生涯収入がUPする食事をAIが教えてくれる!? 食事・健康データを集めた先に目指す未来 シグナルトーク 代表取締役 栢孝文さん
会員数120万人を超える国内最大級のオンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan(マルジャン)」を提供するシグナルトーク。同社が2020年1月に発表した「WorkUp AI(ワークアップAI)」は、生涯収入が上がる食事を人工知能(AI)が教えてくれます。なぜ、このようなサービスを始めたのか、代表取締役の栢孝文(かやたかふみ)さんにお聞きしました。印象に残ったのは、テクノロジーの力で人類の歴史に残る「1000年後の教科書に残る仕事」をしたいという、熱い思いでした。
──貴社が2020年1月29日にリリースした「WorkUp AI」は、一体どのようなものなのでしょうか。「生涯収入が上がる食事をAIが教えてくれる」とのことですが…。
事前のカウンセリングで利用者の習慣を学習したAIが、「いま必要な食事」をおすすめするサービスです。
具体的には、AIが利用者の生活習慣や食生活を把握し、健康労働年数をシミュレーションし、生涯収入への影響を食事ごとに金額換算します。また、キーボードのタッチ回数や、顔の表情をパソコン内蔵カメラで観察するなどして、日々のワークパフォーマンスを自動測定し、可視化します。 ──生涯収入のように金額で表示されるのは、面白いですね。
まさにそれを狙いました。「健活」を継続してもらうためには、「面白い」と思ってもらうことが大事だと思います。そのために、オンラインゲームの開発で学んだゲーミフィケーションの要素を取り入れました。
実は、もともと「健康偏差値」を表示していたのですが、それだとあまり動機づけされません。あなたの健康偏差値は65から66にアップしましたと言われても、いまいちピンとこないですよね。しかし、それが「生涯収入」となると、がぜん興味が湧くはずです。
ほかにも「WorkUp AI」では、ハードワーカーでも簡単につくれるレシピや、医師・管理栄養士による「栄養コラム」、食材と健康リスクに関する独自調査など、健康になるために有益な情報を多数掲載しています。
2004年に、オンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan」のサービスを開始したのですが、ゲームのプロモーションも兼ねて、「麻雀は認知症予防に効果がある」という俗説を、医学的に検証しようと思ったのがきっかけです。検証のために、オンライン上で認知機能、脳の状態を測ることができるサービス「脳測」を2012年から開始。研究者や医師の協力を得て調査を始めました。すると、俗説の通り、実際に脳の働きが活発化していることがわかったのです。このとき、オンライン上でヘルスケアデータを集め、それを活かした事業に可能性を感じるようになりました。
ちょうど時を同じく、私の身の回りに、いろいろなことが立て続けに起こりました。なかでも大きかったのは、父親のがんが発見されたことと、共同経営者が鬱で退職したこと。健康、さらに言えば、なぜ人は病気になるのかについて興味を抱くようになりました。
──その後、「WorkUp AI」を開発するに至った経緯を教えていただけますか。
「脳測」の次に、2016年に「my healthy」というサービスをローンチしました。諸説はあるものの、書籍や論文で発表されている約28万通りの健康情報をピックアップし、インターネット調査を実施して検証するサービスです。統計学的な信頼度が99%以上の、相関関係が認められた673通りの健康情報を、有識者監修のもとで普通の人にもわかりやすい内容にしてコンテンツ化しています。
例えば、健康に良いとされているような、ショウガやピーマン、トマトの喫食回数と、頭痛や腹痛、寝不足などの身体症状をヒアリングし、クロス集計し、相関関係を見つけていきます。ほかにも、インフルエンザと早歩き、風邪と根菜喫食の相関関係についても調査しています。こうして慢性的な体調不良の要因がわかり、知見として貯まっていきました。これをベースに、次のサービスをやろうということで始めたのが「WorkUp AI」です。
