SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)』は、同機関ネットワークに所属するアラウンド20(15~24歳)のZ世代を対象に、「Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査」を行った。

Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査トピックス
【1】 Z世代はSNSで何してる? デジタルネイティブのSNS使い分け実態
Twitterは趣味・興味領域の情報収集に活用され、Instagramは友だち同士のコミュニケーションに活用されていることなどが判明し、目的によってSNSが使い分けされていることがわかった。

【2】新商品認知経路TOP3はSNSが独占。女性の約70%がInstagramで新商品に出会う
商品を知る場だけではなく、検索する場としてもSNSが活用されていた。情報収集でも男女の違いがみられ、女性の方がInstagramや口コミアプリなど、 “利用者の声”を事前に集める傾向が高いことが判明している。

【3】約60%がインフルエンサーの紹介商品の購入経験あり。人気よりも「紹介のわかりやすさ」がポイント
インフルエンサーは「紹介のわかりやすさ」で評価されていることが判明し、インフルエンサーの人気だけでなく、丁寧な商品説明が情報として重宝されていることが明らかとなった。

【4】男性は広告&検索エンジン、女性はSNSを活用! 男女別消費行動ジャーニーマップ
男性は依然としてテレビCMでの商品との出会いや、検索エンジンでの検索行動をしている一方、女性の消費行動は、よりSNSによる情報収集が活発だといえる。

【5】SHIBUYA109 lab.所長が分析! 動画による情報収集は今後より主流に。
SNSでの情報検索スキルに男女差が生まれた背景にはコミュニケーション量が関係
女性の方がSNS上も含めた情報交換をより活発に行い、情報検索スキルを高めあっている傾向がみられ、消費活動における周囲とのコミュニケーション量の違いが情報検索スキルに影響を及ぼしていると考えられる。

<意識調査結果>
【1】Z世代はSNSで何してる? デジタルネイティブのSNS使い分け実態
SNSの利用(図1)は現在も増加傾向であり、動画配信サービスでは約60%、Twitter、Instagramも約40%が「昨年に比べて閲覧する機会が増えた」と回答した。TikTokも約半数が使用している結果となり、約20%が「(閲覧機会が)増えた」となっている。

図1 あなたは昨年と比べてSNSや動画配信サービスを見る機会は変化しましたか。
(単一回答) n=400 (男性200/女性200)
グループインタビューでは、「スクリーンタイム(日々のアプリ使用状況などがわかる機能)でSNSの使用状況を見たら、思ったより長く使っていたが、必要なので控えようとは思わない。今は動画配信サービスよりもTikTokがメインになってきた。TikTokは面白いところだけ切り抜かれたものを短く見る。そこで面白かったものだけ、動画配信サービスでフルバージョンを見るようになった。(男子大生)」という声が聞かれた。

また、複数のSNSを利用することが当たり前であるZ世代は、それぞれのSNSを使い分けている。Z世代が各SNSをどのような目的で利用しているのか(図2)を調査したところ、各SNSでのユーザー行動の違いが明らかになった。

図2 あなたはSNSや動画配信サービスをどのような目的で利用していますか。
(複数回答)  ※回答者=各サービス利用者
Twitter n=354(男性169/女性185)/Instagram n=316(男性139/女性177)
TikTok n=196(男性83/女性113)/動画配信サービス n=382(男性187/女性195)
Twitterの利用目的トップ3は、「自分の興味があることを知る(49.2%)」、「トレンドを知る(47.7%)」、「自分の興味があることを調べる(45.5%)」となり、趣味・興味領域の情報収集に活用されていることがわかった。グループインタビューにおいても、「ヲタ活に利用している」「コスメの詳細な情報収集に利用している」「就活や将来に活用できそうな情報を見ている」などの声が聞かれ、テキストでの詳細な情報収集に利用されていることがわかる。

それに対しInstagramは、「友達の近況を知る・DMなどでやり取り(66.1%)」がトップとなり、友達とコミュニケーションする場となっている。また、「自分の日常や好きなものを投稿(47.5%)」も4位にあがり、各プラットフォームの中では、唯一 “自分も投稿する”ことが利用目的として上位にランクインした。また、「自分の興味があることを知る(54.7%)」「自分の興味があることを調べる(47.8%)」の項目も高く、幅広い目的で利用されている傾向がみられる。グループインタビューでは、「ストーリーズやフィード投稿で友達の近況を知ったり、おすすめ欄やハッシュタグ検索でヲタ活やグルメ、ファッション情報を知る。(女子大生)」といった声が聞かれた。

