電通グループの社内組織である電通総研と、電通で海外事業を推進するグローバル・ビジネス・センターは、2021年7月に12カ国(日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)を対象に「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」を共同で実施し、その結果を公表した。

同調査は、二酸化炭素の排出抑制やプラスチックごみの削減、サステナビリティに対する意識などについて、国ごとの違いとともに、2010年に実施した「サステナブル・ライフスタイル意識調査」と比較することを目的に実施。12カ国比較で見る日本の特徴は以下の通りとなった。

【関心のある社会課題】「少子化・高齢化」が上位に入るのは日本のみ

「関心のある社会課題」について、日本は1位「自然災害」57.2%、2位「少子化・高齢化」45.6%、3位「大気汚染」41.6%となった。また、イギリス、ドイツ、シンガポールは「海洋プラスチックごみ」、アメリカは「人種差別」「医療制度・設備」、中国、インド、ベトナムは「大気汚染」「水質汚染・水不足」、フィリピン、マレーシア、インドネシア、インドは「公衆衛生」、タイは「失業率」が上位と、関心を寄せる社会課題には大きな地域差が見られた。

【リサイクル行動】「エコバッグ」使用率78.8%、「詰め替え商品」購入率67.8%は平均よりも高い

日本は「エコバッグ」使用率がフィリピンに次ぐ2位、「詰め替え商品」購入率はフィリピン、インドネシアに次いで3位となった。
日本はマイボトルや食べ残しの持ち帰りなど、外出時の飲食機会における意識が低い結果となった。マイボトルの使用については、日本以外の国では半数を超えており、中国、フィリピン、アメリカでは、外食時の食べ残し持ち帰りが6~7割に浸透している。
日本は不用品を手放す際、リサイクルや寄付を利用する割合が他国に比べて低い結果に。インドネシアとベトナムが「衣料品やおもちゃを、店舗の回収ボックスにもっていく」割合の同率トップで、「不用品・本を寄付や中古買取してもらう」ではイギリスがトップ。ベトナムは両項目とも割合が高かった。

【社会活動の支援】「署名・寄付などの社会活動」に高関与の人は12カ国中で最も低い割合の28.0%

インドネシア、フィリピン、ベトナムは約8割が「社会活動」の高関与者(イベントを企画するリーダー+参加するメンバー+情報を広げるサポーターのいずれかを選んだ人の合計)となり、高関与者が半数に満たないイギリス、ドイツ、日本と比べて、社会活動が可視化されやすい地域となった。

【社会課題に関心を持つきっかけ】日本は「ニュース・記事」が56.0%、ASEANは「SNS投稿」の方が高い

日本と同様に、イギリス、中国、ドイツでは「ニュース・記事」が「SNS投稿」を上回る結果となり、ASEANでは「SNS投稿」が「ニュース・記事」を上回った。また、情報源に関する自由回答では、日本ではニュース(番組、サイト、アプリ)が中心で、SNSはTwitterが上位となった。

【サステナビリティのイメージ】「地球環境」51.8%、「循環型社会・サーキュラーエコノミー」29.2%が上位

欧米同様に「地球環境」51.8%、「循環型社会・サーキュラーエコノミー」29.2%が上位に入り、イギリスとドイツでは「責任・義務」も上位となった。また、アジア諸国では「発展」「技術的進歩」など技術・産業成長も「サステナビリティ」として連想されているようだ。

【2030年のイメージ】日本のみ「不安」34.6%が上位に入る

日本のみ「不安」34.6%が上位に入る結果となった。また、「デジタル」「技術進歩」「発展」「グローバル」は国を問わず上位という結果に。サステナビリティで聴取した場合よりも、技術・産業成長についてのイメージが強いことが伺える。

【経済意識】「今の生活を守ることに精いっぱい」が12カ国で最も高い割合の61.2%

日本は半数が「環境税などのコスト負担を許容できる」と回答。また、次世代につなぐより、「今の生活を守ることに精いっぱいだ」では日本がトップの割合となった。また、シンガポールとアメリカでも同じ傾向が見られた。

ベトナム、インドネシア、中国は、「環境税などのコスト負担を許容できる」が7~8割と高く、さらに「今の生活を守ることに精いっぱいだ」よりも、「次世代につなぐためにできることをしている」の割合が高い結果に。

【サステナビリティのイメージ】1位「地球環境」は不動、2位以下は漠然としたイメージから、より具体的な内容へ

10年前は「つながり・関係性」「責任・義務」「子供・次世代」「忍耐」など、次の時代に期待する漠然としたイメージの言葉が上位であったが、2021年では「循環型社会・サーキュラーエコノミー」「社会的影響」「多様性」など、より具体的で現実的な、現在進行形の社会課題という認識に変化。

【2030年のイメージ】「不安」「デジタル」上位は変わらず、「ゲノム・バイオ技術」「多様性」も上位

10年前は「崩壊」「遠い」など漠然とした負のイメージの言葉が上位だったが、2021年では「多様性」「ゲノム・バイオ技術」が上位となった。より具体的で現在と地続きの未来という認識に変化したことが伺える結果に。

【消費意識】日本は「公的な意義」より「私的な満足度を優先」が61.6%

日本では消費は「私的な満足度を優先」の割合が高まり、「公的な意義を優先」が減少。ドイツ、イギリス、アメリカと、日本、シンガポールの経済先進国は、「私的な満足度を優先」と回答する人が約6割に。また、日本とシンガポールを除くアジア諸国では「公的な意義を優先」が多数派で、かつその割合が増加した。

<調査概要>
タイトル:「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」
調査手法:インターネット調査
実施主体:株式会社電通、電通総研
調査時期:2021年7月8日~20日
対象国:12か国(日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、インド 、インドネシア、
マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)
サンプル数:4,800ss
対象条件:18~69歳男女500ss、ASEAN 6か国は18~44歳男女300ss
日本500ss、ドイツ500ss、イギリス500ss、アメリカ500ss、中国500ss、インド500ss、インドネシア300ss、マレーシア300ss、フィリピン300ss、シンガポール300ss、タイ300ss、ベトナム300ss