6月1日、子どもたちにとって最も身近なフードロスである牛乳の飲み残しを減らすためのプロジェクトが始動した。

乳製品の製造・販売を手掛ける関牛乳と、ジオメトリー・オグルヴィ・ジャパンは、「子どもたちにとって最も身近なフードロス」と呼べる牛乳の飲み残しを減らすためのプロジェクトとして、子どもたちが牛乳を最後まで飲みたくなるユニークな牛乳瓶「ミルクコミック」の共同開発を発表した。
フードロスの減少は、SDGsにおける重要な達成目標のひとつとなっている。特に牛乳は需要が大きい食品であり、その分廃棄量も多い傾向にある。最近では小中学校の給食で出される牛乳の飲み残しが問題になっている。

関牛乳では、このような牛乳の廃棄問題に積極的に取り組んでおり、2月には廃棄される牛乳を使ったフレーバーバターと脱脂粉乳アイスの製造プロジェクトをクラウドファンディングで立ち上げ、目標の1000万円を超える資金を獲得するなど、業界内外に独自のメッセージを発信し続けている。

「ミルクコミック」のアイデアは、牛乳瓶に4コマ漫画をプリントするというもの。漫画は牛乳色の白いインクで印刷されており、牛乳が入った状態でははっきりと読むことができない。牛乳を飲み進めることで徐々に漫画が現れ、最後まで飲まないと結末が分からないため、ついつい飲み切ってしまうという仕掛けだ。
「ミルクコミック」
「ミルクコミック」
牛乳瓶に描かれているのは、オリジナルのギャグ漫画『ミルクモンスター』。子どもたちに牛乳にもっと親しみを持ってほしいという想いのもと、さまざまな乳製品を題材にしたユニークなモンスターたちが登場する、クスッと笑えるストーリーを考案。『ミルクモンスター』は全10話で、子どもたちに「他のストーリーも読みたい!」という気持ちを促すことで、継続的に牛乳を飲み切る習慣が付くような工夫だ。

『ミルクモンスター』の作者は、Twitterで2万件の「いいね!」を集めた「もしコロコロコミックにAmongUsのギャグ漫画が掲載されたら」ほか、「それでも人間レオンくん」「自称漫画家だけど学校の先生やってます」などの作品が話題の漫画家、あみあきひこ氏。

同プロジェクトにおける最初の取り組みとして、6月1日「牛乳の日」にちなみ、5月31日に岐阜県・関市立旭ヶ丘小学校にて、給食時「ミルクコミック」の導入を試験的に行った。

給食に先立って行われた牛乳とフードロスにまつわる特別授業では、普段、給食で何気なく飲んでいる牛乳ができるまでの過程を、牛の体内の仕組みなども織り混ぜながら紹介するとともに、そうしてつくられた牛乳が子どもたちにとって身近な食品ロス問題につながっていることを、地球の未来を守るSDGsの観点から解説した。
特別授業終了後、給食ではじめて「ミルクコミック」を手にした子どもたちは、「牛乳を飲み終わったときに漫画が出るのがおもしろい!」「漫画がおもしろかったし、給食が楽しくなりました!」と大喜びで、牛乳を最後まで楽しく飲み切り、改めて牛乳のおいしさと、牛乳を残さず飲むことの大切さに気づいた様子がみられた。

「ミルクコミック」プロジェクトでは、今回の試験導入の反響を見ながら、全国の小・中学校やイベント会場などで、「ミルクコミック」をきっかけにした啓蒙活動を順次拡大していくことを目指すとしている。

■開発者 関牛乳 吉田宰志氏のコメント
「おいしい牛乳を作っても、その多くが捨てられてしまう悲しい現実に、長らく心を痛めておりました。ただ、捨ててほしくないからといって、子どもたちに無理やり飲ませてもなんの意味もありません。なんとなく残している子どもたちに、楽しく前向きな気持ちで、おいしく牛乳を飲んでもらい、好きになってもらいたい、そんな想いからこのプロジェクトは始まりました。「ミルクコミック」を通して子どもたちが牛乳を好きになってくれることで、牛乳の飲み残しが減ると信じていますし、これをきっかけに多くの人がこの問題に目を向けて、学校の給食に牛乳が出てくる意義を感じてもらえたら嬉しいです。」