TikTokは約半数の人が「暇つぶし」を目的に利用していることがわかっている。しかし、グループインタビューでは、「おうち時間にハマった料理のレシピを、動画が短くてすぐ見られるTikTokで探した。(男子大生)」、「TikTokは一般の人の投稿も多いので、使用感などリアルなコスメ情報を検索する時にも使用している。(女子大生)」と、情報の検索にも活用しているとみられる声も複数聞かれている。

また、各SNSの視聴箇所(図3)を調査したところ、TikTokは「おすすめ欄(28.0%)」が見られているのに対し、動画配信サービスはトップページから移動した先の「登録チャンネル欄(62.2%)」が見られていることが明らかになった。

利用目的の内容(図2)もあわせて見ると、TikTokでは動画配信サービスよりも “自分の好きなもの・インフルエンサー”にまつわるコンテンツが見られていることがわかった。

「暇つぶし」「ヲタ活の情報収集」「友だちの近況確認」「プライベートの発信」と、様々な情報収集・情報発信をSNSごとに使い分けていることはデジタルネイティブであるZ世代の特徴といえる。

図3 あなたはSNSや動画配信サービスのどの部分を見ますか。
(複数回答) n=389(男性191/女性198)※回答者=各サービス利用者
【2】新商品認知経路TOP3はSNSが独占。女性の約70%がInstagramで新商品に出会う
SNSを使いこなすZ世代は、新しいブランドや商品もSNSを通じて情報を得るようだ。「あなたは新しいブランドや商品をどこで知りますか」(図4)と聞いたところ、トップ3は「Instagram(51.0%)」、「Twitter (48.5%)」、「動画配信サービス (45.0%)」となり、「TV番組・CM (43.0%)」は4位となった。特に女性は約70%がインスタグラムと回答し、男性の約2倍という結果となり、男女の違いも生まれている。

図4 あなたは新しいブランドや商品をどこで知りますか。
(複数回答) n=400(男性200/女性200)
能動的な情報収集(図5)でも、「Insgatram (31.5%)」、「Twitter (29.3%)」「動画配信サービス (29.0%)」と 2~4位にSNS・動画配信サービスがランクインした。

図5 あなたは新しく知ったブランドや商品をどのように情報収集しますか。
(複数回答) n=400(男性200/女性200)
知るだけではなく、検索する場としてもSNSが活用されている。情報収集でも男女の違いがみられ、男性は友人からの情報を参考にしている傾向があるのに対し、女性はInstagramや口コミアプリなど、インターネットを活用し、多数の “実際の利用者の声”を事前に集めて消費する傾向があることがわかる。

グループインタビューでは、「普段よく見ているInstagramやTikTokから新しい商品を知ることが多い。そこで知った商品は、さらにInstagramで投稿数や他のインフルエンサーの投稿を検索したり、TikTokの一般の人の投稿で口コミをチェックしている。(女子大生)」、「動画配信サービスの広告で知ることが多い。気になった商品があれば、検索エンジンで商品名を入れて検索して、ブランド公式ホームページで詳細情報を確認したり、友達に直接相談することもある。(男子大生)」といった声が聞かれた。

【3】約60%がインフルエンサーの紹介商品の購入経験あり。人気よりも「紹介のわかりやすさ」がポイント
今やインフルエンサーの存在なしには、若者の消費行動は語れない。今回の調査でも、情報収集のために見ているコンテンツ(図6)を調査したところ、「インフルエンサーの投稿」が33.5%と、最も参考にされていることがわかった。

図6 あなたはSNSや動画配信サービスで情報収集する際、何を参考にしますか。
(複数回答) n=400(男性200/女性200)
それではなぜインフルエンサーの投稿は支持されているのだろうか。調査(図7)の結果、インフルエンサーが紹介している商品を購入する理由の1位は、「インフルエンサーの紹介がわかりやすいから(29.5%)」となっている。「インフルエンサーが紹介した商品は購入しない(42.8%)」という結果から、約60%がインフルエンサーの紹介商品を購入した経験があることも判明した。

図7 あなたが、インフルエンサーが紹介している商品を購入する理由を教えてください。
(複数回答) n=400(男性200/女性200)
グループインタビューでも、「◯◯ちゃんが好きだから」という声がある一方で、「よく見るインフルエンサーは自分と年齢が近いので同じような肌悩みも多く、友達と話しているようなテンションで商品を紹介してくれるので分かりやすく、信頼している。(女子大生)」という声があり、インフルエンサーの人気はもちろん、丁寧な商品説明が情報として重宝されていることが明らかとなった。

