LINEが運営するスマートフォン用リサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」では、5月25日から28日の間、日本全国の15歳から69歳の男女(有効回収数65万4530)を対象に、SDGsの17のゴールとも密接に関わる「エシカル消費」について調査を行った。

調査サマリーと結果詳細は、以下の通り。

【調査サマリー】

エシカル消費の認知は5割弱、認知の経路は「テレビ番組・CM」が最も高く3割超
●エシカル消費への興味は4割超、60代では半数以上と最も高い
●普段意識して行っている行動は、「エコバッグを利用している」が約7割
●「エシカル消費」を取り入れる際、価格の高さや効果の見えづらさがネックのひとつに
●エシカル消費につながる商品やサービス、利用したい人は約7割
●「人・社会・地域・環境に配慮している」と公表し、価格が高い商品・サービスの利用意向は約4割
●今後利用したい商品・サービスは、「食品ロスを減らすことにつながる商品・サービス」

【調査結果】

エシカル消費の認知は5割弱、認知の経路は「テレビ番組・CM」が最も高く3割超
人々や地域、社会、そして地球環境に配慮した買い物や、そのほかのお金を使う行動や考え方を指す「エシカル消費」の認知度を調査した。
「内容をよく知っている」「内容をある程度知っている」「言葉を聞いたことがある程度」を合わせた認知は全体で5割弱、年代が上がるにつれて割合が高くなる傾向にあり、60代では54%の認知となった。「まったく知らない」は、全体で5割強となっている。「SDGs」の認知では、若い年代が高い割合であった「エシカル消費」については上の年代の認知が高く見られた。

認知している人のなかでも、「内容をよく知っている」「内容をある程度知っている」を合わせた内容まで認知している割合は19%で2割弱となった。また、年代で大きな差は見られなかった。

続いて、エシカル消費について「内容をよく知っている」「内容をある程度知っている」「言葉を聞いたことがある程度」と回答した人に、「エシカル消費」という言葉をどこで見聞きしたか調べたところ、「テレビ番組・CM」が、最も高く3割超となった。
エシカル消費への興味は4割超、60代では半数以上と最も高い
エシカル消費について説明をしたうえで、エシカル消費について興味があるか聞いたところ、全体では「興味がある」と「やや興味がある」を合わせた44%が「興味がある」という結果になった。10代から50代までは「どちらともいえない」が3割台後半で高い割合を占めた。60代では、「興味がある」割合が53%と5割を超え、他の年代に比べて高い。
続いて、「エシカル消費」を意識してふだん行動しているかについて聞いて見ると、「している」「ややしている」と回答した「意識して行動している」割合が33%となった。

年代別では、年代が上がるほど行動している割合が高くなり、60代は「意識して行動している」割合が4割超と他の年代に比べて高く、先ほどの「興味」の結果と比例していることがわかる。

グラフにはないが、男女で見ると前項の『興味』の結果と同様に女性のほうが「意識して行動している」割合が高くなっている。
普段意識して行っている行動は、「エコバッグを利用している」が約7割
「人・社会・地域・環境に配慮した消費行動」について、ふだん意識して行っているものについて聞いた。「エコバッグを利用している」が約7割と全体で最も高い行動となった。次いで「買った食品は食べきる、使い切っている」が5割超となった。
年代別の傾向を見ると、全体1位の「エコバッグを利用している」と、2位の「買った食品は食べきる、使い切っている」は、どの年代でも同じ順位となった。10代~30代では「ものを長く使うために大切にしている」や「必要な分だけを購入・注文している」が3位、4位と続く。

一方、50代、60代では「ごみを減らす工夫、分別を心がけている」や「こまめな節電をしている」の項目が上位に見られた。また6位以降では、60代では「リサイクルを積極的にしている」も4割超となった。
「エシカル消費」を取り入れる際、価格の高さや効果の見えづらさがネックの1つに
「エシカル消費」について「興味がある」「やや興味がある」と回答した人、または、意識して行動を「している」「ややしている」と回答した人に、日常生活に「エシカル消費」の行動を取り入れるにあたって、難しいと感じることについて聞いた。

