博報堂の「博報堂SDGsプロジェクト」は、独自の生活者調査をもとに、社会課題や環境問題に対する行動の特徴で生活者を7つに分類した「社会行動クラスター」を開発した。クライアント企業がさまざまな領域で取り組むSDGs視点のマーケティングやブランディングの支援に活用する。

同プロジェクトはこれまで、企業のサステナブルマーケティングの取り組みをサポートするため、「サステナブルな買い物クラスター」や業種別クラスターなどの独自のクラスター(生活者タイプ)分類を開発してきた。国内でもサステナブルな商品やブランドの開発が活性化する一方で、そもそも生活者のニーズが分からないまま商品開発を進めていたり、市場の実態がつかめないという課題感も強まっている。そこで今回、業種やカテゴリーを問わず、サステナブル市場と生活者ニーズの全体像を把握できる知見として、社会課題や環境問題に対する意識や行動の観点から生活者調査・分析を実施し、7つのクラスターの存在が発見された。

「社会行動クラスター」には、自ら積極的に活動に取り組む「社会行動リーダー」層(15.6%)や、買い物で社会貢献する「社会購買」層(16.5%)などが含まれる。同プロジェクトでは、それぞれの層の市場含有率をはじめ、基本属性、意識・価値観、行動特徴などの詳細なプロファイルを明らかにした。
同プロジェクトは、2019年から企業向けに提供している「サステナブルマーケティング支援プログラム」に今回開発した「社会行動クラスター」を組み込み、強化版プログラムとして提供を開始する。企業はクラスタープロファイルを参照することで、市場全体を俯瞰しながら、精緻なサステナブルマーケティング戦略を立案することが可能となる。新たな機会や見込み顧客の発掘にもつながるという。

また、「社会行動クラスター」は、購買行動だけでなく、社会的な活動や意識全般で生活者の実態を捉えた点が特徴。そのため、商品や販売戦略だけでなく、コミュニケーションやコミュニティ開発、CRMなどの幅広い施策立案に活用することができる。ブランドの取り組みに共感し、参加する生活者やファンとのつながり創出や、インフルエンサー発掘の際にも機能することが期待できるという。

同プロジェクトは今後も、企業経営における経済価値と社会価値の同時達成(ダブルインパクト)に向けた支援を行うとしている。