現在のサービスの対象は、マーケティング・クリエイティブ職や事務職など、パソコン作業を行っているオフィスワーカーがメインです。これは「WorkUp AI」におけるワークパフォーマンス計測の特性上、仕方のないことでした。しかし、今後はスマートウォッチなどの活動量計と連携して、営業職などの職種の人たちにも、サービスの範囲を広げていきたいと考えています。さらにいずれは、工事現場で働く作業員の「ヒヤリハット」を防ぐことができるかもしれません。
──では、最後にシグナルトークが目指す未来について教えてください。
「食事が、人の健康状態に影響を与える」ことへの信憑性は次第に増してきていると感じます。そのため、「WorkUp AI」などを通して、将来的には未病・慢性病に役立つようなサービスを提供していきたいですね。
医師は、病気の専門家ですが未病の専門家ではありません。一方で、管理栄養士は、医学は門外漢だけれども、免疫力をつけ、体を強くするといった未病に関して詳しい。我々はオンライン上の膨大なデータで未病・慢性病の知見が得られました。今後もさらに収集し、なにを食べたらどのようなことが起こるかを、完全に明らかにしていきたいです。そして、健康に対して我々独自のアプローチをしていきたい。
これを、研究者や医者、管理栄養士ではなく、事業家としてアプローチしていきます。なぜなら、10万人、100万人の膨大なデータを集めるプロジェクトは、一個人ではなく企業として大規模に継続的に実施していかないと実現できないからです。そして事業化して、収益的にも持続可能なモデルを構築しなければ、これだけのサンプル数は集められません。
もちろん利益だけでなく、世の中に正しいことを提供し、人類の健康に関して前進をさせていきたいと思っています。それが、当社グループのビジョン「1000年後の教科書に残る仕事。」です。人類の歴史、科学を一歩進めたと言わしめるような仕事をしていきたいですね。 ──食事をきっかけに、慢性病を解決する。そのためには膨大なデータを企業体としてフルパワーで活用していく。それが人類の歴史を変える偉業につながる。今後の貴社の取り組みが楽しみです。本日はお話ありがとうございました。
事前のカウンセリングで利用者の習慣を学習したAIが、「いま必要な食事」をおすすめするサービスです。
具体的には、AIが利用者の生活習慣や食生活を把握し、健康労働年数をシミュレーションし、生涯収入への影響を食事ごとに金額換算します。また、キーボードのタッチ回数や、顔の表情をパソコン内蔵カメラで観察するなどして、日々のワークパフォーマンスを自動測定し、可視化します。 ──生涯収入のように金額で表示されるのは、面白いですね。
まさにそれを狙いました。「健活」を継続してもらうためには、「面白い」と思ってもらうことが大事だと思います。そのために、オンラインゲームの開発で学んだゲーミフィケーションの要素を取り入れました。
実は、もともと「健康偏差値」を表示していたのですが、それだとあまり動機づけされません。あなたの健康偏差値は65から66にアップしましたと言われても、いまいちピンとこないですよね。しかし、それが「生涯収入」となると、がぜん興味が湧くはずです。
ほかにも「WorkUp AI」では、ハードワーカーでも簡単につくれるレシピや、医師・管理栄養士による「栄養コラム」、食材と健康リスクに関する独自調査など、健康になるために有益な情報を多数掲載しています。
オンラインリサーチで膨大な食事・健康データを収集
──利用者の健康を、最大限サポートしているのですね。ところで、貴社の事業はオンラインゲームの企画・開発・運営とのことですが、なぜ、このようなサービスを始めたのでしょうか。2004年に、オンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan」のサービスを開始したのですが、ゲームのプロモーションも兼ねて、「麻雀は認知症予防に効果がある」という俗説を、医学的に検証しようと思ったのがきっかけです。検証のために、オンライン上で認知機能、脳の状態を測ることができるサービス「脳測」を2012年から開始。研究者や医師の協力を得て調査を始めました。すると、俗説の通り、実際に脳の働きが活発化していることがわかったのです。このとき、オンライン上でヘルスケアデータを集め、それを活かした事業に可能性を感じるようになりました。