全体では、「関連する商品・サービスの価格が高いこと」が最も高く3割弱となった。次いで、「自分だけが行動しても、あまり効果がないと思うこと」「経済的な負担が大きいこと」「社会・環境の改善への効果がわからないこと」と続く。
次に、「エシカル消費」を日常に取り入れる際に難しいと感じることについて、「エシカル消費」に興味がある人、意識して行動している人を軸に分析した。

「エシカル消費に興味があり、行動している」層は、他に比べて「関連する商品・サービスの価格が高いこと」が3割超で最も高くなった。「エシカル消費に興味はあるが、行動していない」層では、「エシカル消費がよくわからないこと」が24%となり、また、「行動の仕方がわからないこと」も21%と難しいと感じる項目として上位となった。興味はあるが、どういうことをしていいかよくわからないから行動ができていない、という様子が見られる。

また、「エシカル消費に興味はないが、行動している」層は、効果や価格についての項目が上位となったが、「ふだん、いちいち考えて行動していないこと」の項目がランクインしている点が特徴的ともいえる。
●エシカル消費につながる商品やサービス、利用したい人は約7割
ここからは商品やサービスの利用意向についての結果となる。「人・社会・地域・環境に配慮した企業の商品やサービス」を積極的に利用・購入したいかどうか聞いたところ、全体では「そう思う」「ややそう思う」を合わせた約7割が、利用・購入したいと回答しており、前向きな様子がうかがえる。

年代別で見ると、どの年代も7割前後 となり、なかでも10代と60代で利用・購入したいという意向が高い傾向となった。一方で、「あまりそう思わない」「そう思わない」という回答は1割以下となった。
●「人・社会・地域・環境に配慮している」と公表し、価格が高い商品・サービスの利用意向は約4割
次に、「人・社会・地域・環境に配慮し た企業の商品やサービス」を積極的に利用・購入したいという意向がある人に、以下の2つの商品・サービスがあった場合に、どのような意向があるかについて聞いた。

その結果、全体では、人・社会・地域環境に配慮していると公表し、価格が高い「Aを利用したい」「ややAを利用したい」を合わせた【Aを利用したい】割合は44%となった。
調査内で提示した2つの商品・サービス
調査内で提示した2つの商品・サービス
また、人・社会・地域環境に配慮しているとは公表せず、価格が安い「Bを利用したい」「ややBを利用したい」を合わせた【Bを利用したい】割合は26%となり、【Aを利用したい】の方が高くなった。「どちらといえない」は3割と比較的ボリュームを占めている。

前のグラフでは【利用・購入したい】が各年代7割前後と高かったのに対して、【(価格が高い)Aを利用したい】は44%であることから、商品・サービスを選ぶ際に価格の高さが選択肢のネックの1つとなっていることがわかる。

さらに、年代別で見ると【Aを利用したい】割合は10代が最も高く5割超、次いで60代となった。

●今後利用したい商品・サービスは、「食品ロスを減らすことにつながる商品・サービス」
前述の、【A】の商品・サービスを利用したいと回答した人に、今後、どのようなものを利用したいか聞いた。その結果、全体では「食品ロスを減らすことにつながる商品・サービス」が5割超で最も高くなり、次いで「LED電球や充電式電池など省エネの商品」が5割となった。
年代別に見ると、ほとんどの項目において年代が上がるにつれて割合も高くなる傾向にあるが、年代ごとに利用したい商品やサービスの傾向がやや異なっている。

「食品ロスを減らすことにつながる商品・サービス」は、10代~40代で1位となっている。10代では「フェアトレード認証※の商品」が他の年代に比べて利用意向が高くなっている。また「エコマークの商品」についても上位となった。30代では他の年代に比べて「オーガニック商品」の利用意向が高い傾向が見られた。

50代、60代では、「LED電球や充電式電池など省エネの商品」が高く6割前後となった。この年代は、普段意識して行っている消費行動においても「節電」が高い傾向が見られた。60代は、他の年代に比べ上位5位の数値が高くなっており、利用意向の高さがうかがえる。エシカル消費への興味や行動も高く、今後のエシカル商材への利用意向も高いことから、積極的に取り入れていきたいという意向が見受けられる。