Vol.6 転職はプラス、マイナスどっち?「マーケターのキャリア」〈後篇〉 キャリアアップナビ
キャリアアップナビでは、マーケティングやクリエイティブ職のキャリアアップについて、毎月テーマをピックアップして解説します。今回はマーケターとしてのキャリアを考えたときに転職はプラスに働くのか、マイナスになるのか。先月から2回にわたってご紹介しています。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずでは、なかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
──転職はプラス・マイナス、どちらに働くのでしょうか?
前編で説明しましたが、日本の企業はジョブローテーションが一般的でジェネラリストを育成しようとする傾向が強いことから、「マーケティングを極めたい」と考えているマーケターは転職を重ねてスキルアップしていくケースが多いです。転職によって多様な業種・商材のマーケティング経験を積むことはマーケターとしてキャリアの糧になるでしょう。一方で、安易に転職をしてしまうと転職してから前の職場の良さに気づき、後悔してしまうこともありえます。
転職を考えているのであれば、業務内容以外のこともよく調べた上で慎重に判断してください。
──転職を検討する上で、なにから始めればよいですか?
まずは自分自身のキャリアに対する価値観を整理することから始めましょう。キャリアの成功は自分にとってなんなのか。必ずしも高収入を得ることや出世することがキャリアの成功ではないかもしれません。
キャリアは、単に職歴を指すのではなく、人生そのものです。長期的なスパンから今回の転職でなにを得たいのかを把握し、それが実現できる環境があるのか、情報収集をしましょう。
──どのような情報を収集すればよいですか?
「会社概要」「業務内容」「年収」「役職」「働き方(労働時間など)」「労働条件」など、基本的な求人情報は必ず確認しましょう。
加えて、経営者の考え方や企業理念に共感できるかがとても重要です。自分の価値観にそわなければ、その会社の社風とは合わないかもしれません。
さらに、会社が扱う商品・サービスのライフサイクルにおけるステージを知ることも大切です。すでに市場や顧客がつくられている商品・サービスよりも、まだ一般に知られていないサービスをスケールアップさせることの方がマーケターとしてスキル向上につながり、個人として自負できる実績になることもあるからです。
長期的な視点でいえば、会社の将来性や業績のリスクも確認したほうがよいでしょう。産休・育休や介護休暇、退職金制度など、ライフステージにあわせた制度面、さらに定年後のセカンドキャリアが描けるかどうかまで考えておくと安心です。
求人票から得られる情報には限界があります。中途採用の場合は、面接で、求人の背景や会社の現状を包み隠さず開示してくれる企業が多いです。社長やCMOと直接話をして判断するのがよいでしょう。もし聞きづらいことがあれば、転職エージェントを介するのも有効です。
──転職を決める前に、いま勤めている会社について確認するべきことはありますか?
人事労務制度と給与を改めて確認し、転職を考える先の企業と比較することをおすすめします。産休・育休の取得率、退職金制度など、いまはその制度を利用していなくても、ライフステージの変化に伴い将来的に受けることができる福利厚生は大切な判断材料です。特に退職金制度は在籍期間によって金額の変動があり、転職をするとゼロからのスタートになってしまうこともあります。
また、源泉徴収票などから正確な現行年収や月収も把握しておきましょう。特に額面(基本給に残業代や交通費、諸手当を合計した金額)と手取り(額面から税金や社会保険料などを控除した金額)の違いを認識しておくべきです。一般的に額面が年収・月収の金額となります。さらに、将来的な年収の上がり幅も確認しておきましょう。仕事内容も大切ですが、実際に生活するうえで給与は重要です。ライフステージによって給与に対する価値観が変わることもあるので、長期的な目線で現職と転職先との給与を比較してみるとよいでしょう。
──広告会社から事業会社へ転職する際、気をつける点はありますか?
広告会社やコンサルティングファームの出身者が事業会社のマーケターへ転身するケースはよくあります。自社の商品・サービスに愛着を持ち、深く追究できる点は事業会社のメリットです。一方、事業会社では、製造部門や経営企画、販売部門など、売り上げに直結する部門が会社の中心です。マーケティング部門は事業ドメインをサポートする立場で、非生産部門としてコストセンター扱いになる場合も多いです。この点は広告会社から事業会社に転職した場合のギャップかもしれません。
給与面では、広告会社は月収が高く、賞与の比重は高くないところが多いです。一方、事業会社は、賞与の比重が高い企業が多いです。そのため、入社の時期によっては、賞与が満額支給されないケースも考えられ、入社1年目の年収は下がってしまうこともあります。年収については、初年度だけでなく長期的なスパンで確認することをおすすめします。
──逆に、事業会社から広告会社へ転職する際、気をつける点はありますか?
コンサルタントとして企業のマーケティングを支援することを最終的なキャリアのゴールにしている人もいます。さまざまな業種や企業のマーケティング手法を経験できることがコンサルティング側へ転職するメリットです。ただし、コンサルティング会社は実力主義です。実力がなければ、居場所がなくなっていく場合もありえます。
事業会社から広告会社へ転職する場合は、労働時間や待遇面、福利厚生なども含め、いまの働き方が転職してどのように変わるのかをイメージできるくらいまで詳細に確認したほうがよいでしょう。裁量労働制を導入している企業や退職金制度がない企業も多いです。
──いま転職すべきですか? それとも、しないべきですか?