ちょうど時を同じく、私の身の回りに、いろいろなことが立て続けに起こりました。なかでも大きかったのは、父親のがんが発見されたことと、共同経営者が鬱で退職したこと。健康、さらに言えば、なぜ人は病気になるのかについて興味を抱くようになりました。
──その後、「WorkUp AI」を開発するに至った経緯を教えていただけますか。
「脳測」の次に、2016年に「my healthy」というサービスをローンチしました。諸説はあるものの、書籍や論文で発表されている約28万通りの健康情報をピックアップし、インターネット調査を実施して検証するサービスです。統計学的な信頼度が99%以上の、相関関係が認められた673通りの健康情報を、有識者監修のもとで普通の人にもわかりやすい内容にしてコンテンツ化しています。
例えば、健康に良いとされているような、ショウガやピーマン、トマトの喫食回数と、頭痛や腹痛、寝不足などの身体症状をヒアリングし、クロス集計し、相関関係を見つけていきます。ほかにも、インフルエンザと早歩き、風邪と根菜喫食の相関関係についても調査しています。こうして慢性的な体調不良の要因がわかり、知見として貯まっていきました。これをベースに、次のサービスをやろうということで始めたのが「WorkUp AI」です。
サービスの内容は前述の通りですが、将来的には、WorkUp AIを病院の“処方“の一つに組み込んでいきたいです。AIを用いた医療行為は、いずれ当たり前になる。これは時間の問題です。しかしながら、現在は、法律上の規制で難しい。だからそれまでの間、我々は医療の対応領域ではない、ワークパフォーマンスの改善を行うサービスとして提供をしていきます。
研究者ではなく事業家として人類の歩みを前進させる
──ワークパフォーマンスの改善を行うサービスとして、今後どのような展開を考えていますか。現在のサービスの対象は、マーケティング・クリエイティブ職や事務職など、パソコン作業を行っているオフィスワーカーがメインです。これは「WorkUp AI」におけるワークパフォーマンス計測の特性上、仕方のないことでした。しかし、今後はスマートウォッチなどの活動量計と連携して、営業職などの職種の人たちにも、サービスの範囲を広げていきたいと考えています。さらにいずれは、工事現場で働く作業員の「ヒヤリハット」を防ぐことができるかもしれません。
──では、最後にシグナルトークが目指す未来について教えてください。
「食事が、人の健康状態に影響を与える」ことへの信憑性は次第に増してきていると感じます。そのため、「WorkUp AI」などを通して、将来的には未病・慢性病に役立つようなサービスを提供していきたいですね。
医師は、病気の専門家ですが未病の専門家ではありません。一方で、管理栄養士は、医学は門外漢だけれども、免疫力をつけ、体を強くするといった未病に関して詳しい。我々はオンライン上の膨大なデータで未病・慢性病の知見が得られました。今後もさらに収集し、なにを食べたらどのようなことが起こるかを、完全に明らかにしていきたいです。そして、健康に対して我々独自のアプローチをしていきたい。
これを、研究者や医者、管理栄養士ではなく、事業家としてアプローチしていきます。なぜなら、10万人、100万人の膨大なデータを集めるプロジェクトは、一個人ではなく企業として大規模に継続的に実施していかないと実現できないからです。そして事業化して、収益的にも持続可能なモデルを構築しなければ、これだけのサンプル数は集められません。
もちろん利益だけでなく、世の中に正しいことを提供し、人類の健康に関して前進をさせていきたいと思っています。それが、当社グループのビジョン「1000年後の教科書に残る仕事。」です。人類の歴史、科学を一歩進めたと言わしめるような仕事をしていきたいですね。 ──食事をきっかけに、慢性病を解決する。そのためには膨大なデータを企業体としてフルパワーで活用していく。それが人類の歴史を変える偉業につながる。今後の貴社の取り組みが楽しみです。本日はお話ありがとうございました。