──これまでのキャリアについて教えてください。
学生時代に地域密着型のフリーペーパー事業を立ち上げた経験をきっかけに、経営を学びたいと思うようになりました。就職活動のタイミングでどうするか悩んでいたときに、サイバーエージェント(以下、CA)藤田晋社長の著書に出会ったのです。著書を読んで「藤田さんの下で経営を学びたい」という思いが芽生え、入社を決意しました。メディア・広告関連の仕事を志望していた自分にとって、CAはぴったりの会社でした。

入社後配属されたのは、500人ほどが在籍するインターネット広告事業本部で、ベンチャー企業というよりむしろ大企業に近い印象でした。そこで、「今の部門で結果を出したら、子会社の立ち上げに携わりたい」と上司に思いを伝え、念願かなって入社2年目からCAテクノロジーとCyberZの立ち上げに参画しました。営業部やコンサルティング部の統括を経て、取締役に就任。CyberZでは世界で戦える自社プロダクト事業を目指してサンフランシスコ支社の立ち上げにも携わりましたが、責任者としてアメリカに渡る決意を固めた矢先に会社の方針が大きく変わり、議論の結果、退社の道を選択。グーグルへ転職することにしました。

グーグルには、広告製品やプラットフォームを扱う組織のプレイヤーとして参画。いつか海外と関わるチャレンジがしたいと考えていたなかで、英語を学びながら海外マーケットの知見も得られる環境は魅力的でした。組織のカルチャーや制度、世界トップクラスのプロダクトや人材からも多くの刺激を受けましたね。

3年ほど経ったころ、イスラエルに本社があるSaaS企業、Datoramaからオファーを受け、ダイバーシティを実現する風土と、高品質なプロダクトを一緒につくっていけるフェーズに魅力を感じて入社しました。セールスディレクターとして、自社製品を日本市場で広めるための営業やマーケティングを推進。キャンペーンドリブンな広告業界とは異なり、長期的な目線で売上拡大を目指すSaaS業界特有のアプローチ手法を習得しました。3年後にセールスフォース・ドットコムに買収されたことでM&Aを経験してみたいという夢も実現し、両社の長所・短所を相互に補完しながら戦略をリードすることができたと思います。
パイオニア モビリティサービスカンパニー Chief Digital Officer 石戸亮さん<br />
サイバーエージェントへ新卒入社。グループ企業2社の取締役として経営に携わった後、グーグルへ入社し、データを活用した統合マーケティング支援や、世界中のGoogleオフィスと協業。その後イスラエル創業のDatoramaでSaaSを提供。セールスフォース・ドットコムによるDatorama買収によりPMIをリード。2020年4月パイオニア入社。モビリティサービスカンパニーのChief Digital Officerを務める。
パイオニア モビリティサービスカンパニー Chief Digital Officer 石戸亮さん
サイバーエージェントへ新卒入社。グループ企業2社の取締役として経営に携わった後、グーグルへ入社し、データを活用した統合マーケティング支援や、世界中のGoogleオフィスと協業。その後イスラエル創業のDatoramaでSaaSを提供。セールスフォース・ドットコムによるDatorama買収によりPMIをリード。2020年4月パイオニア入社。モビリティサービスカンパニーのChief Digital Officerを務める。
──なぜパイオニアに転職したのですか?
マーケターの先輩方から「経営・マーケティング・テクノロジーの3つを網羅的に理解している人は希少だ。老舗企業のデジタル変革など、事業会社側で大きな結果を出すことにコミットしてみたらどうか」とアドバイスを受けたことがきっかけで、その道を探り始めました。

パイオニアに入社を決めた理由のひとつは、投資ファンドの傘下で再生、再成長を目指している名門企業だったからです。厳しい環境下だからこそ、スピード感をもって改革ができるチャンスだと思いました。また、話を聞くにつれて、パイオニアの技術はさまざまな産業の課題解決に役立つ可能性を秘めていると確信したのです。

今はChief Digital Officer(CDO)という立場でモビリティサービスカンパニーに所属。ハードウェアを売り切る組織からSaaS組織への変革や、マーケティングの強化、消費者向けの新しいプラットフォーム事業の立ち上げなどを推進しています。

──今の仕事に活きていると感じる経験はなんですか?
CA時代に経営に携わり、採用や投資、事業撤退などの重要な決断経験を重ねてきたことです。実は、CAテクノロジーでの最初の1年は悩みに悩んでいました。当時29歳で取締役という立場に就きましたが、マネジメントがうまくいかず苦戦したのです。さまざまな決断経験を経て、苦労の末この状況を打開できたことが自身のターニングポイントになりました。広告・CRM・テクノロジー・SaaS・ビッグデータなど幅広い領域に関わってきた経験も、プラスに働いています。

──CDOの役割はなんだと思いますか?
デジタル分野の水先案内人だと考えています。その役割を果たすためには、俯瞰的な経営視点と現場での実行力を兼ね備えていないといけません。現場で顧客と向き合わなければ最先端のテクノロジーに対する感度は薄れていきます。常に現場の感覚を持ち続けながら、いかに経営の視座でデジタルの道を示していけるかが重要です。
──若手デジタル人材へのアドバイスをお願いします。
Can(できること)・Must(求められていること)・Will(やりたいこと)が重なることで価値の高い仕事が実現できます。今、多くの事業会社がデジタルの水先案内人を求めているため活躍の場はたくさんあるはず。自分の経験や価値を言語化し、それを会社や社会が抱える課題と照らし合わせることで、自分・会社・市場が“三方良し”となるキャリアを目指してほしいです。
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【聞き手】
荒川直哉
株式会社マスメディアン
キャリアコンサルティング部 部長
国家資格キャリアコンサルタント
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。年間600名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社のマーケティング・クリエイティブ部門や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。「転職を検討している人材」と「採用企業」の両方の動向を把握しているエキスパート。転職者の親身になるがモットー。
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