サイバーエージェントはデジタルインファクトと共同で、今回で9度目となる国内動画広告の市場動向調査を実施し、2月13日、その結果を公開した。

同調査では、インターネットを通して配信される動画広告の年間広告出稿額を推計し市場規模予測を算出している。今回の調査結果から、2022年の動画広告市場は5601億円、前年対比133.2%と成長していることがわかった。

調査結果サマリー

  • 2022年国内動画広告市場の背景
  • 動画広告市場推計・予測 <広告デバイス別> 2021年-2026年(PC・スマートフォン・コネクテッドテレビ)
  • 動画広告市場推計・予測 <広告商品別> 2021年-2026年(インフィード広告・インストリーム広告・インバナー広告)
  • 国内動画広告市場の今後の課題と展望

2022年国内動画広告市場の背景

2022年2月に発生したウクライナ危機に端を発したエネルギー価格の高騰や急激な円安の進行と、それにともなう物価上昇などで経済環境に不透明感が漂う中、インターネット広告市場は堅調に推移した。インターネット広告市場における需要は、引き続き静止画から動画へと移行が進んでいることがわかる。

スマートフォン端末が中心であったユーザーの動画コンテンツの視聴が、コネクテッドテレビにも広がりつつある中で、動画広告においても新たな需要機会が生まれつつある。

動画コンテンツの形式や媒体の多様化が進み、これに合わせて広告事業者による新しい広告商品の開発と提供が進んでいる。

これらのことから、広告主による動画コミュニケーションに対する投資はますます進み、2022年の動画広告市場は、前年を大きく上回る高い水準で成長を遂げた。

動画広告市場推計・予測 <デバイス別>(2021年-2026年)

  • 2022年の動画広告市場は、昨対比133.2%の5601億円に到達。
  • 2023年には7209億円、2026年には1兆2451億円に達する見込み。
「TVer」などテレビ番組の再放送を動画配信サービスで視聴するユーザーが増加する中で、2022年11月から12月にかけて、新しい未来のテレビ「ABEMA(アベマ)」による「FIFA ワールドカップ カタール 2022」全64試合が無料生中継で行われたことなどにより、動画配信サービスをコネクテッドテレビで視聴する生活様式が定着しつつある。

近年ショート動画が若年層ユーザーを中心に大きな支持を得ており、その視聴時間が増加している。広告主企業によるショート動画を活用したユーザーとのコミュニケーションに対する関心の高まりを受け、大手広告プラットフォームでは、これに対応する新しい広告フォーマットの開発・提供が進んでいる。

このように動画広告需要の多面的な広がりを受け、2022年の動画広告市場規模は、昨年対比133.2%となる5601億円と高い成長を遂げた。

スマートフォン向け動画広告需要は前年対比132.7%の4621億円にのぼり、動画広告需要全体の83%を占める見込みとなっている。

また、コネクテッドテレビ向け動画広告需要は昨年対比157.0%となる540億円と、急成長を遂げている。

動画広告市場推計・予測 <広告商品別>(2021年-2026年)

2022年の動画広告市場では、昨年に引き続き、大手動画配信サービスにおけるインストリーム動画広告の需要が大きく増加し、市場全体の成長をけん引している。

また、ソーシャルメディアにおいては、引き続き広告主による動画フォーマットを活用したコミュニケーション需要が増加した。動画広告は、広告主が提供する製品・サービスの認知から購買までを促進する幅広い役割を担っていることが伺える。

動画広告市場は今後もインターネット広告市場全体の水準を上回る、高い成長率で推移することが予想された。2023年には7209億円、2026年には1兆2451億円に達すると予想されている。

国内動画広告市場の課題・今後

動画広告の配信先デバイスや、広告媒体、広告フォーマットはますます多様化が進んでおり、広告主はそれぞれの場に適した広告表現によるコミュニケーションがますます求められるようになりつつある。

ユーザーのプライバシー配慮を前提に、個人、場所、場面に応じた適切なコミュニケーションが実現することにより、動画広告市場は引き続き高い水準の成長を継続することが予想されている。

■調査概要
・同調査は、動画広告業界関連事業者へのヒアリング調査ならびに公開情報、調査主体およびデジタルインファクトが保有するデータ等を参考に実施。広告主が支出する広告費を対象に市場規模を算出している。
・デバイス別・コネクテッドテレビ向けの2021年需要推計数値はAJA/SMN/デジタルインファクト調べによる。