──これまでのキャリアについて教えてください。
早稲田大学を卒業後、新卒で東急エージェンシーに就職。営業として、エアラインや消費財メーカーなどのクライアントを担当していました。

その後イベントの企画・運営会社を経て、電通PRに転職。理由は、広告業界最大手である電通グループへの憧れと、広告・PR両方の経験はキャリアにプラスになると考えたからです。イベント部に配属され、携帯電話の新機種発売や大手アパレルメーカーの新店オープンなどのイベント、CMの発表会などに携わりましたが、常に考えていたのは「どうすればマスメディアに露出できるか」ということ。メディアに出るか否かで商品の売れ行きが明らかに変わるので、商品の映り方から台本の一字一句まで、こだわって仕事をすることを学びました。

広告会社とPR会社の業務を経験して感じたのは、素敵だと思うクライアントは、自社商品を熱狂的に愛しているという共通点があること。商品への愛情・熱量は、広告・PR会社の一員として複数のクライアントと取引する立場では敵わないと感じ、次は事業会社で働きたいと思うようになりました。そこでご縁があったのがライフネット生命保険です。応募のきっかけは、創業者の出口さん・岩瀬さんが出演していた『カンブリア宮殿』を偶然視聴したこと。「保険業界を変えていきたい、そのためには我が社が必要」と言う二人の話に心を打たれ、次に働くならこの会社がいいと思ったのです。

──入社後はどのようなお仕事をしていたのですか?
2012年に入社しマーケティング部に配属され、広告・広報・サイト制作など幅広く担当していたのですが、2016年の末に、転機となる出来事がありました。副社長が突然大きな予算を託してくれたのです。当時は業績が踊り場にあった時期。その1年ほど前から「プロモーションを強化したい」と提案していたものの、なかなか予算を確保できずにいたので驚きました。

2017年の初頭から提案していた施策を仕掛けることができ、自分で定めたKPIを達成。売り上げにつなげることができました。ちなみに、当時放映したテレビCMの台本は外注せず、自分で執筆しました。創業者の想いや自社商品をより深く理解している人間が書くべきだと強く思っていたからです。

この成功体験を機に予算は少しずつ増えていきました。成果を出しつつも改善点を洗い出すために、マス広告とデジタル広告予算の最適配分をデータサイエンティストと考えていました。

──ライフネット生命での現在の役割を教えてください。
2018年に営業本部マーケティング部長、2021年4月からは営業本部営業企画部長となりました。マーケティング部のミッションは見込み客の流入の最大化。営業企画部のミッションは、マーケティング部を含む営業本部全体の成果の最大化です。任される領域が広がり、新たな挑戦に取り組んでいる感覚です。新卒時代から、クライアントの売り上げに貢献したいという思いがありましたが、自社事業に携わる者としても、この意識はとても大事だと感じています。託された予算を売り上げにつなげることを念頭に、日々仕事と向き合っています。
ライフネット生命保険株式会社 営業企画部長 肥田康宏さん<br />
早稲田大学社会科学部卒業後、東急エージェンシー、イベント企画・運営会社、電通PRを経て2012年にライフネット生命保険に入社。2018年よりマーケティング部長として、広告・広報・サイト運用などを統括。現在は営業企画部長として、予算や運用実績の管理・業績のレポートモニタリングなどを指揮。ライフネット生命保険では、男性で初めて育児休暇を取得。
ライフネット生命保険株式会社 営業企画部長 肥田康宏さん
早稲田大学社会科学部卒業後、東急エージェンシー、イベント企画・運営会社、電通PRを経て2012年にライフネット生命保険に入社。2018年よりマーケティング部長として、広告・広報・サイト運用などを統括。現在は営業企画部長として、予算や運用実績の管理・業績のレポートモニタリングなどを指揮。ライフネット生命保険では、男性で初めて育児休暇を取得。
──ターニングポイントはいつですか?
キャリア全体を振り返ると、1社目での経験でしょうか。年次が1つしか変わらない先輩で億単位のアカウントを背負っている方がいたのですが、その仕事ぶりをすぐ隣で見られたことは糧になっていると感じています。その先輩はクライアントの内部に入り込み、本来部長職がするような仕事までこなしていました。その姿を見て、仕事の成果は年齢で決まるものではないと肌で感じ、甘い学生根性をたたき直してもらいましたね。

──キャリアにおける指針はなんですか?
熱量を持って仕事をすることです。事業会社に転職したのも、商品を愛し、プロモーションの結果に責任を持つためでした。

また、私は昔からテレビが大好きで、今でも毎朝時間をつくり、録画した地上波番組やインターネットテレビを倍速で視聴しています。そのためか、キャリアもテレビの方向へとどんどん近づいてきましたし、これからもずっとテレビに関わる仕事がしたいと思っています。それはテレビCMが、私にとってもっとも購買意欲を刺激される媒体だから。当然、デジタルプロモーションにアンテナは張っていますが、長い目で見るなら、自分が共感できる商材の、共感できる媒体を利用するプロモーションに取り組み続けていきたいです。

──若手マーケターへメッセージをお願いします。
普通の人であること、普通の生活者の感覚を持っていることを大切にしています。企画を立てる際、まず生活者としての自分に刺さるかを、嘘なく見極められるかどうか。伝えたいメッセージに自分自身が共感できなかったら、世間には届かないと考えています。

私にとって優れた広告とは、広告主の売り上げに貢献できるものです。多額の予算をかけた施策を世に出すときには、その金額に見合った成果を出せるかどうか、不安で眠れなくなることも。「広告費は使わなかったら、みんなの賞与になっていたかもしれないお金だ」と、教えてくださった方のことを今でも覚えています。

売り上げに貢献できる企画を生み出すためには、現場や商材、過去の企画について地道に勉強し、足腰を鍛えておかなければいけません。「0」から「1」が生まれることはまずありません。いつでも既存のものの組み合わせにヒントがあると考えています。若いうちに経験や知識を積み重ねておきましょう。クライアント情報や競合情報の収集など、一見つまらない仕事でも、一生懸命取り組むことで、いつか役立つ日が来ます。
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【聞き手】
荒川直哉
株式会社マスメディアン
キャリアコンサルティング部 部長
国家資格キャリアコンサルタント
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。年間600名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社のマーケティング・クリエイティブ部門や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。「転職を検討している人材」と「採用企業」の両方の動向を把握しているエキスパート。転職者の親身になるがモットー。
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