Vol.53 僕の強みは、何者でもないからこそ何者にもなれること キャリアアップナビ
キャリアアップナビでは、マーケティングやクリエイティブ職のキャリアアップについて、毎月テーマをピックアップして解説します。今回は、Luup(ループ)でMarketing部の部長を務める高木僚平(たかぎりょうへい)さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
──どのような学生時代を過ごしましたか?
僕は慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)にある環境情報学部に通っていました。SFCは従来の学問の枠にとらわれないカリキュラムが有名。僕も音楽制作に映像制作、ゲームプログラミングなど、いろいろな講義を受けました。ゼミで専攻したテーマはプロダクトデザイン。もともとミーハーで、面白そうなことにはどんどん手を出す学生でしたね。
就活ではマスコミやエンタメ系の会社ばかり受けました。もう少し考えて探せば良かったな、と思わなくもないですが、やりたいことの軸がなかった。そこで、面接やインターンを通じ、一番好きになったサイバーエージェントに入社しました。
2010年に入社して、最初の配属は希望通り、リスティング広告の営業でした。インターネット広告市場は成長期で、媒体別広告費ではテレビに次ぐ位置に躍進した時期。チームや顧客にも恵まれ、売上を伸ばすことができました。
サイバーエージェントは、今でこそ「ABEMA」などの自社メディア事業が注目されますが、インターネット広告もまた、会社の花形事業。そこで活躍して、新人賞も取ることができました。
翌年にAmebaのゲーム部門に異動し、データ分析組織の立ち上げに関わったことで、さらに活躍の場が広がりました。世間では、「データサイエンティストが21世紀で最もセクシーな職業だ」なんてもてはやされていましたしね(笑)。
その後、入社5年目で、子会社の社長を任せてもらうことに。順調にキャリアを重ねたように聞こえるかもしれませんが、実はそこで大きな挫折を味わったんです。
サイバーエージェントは成果主義の会社。入社1年目で子会社の社長になった同期もいます。それに比べると出遅れた感があり、焦りもありました。成功体験によるプライドが邪魔をして、悩みを誰にも相談できず、ひとりでもがいていました。そんな姿勢では経営なんてやれるわけがありません。責任範囲が大きくなるにつれて、いくつも壁にぶち当たって、結果的に会社にも迷惑をかけてしまいました。
設立されたばかりの電通デジタルに転職したのは、多様な事業や文化と接触する機会を増やし、視野を広げる必要性を感じたから。2016年設立の会社ですから、僕は中途採用の第1期メンバーでした。
入社後、事業コンサルタントとして企業のグロース戦略に伴走する仕事を担いました。自然とスタートアップの顧客が増え、世の中に新しい価値をつくり出す面白さに、どっぷりとはまっていきました。それが次の職場にスタートアップを選んだきっかけかもしれません。
何より良かったのは、自分とは違う意見を楽しめるようになったこと。取引先の社長や電通から出向していたスーパークリエイターたちと接する中で、異なる価値観の掛け算が素晴らしいアウトプットを生む瞬間を何度も目にしました。ひとりでできることには限界があります。より良い成果を導くために、どれだけ他の人の考えを聴くことができるか。そんなふうに根本的な姿勢を変えることができたのは、転職による最大の収穫でした。
──現在のLuupに移った理由を教えてください。
広告業やコンサルティング業の良いところは、幅広い顧客と接しながら専門的な知識やスキルを磨けることだと思います。そこで得た武器を使って再度、自社事業にフルコミットし、意思決定をする立場を経験したかったんです。広告会社、コンサル、事業会社、この3社を行き来すれば、らせん階段を上るように成長できるのではないか、と。
Luup(ループ)は電動マイクロモビリティのシェアリングサービスを展開する会社。僕はMarketing部を統括しています。ミッションは入社時からフェーズによって変化してきていますが、サービスのハブとなる「ポート」の設置数を増やすことや、新規ユーザーの獲得を目的としたプロモーション活動などを担当してきました。
前職までの経験を生かせる事業開発やデータ分析はやらないの?と思われるかもしれませんが、僕は自分の担務する範囲にこだわりがありません。ただ、Luupが掲げる「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」というミッションに共感していて、絶対に達成したいと思っているだけ。そのパズルを完成させるために、足りないピースをみんなで埋める。僕が埋めるべきピースが、今はプロモーションなんです。
あれこれと手を出したくなる性格は、学生時代から全然変わりませんね(笑)。そのせいで、転職活動には不向きかもしれません。「あなたは何者か?」と問われるわけですから。SaaS業界や外資系企業のように、役割が細分化され、専門性が重宝される分野では勝てないと思います。でも僕は、パズルを埋められるピースをたくさん持っている。成功も失敗も経験して、何者にでもなれる柔軟性もある。これは間違いなく僕の強みだし、フィットする場所は必ずあると思って日々進んでいます。
