Vol.25 ターニングポイントは今。得たものを学びに変換し1秒後に活かせるように キャリアアップナビ
キャリアアップナビでは、マーケティングやクリエイティブ職のキャリアアップについて、毎月テーマをピックアップして解説します。今回は、未上場スタートアップを対象とした推定企業価値ランキング「NEXTユニコーン」で3位にランクインしたTBM(2020年9月末現在、日本経済新聞社調べ)にて、執行役員CMO(最高マーケティング責任者)を務める笹木隆之さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
──これまでのキャリアについて教えてください。
中高で留学していたドイツで歴史ある町並みに感銘を受け、大学では都市計画を専攻していました。学園祭の実行委員や海外一人旅など、企画ごとが好きな学生だったからか、知人から「電通に向いていそう」と言われ、それをきっかけに電通に興味を持つように。電通の仕事は「コンセプトを生み出す仕事」。調べていくうちにそう思い至り、ここで働きたい!と直感したため、就職活動は電通一本に絞りました。面接の準備として、まず会社の歴史を紐解き、会社を導いてきた人たちにアプローチしました。そこで出会った恩師が、元電通社員で永谷園の取締役を務める京裕信さん。月に数回お会いし、昔の電通や広告の未来についてお話しいただきました。
電通で最初に配属されたのはブランドコンサルティング室。その後、先輩の推薦を受けて未来創造グループの立ち上げに参加しました。ここは経営者の「右脳」のサポートを目指し、経営課題にアイデアでアプローチする部署です。最初のミッションは、支援先の新規開拓とプロジェクト化。新しい領域での事業だったので、社内で価値を認めてもらうために他部署の3倍利益を出す、と目標を定めていました。
当初はマネタイズ方法から構築せねばならず試行錯誤を重ねましたが、プロジェクトとしてうまく回り始めると「日本の未来を創造していくスタートアップ企業を支援しよう」という流れが起きたのです。その第1号の案件がTBMでした。TBMは、石灰石を原料とするプラスチックと紙の代替素材「LIMEX(ライメックス)」を開発・製造している新素材メーカーです。当時は素材開発に着手するタイミングで、インナーブランディングを支援しました。環境問題や資源問題にアプローチする事業に強い将来性は感じていたものの、ユニコーン企業になるとまでは想像していませんでしたね。
電通での仕事を続けていく中で、もっと世の中で価値のある仕事をするためには、自分が専門性を高める必要があると考え、30歳で慶應義塾大学政策・メディア研究科の博士課程に入学しました。1年目は学生と会社員の二足のわらじを履き、2年目からは休職し研究に集中。同時に、日本のものづくりの歴史についても見識を広めていきました。その中で観た『官僚たちの夏』というドラマのストーリーがTBMのシナリオとシンクロしていて、はっとしたのを覚えています。一回きりの人生で、自分はどこにいるべきか……。その場所はTBMであるという考えに至り、転職を決意しました。
実は、ドラマを薦めてくれたのは当社CEOの山﨑。転職の誘いのつもりはなかったらしく、「TBMでチャレンジしたい」と伝えた際は非常に驚いていましたね。
コミュニケーション担当執行役員として入社したのですが、当時、マーケティングを担当するメンバーは自分だけでした。最初に注力したのは「LIMEX」のブランディング。その後、仕事の領域はどんどん広がり、TBMのコアバリューであるサステナビリティや、採用・組織開発、BtoC向けのEC事業も担当するようになりました。
TBMのミッションは、素材メーカーという枠組みを超えて、サステナブルな未来をつくること。多くのステークホルダーの期待と責任を背負っているので、なんとしても応えなければなりません。先述したBtoCのEC事業はその一歩です。TBMの技術を世界に認めてもらうには、まずは一人ひとりの生活者からの共感を得ることが必要。ECという顧客接点により、草の根から素材やモノに対する価値観を変えていきたいと思っているところです。
──ターニングポイントはありましたか?
