九州経済調査協会とCCCマーケティング総合研究所が、2022年9月23日に開業した西九州新幹線について、開通駅エリア(武雄温泉駅、嬉野温泉駅、新大村駅、諫早駅、長崎駅周辺)の開通後1カ月の来訪者数や宿泊施設の稼働状況、来訪者像の変化をそれぞれ分析し、結果を共同で発表した。

沿線自治体で来訪者数・宿泊稼働ともに増加

九州経済調査協会の分析では、西九州新幹線が開通した2022年9月23日を基点に、開通後の1カ月間(2022年9月23日~2022年10月22日)と、前年の同期間(2021年9月24日~2021年10月23日)を比較。スマートフォンの位置情報をもとに算出している「来訪者数(おでかけ指数)」および、宿泊予約サイトに掲載の空室情報をもとに算出している「宿泊施設稼働状況(宿泊稼働指数)」の市町村別の変化を分析した。

おでかけ指数を見ると、開通後1カ月間の来訪者数(20km圏外からの通勤・通学以外の来訪者)は武雄市で90%、嬉野市で73%、長崎市で66%増加。開業初日の記念イベントの効果に加え、特に武雄市では翌日以降も増加傾向が持続した。

周辺地域も含めた西九州エリアでは、佐世保市や伊万里市でも同期間に来訪者数が増加。一方、在来線沿線の鹿島市や佐賀県太良町のほか、武雄市に隣接する佐賀県有田町や長崎県波佐見町では伸び悩みも見られる。


 
宿泊稼働指数を見ると、西九州エリア全体で宿泊施設の稼働が上昇し、空室が少ない状況となっている。供給が大きい長崎市でも稼働が大幅に上昇。全国旅行支援も後押しになったと考えられる。

福岡・熊本・大分・鹿児島ほか、関東エリアからも来訪

CCCマーケティング総研の分析では、西九州新幹線が開通した2022年9月23日を基点に、開通後の1カ月間(2022年9月23日~2022年10月22日)と、前年の同期間(2021年9月24日~2021年10月23日)を比較。西九州新幹線開通駅周辺1.5kmのTポイントの利用データを用いて、開通駅エリア利用者(開通駅エリア居住者は除く)の変化を分析した。

開通駅エリア利用者は、40~60代のミドル層が多いことがわかった。CCCマーケティング総研は彼らを旅行が趣味で、休日は夫婦や家族と出かけるアクティブ志向であると分析している。
また、来訪者の居住エリアを見ると、九州エリア内では福岡県・熊本県・大分県・鹿児島県に伸長傾向がみられたほか、東京都や神奈川県など関東エリアからの来訪者も増えていることがわかった。
今後も両社は継続してデータ分析を行い、西九州新幹線開通後の変化の可視化に取り組んでいくとしている。