僕は慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)にある環境情報学部に通っていました。SFCは従来の学問の枠にとらわれないカリキュラムが有名。僕も音楽制作に映像制作、ゲームプログラミングなど、いろいろな講義を受けました。ゼミで専攻したテーマはプロダクトデザイン。もともとミーハーで、面白そうなことにはどんどん手を出す学生でしたね。
就活ではマスコミやエンタメ系の会社ばかり受けました。もう少し考えて探せば良かったな、と思わなくもないですが、やりたいことの軸がなかった。そこで、面接やインターンを通じ、一番好きになったサイバーエージェントに入社しました。
2010年に入社して、最初の配属は希望通り、リスティング広告の営業でした。インターネット広告市場は成長期で、媒体別広告費ではテレビに次ぐ位置に躍進した時期。チームや顧客にも恵まれ、売上を伸ばすことができました。
サイバーエージェントは、今でこそ「ABEMA」などの自社メディア事業が注目されますが、インターネット広告もまた、会社の花形事業。そこで活躍して、新人賞も取ることができました。
翌年にAmebaのゲーム部門に異動し、データ分析組織の立ち上げに関わったことで、さらに活躍の場が広がりました。世間では、「データサイエンティストが21世紀で最もセクシーな職業だ」なんてもてはやされていましたしね(笑)。
──転職を決意させる何かがあったのでしょうか。
その後、入社5年目で、子会社の社長を任せてもらうことに。順調にキャリアを重ねたように聞こえるかもしれませんが、実はそこで大きな挫折を味わったんです。
サイバーエージェントは成果主義の会社。入社1年目で子会社の社長になった同期もいます。それに比べると出遅れた感があり、焦りもありました。成功体験によるプライドが邪魔をして、悩みを誰にも相談できず、ひとりでもがいていました。そんな姿勢では経営なんてやれるわけがありません。責任範囲が大きくなるにつれて、いくつも壁にぶち当たって、結果的に会社にも迷惑をかけてしまいました。
設立されたばかりの電通デジタルに転職したのは、多様な事業や文化と接触する機会を増やし、視野を広げる必要性を感じたから。2016年設立の会社ですから、僕は中途採用の第1期メンバーでした。
入社後、事業コンサルタントとして企業のグロース戦略に伴走する仕事を担いました。自然とスタートアップの顧客が増え、世の中に新しい価値をつくり出す面白さに、どっぷりとはまっていきました。それが次の職場にスタートアップを選んだきっかけかもしれません。
何より良かったのは、自分とは違う意見を楽しめるようになったこと。取引先の社長や電通から出向していたスーパークリエイターたちと接する中で、異なる価値観の掛け算が素晴らしいアウトプットを生む瞬間を何度も目にしました。ひとりでできることには限界があります。より良い成果を導くために、どれだけ他の人の考えを聴くことができるか。そんなふうに根本的な姿勢を変えることができたのは、転職による最大の収穫でした。
──現在のLuupに移った理由を教えてください。
広告業やコンサルティング業の良いところは、幅広い顧客と接しながら専門的な知識やスキルを磨けることだと思います。そこで得た武器を使って再度、自社事業にフルコミットし、意思決定をする立場を経験したかったんです。広告会社、コンサル、事業会社、この3社を行き来すれば、らせん階段を上るように成長できるのではないか、と。
Luup(ループ)は電動マイクロモビリティのシェアリングサービスを展開する会社。僕はMarketing部を統括しています。ミッションは入社時からフェーズによって変化してきていますが、サービスのハブとなる「ポート」の設置数を増やすことや、新規ユーザーの獲得を目的としたプロモーション活動などを担当してきました。
前職までの経験を生かせる事業開発やデータ分析はやらないの?と思われるかもしれませんが、僕は自分の担務する範囲にこだわりがありません。ただ、Luupが掲げる「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」というミッションに共感していて、絶対に達成したいと思っているだけ。そのパズルを完成させるために、足りないピースをみんなで埋める。僕が埋めるべきピースが、今はプロモーションなんです。
あれこれと手を出したくなる性格は、学生時代から全然変わりませんね(笑)。そのせいで、転職活動には不向きかもしれません。「あなたは何者か?」と問われるわけですから。SaaS業界や外資系企業のように、役割が細分化され、専門性が重宝される分野では勝てないと思います。でも僕は、パズルを埋められるピースをたくさん持っている。成功も失敗も経験して、何者にでもなれる柔軟性もある。これは間違いなく僕の強みだし、フィットする場所は必ずあると思って日々進んでいます。