アクアスターが実施したAR(拡張現実)コンテンツに関するアンケート調査により、約81.5%の人が「ARコンテンツを体験したことがない」ことがわかった。

総務省の「令和2年情報通信白書」によると、2022年のAR/VR関連ソフトウェアおよびサービス支出は16.7億ドルにのぼると予想されている。ARは、スマートフォンやタブレット端末を通し、現実世界の一部に仮想の情報を重ねる技術。ゲームはもちろん、医療現場や建築等のシミュレーションにも使用されており、非接触ながらも現実世界に近い体験ができるテクノロジーとして日常生活の利便性を向上させると期待が高まっている。

調査結果概要

ARコンテンツは普及が進んでいる反面、体験したことがあると回答したのは18.5%と未だ少ない。しかし、体験したユーザーからは「楽しい」「次も使ってみたい」といったポジティブな印象が強い傾向がみられた。また、ARコンテンツを普及させるためには、ユーザーが「アプリをダウンロードしてもよい」と思う動機づくりが大切な事が予測される。

同時に、ARアプリを利用するといった単一的な方法ではなく、「インストールを求められない」「アプリが増えない」といったWebブラウザを利用したARコンテンツの開発も視野に入れていくことがARの普及を加速化していくのに必要であるとみられる。

個別の質問とその結果は以下の通り。

Q1. あなたが使ってみたいと思うARコンテンツをすべてお選びください。
使ってみたいと思うARコンテンツを質問したところ、1番多かった回答が「ゲーミングAR」の29.0%、2番目に「お絵描きAR」の22.3%、3番目に「ワープAR」で20.8%となった。逆に割合が低かったコンテンツは、「GPS AR」「フェイスチェンジAR」「タレントフォトAR」で、自分の顔が映ってしまうものや位置情報など個人情報を使用するコンテンツが選ばれにくい傾向が見られた。しかし、年齢や性別ごとに数値を見たところ、男性の10代は「GPS AR」が1番人気で、女性の10~20代では「タレントフォトAR」の割合が多い結果となった。 Q2. ARを利用する際にアプリのインストールを求められる場面がありますが、その際インストールを実行しますか?
ARを体験する際に、専用のアプリをダウンロードしなければならない場合「インストールしたいと思わない」が75.8%、「インストールしたいと思う」が24.3%だった。ARコンテンツを体験してもらう際の心理的障壁がアプリのダウンロードである事がうかがえる。

Q3. インストールしたくないと回答した人にお伺いします。インストールしたくない理由について当てはまるものすべてをお選びください。
さらに「インストールしたいと思わない」と答えた人にその理由を聞いたところ、55.1%が「余計なアプリを増やしたくないから」、次いで32.7%が「インストールするのが面倒だから」、32.0%が「デバイスの容量を増やしたくないから」と回答。アプリをダウンロードする手間やデバイスの容量がARコンテンツ普及の高い壁になっている可能性があり、ストレスを感じさせず、楽しみながら体験できる設計づくりがポイントだということがわかる。

Q4. ARコンテンツを体験したことはありますか?
次にARコンテンツを体験したことがあるかを質問したところ、81.5%が「ARコンテンツを体験したことがない」と回答し、「体験したことがある」のは18.5%となった。また、男女でも体験の差が見られ、「体験したことがある」と回答した人のうち、男性が約7割を占めた。

Q5. ARを体験した人に伺います。ARを体験した際の気持ちについて当てはまるものすべてをお選びください。
さらにARを体験したことがある人を対象に、ARを体験した際どのような気持ちになったかを質問したところ、58.1%が「楽しかった」ついで、31.1%が「次も使ってみたいと思った」18.9%が「役立った」と回答した。

体験した半数以上がポジティブな回答であったことで、ARコンテンツは好意的に体験してもらいやすい傾向が見受けられる。また、14.9%が「使い方がわからなかった」と回答しているため、ユーザー目線の操作のしやすさ、使用方法の簡易化を制作時に考慮することで、より多くのユーザーに体験してもらう機会を創出できると考えられる、とアクアスターは分析している。