──これまでのキャリアについて教えてください。
新卒では、消費財メーカーを中心に就活を行い、資生堂に入社しました。入社を決めた理由は、今ほどダイバーシティが言われていなかった当時の代表の女性のエンパワーメントに対する思いに共感したからでした。当時の資生堂では新入社員の大多数が営業職に就いたのですが、私は京都・滋賀エリアのドラッグストア、専門店へのルート営業に配属になり、販促プランや新商品の提案をしていました。

化粧品はシーズンごとに新商品が出るため、常にキャンペーンが走っています。例えば当時の注力ブランドであっても、営業の現場に情報が届くのは発売直前ということもありました。そのため、最初は商品の背後にある物語まで見えていなかったのですが、次々と明らかになっていくCM情報や開発背景を知っていくうちに捉え方が一変し、私が扱っている商品は、単なるものではなく、“意味のある温かいもの”だと感じるように。この感覚をお客さまに届けるマーケティングという仕事に興味がわいたのです。そこで、入社3年目に、自由に異動希望を出すことができるジョブチャレンジ制度を利用。希望部署への異動が実現しました。

マーケティング部での最大の担当は、アシスタントブランドマネージャー時代の「マキアージュ」ブランドリニューアルですね。プロジェクトリーダーとして、ブランド価値の根幹の見直しや差別化の追求に心血を注ぎ、中心カテゴリーであった口紅の売上を大幅に成長させました。その後、「マジョリカ マジョルカ」のブランドマネージャーに当時の最年少で就任。「アネッサ」のグローバルブランドマネージャーを経て産休に入り、結果的にそのまま退職しました。
ユーグレナ リーディングブランド部長兼 カンパニー経営企画部 工藤萌さん<br />
2004年、資生堂に入社。営業職を経験後、マーケティング部にてブランド戦略、商品企画、プロモーションを担当。「マキアージュ」アシスタントブランドマネージャー、「マジョリカ マジョルカ」ブランドマネージャー、「アネッサ」グローバルブランドマネージャーを歴任。2019年8月、ユーグレナへマーケティング責任者として入社。マーケティング部門を立ち上げ、現在に至る。
ユーグレナ リーディングブランド部長兼 カンパニー経営企画部 工藤萌さん
2004年、資生堂に入社。営業職を経験後、マーケティング部にてブランド戦略、商品企画、プロモーションを担当。「マキアージュ」アシスタントブランドマネージャー、「マジョリカ マジョルカ」ブランドマネージャー、「アネッサ」グローバルブランドマネージャーを歴任。2019年8月、ユーグレナへマーケティング責任者として入社。マーケティング部門を立ち上げ、現在に至る。
──ユーグレナに転職したきっかけを教えてください。
出産を契機に、子どもが成長したときの日本社会が気に掛かりはじめました。資生堂に復職したらできること、仮に新天地に移ったらできることを考えるなかで、マーケティングの力を使って、売上と社会価値の完全相関をつくりたいと考えるように。ユーグレナはそんな気持ちが強くなったときに出会った会社でした。

話を聞くうちに、ユーグレナの「売れれば売れるほど世の中が良くなる」という考えに共感。成長可能性は大きく、「絶対に社会に必要なものだ、これは売らないと罪だ」という気持ちにもなりました。社内に保育園制度があり子どもを預けられたため、産後10カ月でマーケティングの責任者として入社しました。

──ユーグレナでの仕事について教えてください。
ブランドづくりがメインの仕事で、入社後はまず、ユーグレナの価値を再定義しました。当時は、「高い栄養価」「ダイエットに良い」など、商品ごとに訴求がばらばらで、お客さまにとって「何にいいかわからない」という存在であることが浮かび上がりました。それをユーグレナブランドとしてひとつに集約し、ブランド価値を蓄積できるようにしました。今後の展望は、当社のフィロソフィーである「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」という考え方をブランドを通じて社会に広め、浸透させることです。

また、組織づくりや採用も担当しています。マーケティング部門をほぼゼロから立ち上げ、現在も構築中です。

──キャリア形成において、ターニングポイントはありましたか?
2014年、当時就任したばかりの魚谷社長による資生堂の組織変革を経験したことです。私は社長直下で働きながらMBAの大学院に通っていたのですが、そこで学んでいた組織変革プロセスを、魚谷社長が社内環境に合わせてアレンジしながら実践する光景を目の当たりにしました。変わらないと思い込んでいたものがどんどん変わっていくなかで、どれほど難しい課題でも決して諦めてはいけない、マーケターとしてやれることはたくさんあるのだと気付かされました。
──若手マーケターへのメッセージをお願いします。
成長は、知識と経験の掛け合わせから生まれます。知識は時間とやる気があれば独学でも身につきますが、経験はひとりでは得られません。重要なのは、自ら手を挙げてバッターボックスに立ち、そこで必要となる知識をインプットして、学びと実践の高速回転を実現させること。私も成長の角度を鈍らせないよう、常に意識しています。

また、私自身のキャリアの指針として「個人も組織もパーパス(存在意義)のピン留めができているか」を大切にしています。私のパーパスは、世界平和です。前職も現職も、入社を決めた理由は、そこで働くことが社会課題の解決に最速、かつ最適な手段だと思ったからです。いまも日々社会課題にコミットできている実感があり、喜びを感じています。これからも“幸せの総量”を増やせるよう、邁進していきたいです。
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【聞き手】
荒川直哉
株式会社マスメディアン
キャリアコンサルティング部 部長
国家資格キャリアコンサルタント
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。年間600名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社のマーケティング・クリエイティブ部門や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。「転職を検討している人材」と「採用企業」の両方の動向を把握しているエキスパート。転職者の親身になるがモットー。
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