかし、今回の調査(2021年6月調査)では、幸福度の水準および、実感値の低下が見られた。

同社は仮説として、東京都を含む7都府県に対し2020年4月7日に緊急事態宣言が発出されてから1年以上が経過している現在、ワクチン接種というポジティブな要素はありつつも、デルタ株など新種株の脅威や、長期化により実生活で影響を受けている人が増加していることで、全体としての幸福度水準が下がったと推察している。