いろいろな角度から情報収集をした結果、いまだと判断したのなら転職すべきです。マーケティング職の求人は、1人の枠が決定すると案件がクローズになるピンポイント採用が多く、件数も決して多いとはいえません。転職はタイミングも重要です。機会を伺っている間にせっかくのチャンスを逃してしまうケースも考えられます。
もし転職に迷っているのであれば、第三者の意見を聞いてみるのもよいかもしれません。
前編で説明しましたが、日本の企業はジョブローテーションが一般的でジェネラリストを育成しようとする傾向が強いことから、「マーケティングを極めたい」と考えているマーケターは転職を重ねてスキルアップしていくケースが多いです。転職によって多様な業種・商材のマーケティング経験を積むことはマーケターとしてキャリアの糧になるでしょう。一方で、安易に転職をしてしまうと転職してから前の職場の良さに気づき、後悔してしまうこともありえます。
転職を考えているのであれば、業務内容以外のこともよく調べた上で慎重に判断してください。
──転職を検討する上で、なにから始めればよいですか?
まずは自分自身のキャリアに対する価値観を整理することから始めましょう。キャリアの成功は自分にとってなんなのか。必ずしも高収入を得ることや出世することがキャリアの成功ではないかもしれません。
キャリアは、単に職歴を指すのではなく、人生そのものです。長期的なスパンから今回の転職でなにを得たいのかを把握し、それが実現できる環境があるのか、情報収集をしましょう。
──どのような情報を収集すればよいですか?
「会社概要」「業務内容」「年収」「役職」「働き方(労働時間など)」「労働条件」など、基本的な求人情報は必ず確認しましょう。
加えて、経営者の考え方や企業理念に共感できるかがとても重要です。自分の価値観にそわなければ、その会社の社風とは合わないかもしれません。
さらに、会社が扱う商品・サービスのライフサイクルにおけるステージを知ることも大切です。すでに市場や顧客がつくられている商品・サービスよりも、まだ一般に知られていないサービスをスケールアップさせることの方がマーケターとしてスキル向上につながり、個人として自負できる実績になることもあるからです。
長期的な視点でいえば、会社の将来性や業績のリスクも確認したほうがよいでしょう。産休・育休や介護休暇、退職金制度など、ライフステージにあわせた制度面、さらに定年後のセカンドキャリアが描けるかどうかまで考えておくと安心です。
求人票から得られる情報には限界があります。中途採用の場合は、面接で、求人の背景や会社の現状を包み隠さず開示してくれる企業が多いです。社長やCMOと直接話をして判断するのがよいでしょう。もし聞きづらいことがあれば、転職エージェントを介するのも有効です。
──転職を決める前に、いま勤めている会社について確認するべきことはありますか?
人事労務制度と給与を改めて確認し、転職を考える先の企業と比較することをおすすめします。産休・育休の取得率、退職金制度など、いまはその制度を利用していなくても、ライフステージの変化に伴い将来的に受けることができる福利厚生は大切な判断材料です。特に退職金制度は在籍期間によって金額の変動があり、転職をするとゼロからのスタートになってしまうこともあります。
また、源泉徴収票などから正確な現行年収や月収も把握しておきましょう。特に額面(基本給に残業代や交通費、諸手当を合計した金額)と手取り(額面から税金や社会保険料などを控除した金額)の違いを認識しておくべきです。一般的に額面が年収・月収の金額となります。さらに、将来的な年収の上がり幅も確認しておきましょう。仕事内容も大切ですが、実際に生活するうえで給与は重要です。ライフステージによって給与に対する価値観が変わることもあるので、長期的な目線で現職と転職先との給与を比較してみるとよいでしょう。
──広告会社から事業会社へ転職する際、気をつける点はありますか?
広告会社やコンサルティングファームの出身者が事業会社のマーケターへ転身するケースはよくあります。自社の商品・サービスに愛着を持ち、深く追究できる点は事業会社のメリットです。一方、事業会社では、製造部門や経営企画、販売部門など、売り上げに直結する部門が会社の中心です。マーケティング部門は事業ドメインをサポートする立場で、非生産部門としてコストセンター扱いになる場合も多いです。この点は広告会社から事業会社に転職した場合のギャップかもしれません。
給与面では、広告会社は月収が高く、賞与の比重は高くないところが多いです。一方、事業会社は、賞与の比重が高い企業が多いです。そのため、入社の時期によっては、賞与が満額支給されないケースも考えられ、入社1年目の年収は下がってしまうこともあります。年収については、初年度だけでなく長期的なスパンで確認することをおすすめします。
──逆に、事業会社から広告会社へ転職する際、気をつける点はありますか?
コンサルタントとして企業のマーケティングを支援することを最終的なキャリアのゴールにしている人もいます。さまざまな業種や企業のマーケティング手法を経験できることがコンサルティング側へ転職するメリットです。ただし、コンサルティング会社は実力主義です。実力がなければ、居場所がなくなっていく場合もありえます。
事業会社から広告会社へ転職する場合は、労働時間や待遇面、福利厚生なども含め、いまの働き方が転職してどのように変わるのかをイメージできるくらいまで詳細に確認したほうがよいでしょう。裁量労働制を導入している企業や退職金制度がない企業も多いです。
──いま転職すべきですか? それとも、しないべきですか?
いろいろな角度から情報収集をした結果、いまだと判断したのなら転職すべきです。マーケティング職の求人は、1人の枠が決定すると案件がクローズになるピンポイント採用が多く、件数も決して多いとはいえません。転職はタイミングも重要です。機会を伺っている間にせっかくのチャンスを逃してしまうケースも考えられます。
もし転職に迷っているのであれば、第三者の意見を聞いてみるのもよいかもしれません。