──ライフネット生命からLINE Financialになぜ転職されたのでしょうか?
ライフネット生命の創業10周年という節目と、LINEの金融事業が立ち上がるタイミングが重なったことが大きいです。

ライフネット生命には、まだ社員が10人ぐらいの準備会社のときに出向社員として参加しました。そこから10年が経ち、創業者の二人も卒業され、私自身も10年という節目で次のステップを考えるようになりました。ちょうどそのタイミングで、LINEが金融サービスを立ち上げることを知りました。

LINEは2019年11月現在、月間アクティブユーザー数8200万人、私が入社した2018年は7900万人でした。現在も利用ユーザーは拡大していますし、もはや公共インフラと言っても過言ではないくらい、大きな影響力があります。LINEに入れば、自分の関わった仕事を通じて、いままで以上に社会に大きなインパクトを与えることができるのではないかと思いました。マーケターとして、現状に甘んじることなく、いまの自分の力を試してみたいという気持ちがあったことも正直あり、LINEへの転職を決意しました。2018年10月にLINE Financialに入社し、現在はLINE Financialのマーケティングを担当しています。

──岩田さんはもともとテレビ業界出身とお聞きしました。
学生時代から、新聞やテレビなどのメディアに興味がありました。新卒で入社した番組制作会社は、自分が子どものころに見ていたお笑い番組など、たくさんのバラエティー番組を制作していました。また、番組の著作タイトルを使ったグッズやゲームの制作も行っており、ADの仕事もしつつ、著作タイトル管理の担当をしていました。

いまでは知的財産を活用したロイヤリティビジネスも一般的になってきましたが、新卒からいろいろと先進的な経験を積ませてもらえたことは、本当に自分の糧になりました。新しいモノ・コトに挑戦する姿勢はいまに活きていると思います。
──そこからなぜマーケターへ転身したのか気になります。
どこか自分の知らない遠くの人が、自分の仕事を介して幸せになれるようなことをやっていきたかったんです。

ソフトバンクに勤めていたときに、ちょうど2002年のサッカーワールドカップがあり、スポーツメーカーのガラケーサイトのディレクションを担当しました。所属選手の待ち受け画像の制作や、試合レポートを編集して翌朝に記事をアップしました。画像をダウンロードして喜んでいるユーザーの姿や、記事を読んで日本チームの活躍を知ってくれたりする光景が見られてすごく嬉しかったです。

日本中がわっと盛り上がる、その熱狂の一端を担い、ステージ横で見ているような感覚は心地よく、「自分の仕事はこれだ!」と思いました。

その後、いくつかのPR会社を経験し、創業間もないライフネット生命へ転職。金融業界の経験はなかったのですが、これも「保険を通じて誰かの役に立ちたい、マーケティングを通じて誰かをモチベートしたい」という気持ちが根底にあるからです。

例えば、オウンドメディアを通して、社会課題に取り組んでいる方を多数ご紹介したのも、その気持の表れだったのかもしれません。もちろん、ビジネスとして成立しているのが前提であることは言うまでもありません。

──最初のキャリアから一貫して変わらないわけですね。では改めていまの仕事についても伺っていこうと思います。LINEではどのような業務を担当されていらっしゃるのでしょうか?
LINE Financial全体のマーケティングを兼任しながら、特にLINE証券、LINE Creditといった個別サービスのマーケティングを担っています。LINE Financialは、保険、投資や証券、スコアリングサービス、ローンサービスと金融のあらゆるカテゴリーを網羅しています。
──前職よりもサービス領域が広がったのですね。これまでの取り組みで、印象に残っているものはありますか?
先日初めてLINE PayとLINE Financialの共催で、ユーザー参加型のイベントを開催しました。お金にまつわる情報を知ってもらうために、ファイナンシャルプランナーの対談や資産運用が学べる当社オリジナルのカードゲームを実施。イベント告知をしたところ、50組100人の定員のご案内だったのですが、約十倍もの方にエントリーいただきました。

キャッシュレスや消費増税において気をつけたほうがいい点や、LINE PayやLINE Financialの各サービスの具体的な使い方を説明しました。LINEに限らずインターネット事業はどうしてもサービス自体がプル型なので、ユーザーに気づいてもらわないと利用されないという課題があります。特にLINEにはさまざまなサービスがあるので、もっと有効的に活用していただきたいと思っています。

例えば、LINE家計簿をつけて固定費を見直し、その余剰金を投資に回す、など。それぞれのサービスを連携しながら、利用していただけたらいいなと思っています。現状のLINEの画面のなかだけでは、サービスを連携して使っていただくイメージを伝えるのが難しかったので、イベント参加者の皆さまにご理解いただくことができ、やってすごくよかったですね。
──最後に岩田さんが仕事で大切にしていること、マーケターとして必要だと思うことについて教えていただけますか。
やっぱり何歳になってもミーハーでいることは大事かなと思います。

最近、ニューヨークの「Amazon Go」に行ってきました。決済の際のストレスがまったくなくて快適でした。外国の小銭はわかりにくいし、チップ文化も慣れないから、支払いにストレスがかからないことほど、楽なことはないですね。現地でアプリをダウンロードして、退店時にゲートでQRコードをスキャンするだけで決済されるわけですから。外国人旅行者にとってすごく便利で安心なシステムだと思いました。

歳を取れば取るほど身体を動かすことが面倒になってしまい、ネットの情報だけで理解した気持ちになってしまう。けれども、なるべく流行っているモノや話題のコトは足を運ぶようにしています。いくつになっても新しいモノやコトに興味をもって、実際に試して、学びを得て、そのうえで、社会に驚きや楽しみを提供できるマーケターでありたいですね。

──月間アクティブユーザー数8200万人を超えるLINEグループへ移り、より一層社会にインパクトを与えていくことが可能ですね。LINE Financialによって金融がどう変わるのか、今後私たちにどんなサービスを届けてくれるのか楽しみです。お話をありがとうございました!
SHARE!
  • facebookfacebook
  • twittertwitter
  • lineline