キャリアとは、継続的なプロセスであり、過去の1点の経験だけでは表せないものだと捉えています。ですから、強いて挙げるなら今。日々得られたことを自分の中で学びに変え、1秒後に、明日に活かせるように生きています。大学時代の恩師の村尾修先生が、「20代は積み木をひたすら集め、30代で組み立てろ。40代のときにその積み木で体をなせ。50代で組み立て方、体のなし方を伝えられる人材になる生き方もある」と言っていました。今の自分は、TBMが目指している未来と、自分の視点を合わせながら積み木を組み立てる段階だと考えています。 ──若手マーケターへのメッセージをお願いします。
マーケターに求められる資質は、企業や時代により異なります。自分のスキルをどこで活かしたいのかまず考えましょう。TBMでは、サステナビリティ革命という高い理想を持っています。高い理想を実現するのは難しいと思う反面、ワクワクする感覚もあります。私たちのようにパラダイムチェンジに挑戦する会社では、会社を自分ゴト化できる人が向いていると思います。TBMでも、広告界出身メンバーが、コミュニケーション業務のスキルも活かして活躍しています。
中高で留学していたドイツで歴史ある町並みに感銘を受け、大学では都市計画を専攻していました。学園祭の実行委員や海外一人旅など、企画ごとが好きな学生だったからか、知人から「電通に向いていそう」と言われ、それをきっかけに電通に興味を持つように。電通の仕事は「コンセプトを生み出す仕事」。調べていくうちにそう思い至り、ここで働きたい!と直感したため、就職活動は電通一本に絞りました。面接の準備として、まず会社の歴史を紐解き、会社を導いてきた人たちにアプローチしました。そこで出会った恩師が、元電通社員で永谷園の取締役を務める京裕信さん。月に数回お会いし、昔の電通や広告の未来についてお話しいただきました。
電通で最初に配属されたのはブランドコンサルティング室。その後、先輩の推薦を受けて未来創造グループの立ち上げに参加しました。ここは経営者の「右脳」のサポートを目指し、経営課題にアイデアでアプローチする部署です。最初のミッションは、支援先の新規開拓とプロジェクト化。新しい領域での事業だったので、社内で価値を認めてもらうために他部署の3倍利益を出す、と目標を定めていました。
当初はマネタイズ方法から構築せねばならず試行錯誤を重ねましたが、プロジェクトとしてうまく回り始めると「日本の未来を創造していくスタートアップ企業を支援しよう」という流れが起きたのです。その第1号の案件がTBMでした。TBMは、石灰石を原料とするプラスチックと紙の代替素材「LIMEX(ライメックス)」を開発・製造している新素材メーカーです。当時は素材開発に着手するタイミングで、インナーブランディングを支援しました。環境問題や資源問題にアプローチする事業に強い将来性は感じていたものの、ユニコーン企業になるとまでは想像していませんでしたね。
電通での仕事を続けていく中で、もっと世の中で価値のある仕事をするためには、自分が専門性を高める必要があると考え、30歳で慶應義塾大学政策・メディア研究科の博士課程に入学しました。1年目は学生と会社員の二足のわらじを履き、2年目からは休職し研究に集中。同時に、日本のものづくりの歴史についても見識を広めていきました。その中で観た『官僚たちの夏』というドラマのストーリーがTBMのシナリオとシンクロしていて、はっとしたのを覚えています。一回きりの人生で、自分はどこにいるべきか……。その場所はTBMであるという考えに至り、転職を決意しました。
実は、ドラマを薦めてくれたのは当社CEOの山﨑。転職の誘いのつもりはなかったらしく、「TBMでチャレンジしたい」と伝えた際は非常に驚いていましたね。
──TBMに入社してからの仕事内容を教えてください。
コミュニケーション担当執行役員として入社したのですが、当時、マーケティングを担当するメンバーは自分だけでした。最初に注力したのは「LIMEX」のブランディング。その後、仕事の領域はどんどん広がり、TBMのコアバリューであるサステナビリティや、採用・組織開発、BtoC向けのEC事業も担当するようになりました。
TBMのミッションは、素材メーカーという枠組みを超えて、サステナブルな未来をつくること。多くのステークホルダーの期待と責任を背負っているので、なんとしても応えなければなりません。先述したBtoCのEC事業はその一歩です。TBMの技術を世界に認めてもらうには、まずは一人ひとりの生活者からの共感を得ることが必要。ECという顧客接点により、草の根から素材やモノに対する価値観を変えていきたいと思っているところです。
──ターニングポイントはありましたか?
キャリアとは、継続的なプロセスであり、過去の1点の経験だけでは表せないものだと捉えています。ですから、強いて挙げるなら今。日々得られたことを自分の中で学びに変え、1秒後に、明日に活かせるように生きています。大学時代の恩師の村尾修先生が、「20代は積み木をひたすら集め、30代で組み立てろ。40代のときにその積み木で体をなせ。50代で組み立て方、体のなし方を伝えられる人材になる生き方もある」と言っていました。今の自分は、TBMが目指している未来と、自分の視点を合わせながら積み木を組み立てる段階だと考えています。 ──若手マーケターへのメッセージをお願いします。
マーケターに求められる資質は、企業や時代により異なります。自分のスキルをどこで活かしたいのかまず考えましょう。TBMでは、サステナビリティ革命という高い理想を持っています。高い理想を実現するのは難しいと思う反面、ワクワクする感覚もあります。私たちのようにパラダイムチェンジに挑戦する会社では、会社を自分ゴト化できる人が向いていると思います。TBMでも、広告界出身メンバーが、コミュニケーション業務のスキルも活かして活躍しています。