【4】男性は広告&検索エンジン、女性はSNSを活用!
Z世代のSNSによる消費行動分析によると、男女差でも違いがあることが明らかとなった。今回調査した結果を男女別消費行動ジャーニーマップで表した。
Z世代男子の消費行動ジャーニーマップ
Z世代男子の消費行動ジャーニーマップ
男性は女性に比べ、依然としてテレビCMでの商品との出会いや、検索エンジンでの検索行動がされており、従来の広告訴求が届きやすい消費行動をとっていることが明らかになった。今回の調査では、男性の50%近くが広告を参考に商品購入経験があることがわかった。グループインタビューでも「動画配信サービスは広告が飛ばせないので見てしまう。その広告で気になれば最後まで見ることもあるし、どんな商品か検索することもある。Instagramのストーリーズ広告も惹きつけられれば見てしまう。実際に成分が良いと書いてあった化粧水を買った。(男子大学生)」、「いつも参考にしているインフルエンサーが時計のプロモーション案件の動画を投稿しているのを見て購入した。公式ホームページでは詳しいデザインやコンセプト、口コミはAmazonと動画、友達の意見を参考にした。Instagramではハッシュタグ検索をして、どんなファッションと組み合わせられるかを確認した。失敗したくないので、事前によく検索することが多い。(男子大生)」という声があがった。
Z世代女子の消費行動ジャーニーマップ
Z世代女子の消費行動ジャーニーマップ
一方、女性の消費行動は、よりSNSによる情報収集が活発だといえる。商品購入前のSNSによる検索過程においても積極的だ。Instagramのおすすめ欄や、近年ではTikTokで新商品に出会うこともあるようだ。グループインタビューでは、「欲しい商品が決まっている場合はInstagramのハッシュタグ検索をして、口コミや詳細情報を確認して保存している。まだ欲しい商品が具体的に決まっていない場合は、TikTok「○○おすすめ」などで検索し、情報収集している。(女子大生)」と言った声がきかれた。女性は求める情報を得るのに適した検索場所と検索ワードを把握しており、男性よりも情報検索スキルが高い傾向にある。

オンラインショッピングに関しても、「洋服を買うサイトでは、モデルの身長や体重が記載されているところで買う(女子大生)」など、購入する内容に合わせて購入サイトを使い分けていることがわかる。

購入場所についても男女の違いがあり、女性の方が男性より実店舗で買うと回答した割合が高い結果となった。「事前にSNSや通販サイトで欲しい商品をある程度絞り、店舗に行って欲しい商品の実物を確認してから購入する。店舗は友達と遊ぶ時に一緒に行くことも多く、友達とも相談しながら買い物を楽しむ。(女子大生)」といった声が聞かれ、店舗では情報収集だけでなく友達とのショッピングも楽しんでいることがうかがえる。

【5】SHIBUYA109 lab.所長が分析。動画による情報収集は今後より主流に。
SNSでの情報検索スキルに男女差が生まれた背景にはコミュニケーション量が関係
デジタルネイティブであるZ世代にとって、SNSはコミュニケーションツールであり、最も身近な情報収集場所となっている。Z世代は買い物に「失敗したくない」という気持ちが強く、消費行動における情報収集を慎重かつ入念に行う傾向にあるため、商品を紹介するインフルエンサーにも信頼を求めている。動画での情報収集が増加している背景として、SNSでの動画接触が増加しているだけでなく、加工や修正が少ないリアルな状態を確認できることもあげられている。

インタビューを通して、女性は具体的なワードで検索しているのに対し、男性は抽象的なワードで検索しているケースが多いこともわかった。女性の方がSNS上も含めた情報交換をより活発に行い、情報検索スキルを高めあっている傾向がみられており、消費活動における周囲とのコミュニケーション量の違いが情報検索スキルに影響を及ぼしていると考えられる。SNSを活用した情報収集スキルにおいて、男女差があることは今後も注目ポイントといえる。

■アンケート調査概要
①Web調査
調査期間:2021年12月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
居住地:一都三県
性別:男女
年齢:15~24歳
対象:高校生・大学生・短大・専門学校生
回答者数:400名(男性200名/女性200名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合がある。

②SHIBUYA109 lab.による定性調査
グループインタビュー
対象者条件: 大学生 男子3名、女子4名、 2グループ合計7名
※その他過去定性調査をもとに考察