PR TIMESは12月12日、1月1日~10月31日に企業から発表されたプレスリリース総計26万9041件(10カ月間)を対象として、プレスリリース発表の際、発表企業が登録した関連キーワードを分析。年間データ分析と総括、業界別分析と各種ランキングなどを発表した。

昨年躍進のSDGsがランキング1位に。コロナ関連キーワードは20位圏外

PR TIMESキーワードランキング2022では1万1999件のプレスリリースで使用された「SDGs」が総合1位となった。生活者の商品選択においても求められる考え方として定着しつつあり、関連するキーワードも順位を上げ、「サステナブル」が17位(昨年は28位)、脱炭素が73位(昨年177位)となっている。また、業界別で全27カテゴリ内でも16カテゴリで10位以内に入っており、業界や事業内容を問わず企業全体で注目されたキーワードであったことがうかがえる。[インテリア・雑貨][アパレル・ファッション][食品・飲料][外食・中食][ホテル・レジャー]といった生活者に直接向き合った業界カテゴリ内でも上位にあり、生活者の消費行動に「SDGs」の観点が影響を与えているといえる。
20位圏内から「コロナ」に関連するキーワードがなくなったことも特徴的だ。2021年には3位の「コロナ」を筆頭に、8位「おうち時間」、11位「テレワーク」とコロナ禍に対応した企業活動が登録キーワードに表れていたが、2022年は「コロナ」が41位、「おうち時間」43位、「テレワーク」36位となった。

2022年の上昇キーワード

■イベント
オンラインイベントが定着化し、規制緩和によってリアルイベント開催が徐々に増えつつあったところに加えて、3月17日に政府よりイベント参加者の上限撤廃(感染防止安全計画の策定が必要)が発表されたことにより、企業によるイベント発表も増え続け、7月8月はランキング1位となった。

■NFT、メタバース
2021年1月~10月には836件だった「NFT」は、2022年1月~10月には2929件と約3.5倍に伸び総合31位に、2021年には114件だった「メタバース」は2022年には2620件と約23倍で総合38位になった。大企業による新規参入や事業連携なども目立ち、また、スタートアップによる資金調達の発表も活発で、「NFT」と「資金調達」を同時に含むプレスリリースは52件、「メタバース」と「資金調達」を同時に含むプレスリリースは56件だった。

2023年に注目されるキーワード

■自販機
昨年49件だった「自販機」は、今年300件と6倍超に増えた。生活において身近な「自販機」は、コロナ禍で非接触を意識する生活者に対し、従来の飲料以外にスイーツや食品、生活品といった“変わりダネ”を取り扱う「自販機」が全国に登場した。実際にうな重やトリュフといった“変わりダネ”食品から、ふるさと納税までも自販機で取り扱うといった主旨のプレスリリースが発表されている。その商品のユニークさからメディアやSNSでも話題となるものも多く、非接触というニーズが落ち着きつつあるなかでも、新たな「自販機」が登場し、関連する新情報が増えている。
■Web3
「Web3」はブロックチェーン技術を活用した分散型インターネットを指す。昨年10カ月で7件に留まっていたキーワード登録は、今年180倍超に当たる1287件まで急増し108位まで順位を伸ばした。新たに「Web3」を活用した次世代のWebサービスの誕生が期待されるなかで、大企業の新規事業参入や提携に関するプレスリリースが多数発表されている。また、複数のVCから数十~百億円超規模の「Web3」に特化したファンドの組成がプレスリリース発表されている。2022年内で見ても、1月には28件だったキーワード登録件数は、10月には226件と8倍超に伸び、10か月累計で1287件のキーワード登録がされており、今後さらに増えていくことが予想される。

カテゴリ別にも見えるのはSDGsの盛り上がりと脱コロナ

2022年総合ランキングで1位となった「SDGs」だが、業界カテゴリ別においても多くで上位に入っている。[アパレル・ファッション]カテゴリでも、カテゴリ別総合で4位「SDGs」5位「サステナブル」ととくに使用されている。廃材を利用した新商品や「サステナブル」な素材だけを用いた衣服など、身に着けるものに「SDGs」「サステナブル」意識を求める生活者に応えるように、企業発表でキーワードが使用されている。
[外食・中食]カテゴリにおいて、昨年は1月~10月まですべての月で「テイクアウト」が1位となっており、レストランなどが店舗で提供できない期間も続き、「テイクアウト」業態を開始する飲食店が増えた結果といえる。2022年は緊急事態宣言が発令されず、店舗営業ができる社会状況が続き、「テイクアウト」「デリバリー」のキーワードともに順位が落ち着いてきている。代わりに上位をキープしたのは、「期間限定」や「キャンペーン」といったキーワードだった。一方で、「テイクアウト」も業態としての利便性の高さもあり、引き続き使用されることが多く、カテゴリ別総合でも4位となっている。
[エンタテイメント]カテゴリでは、「映画」や「ライブ」「舞台」といったオフラインの活動を伴うエンタテイメントに関する発表が増えてきた。2021年も上位にあった「YouTube」が引き続き6位にあるものの、その上に「映画」「ライブ」がランクインしている。2021年はコロナ禍にあって多くの音楽関連イベントやフェスの中止や延期が発表されたのに対し、2022年は感染対策を施した上で実施するケースも多く、夏シーズンは特に「ライブ」が上位に来ている。コロナ禍が収まりつつあった2022年は[エンタテイメントにおいても平時に近い企業活動に伴う発表がなされてきたといえる。