Instagramで大人気のフォトグラファー「もろんのん」に聞く、好きを仕事に・理想の生活をするためのヒント フォトグラファーもろんのんさん
Instagramで9.7万人(2021年7月現在)のフォロワーを集める、人気フォトグラファー「もろんのん」さんに、今回はインタビューを行いました。雑誌『Hanako』内の風景写真やフォトエッセイ『弘中綾香の純度100%』など、もろんのんさんの撮影した多くの写真は高い人気を集めています。
一方で、江藤美帆さんが代表を務めていたスマホの写真売買の事業を手がけるSnapmartや、予約殺到で話題のチーズケーキを販売するMr. CHEESECAKE。これらの企業にも正社員として所属していたもろんのんさん。いままでどのようなキャリアを歩んできたのか、理想の生活をおくるために必要なことはなにか、お聞きしました。
一方で、江藤美帆さんが代表を務めていたスマホの写真売買の事業を手がけるSnapmartや、予約殺到で話題のチーズケーキを販売するMr. CHEESECAKE。これらの企業にも正社員として所属していたもろんのんさん。いままでどのようなキャリアを歩んできたのか、理想の生活をおくるために必要なことはなにか、お聞きしました。
──どのようにしてフォトグラファーの仕事に就いたのですか?
私と写真との出会いは、大学浪人時代のことです。同じ予備校に通っている友人に写真を撮ることが好きな女の子がいたことがきっかけでした。その写真をInstagramというSNSで見られることを知り、私もInstagramを始めました。これがはじまりでした。ようやくLINEが一般的になりmixiからTwitterへ人が移行するころで、Instagramはまったく知られていない時代だったと思います。電車のなかでInstagramを見ている人がいたのなら、「アカウントを教えてください!」と声をかけたくなるほどのニッチなコミュニティでした。 当時のInstagramは本当に写真が好きで、それ以前から趣味にしていたような人が多い環境でした。当然、写真のクオリティも高くて、それらの写真を見ているうちに「この写真たちはどのようにして、撮っているのだろう」と徐々に気になり始めてきました。そして、自分もこんな写真を撮りたいと決起し、一眼レフカメラを購入して趣味で写真を撮り始めました。
大学入学後も撮り続けました。平日は大学に通って、週末にはカメラ仲間と遠出をする。ひまわりが綺麗な時期には、茨城県のひたちなか公園に行ったり、海で朝日を撮るために深夜からドライブをして千葉県の海を目指したり。活発に撮影を行い、その写真をInstagramに掲載する。そのような生活を続けているうちに、Instagramのフォロワーが徐々に増えていくようになりました。そして大学3年生のあるとき、雑誌『Hanako』からトラベルフォトグラファーとしてや、「そうだ京都、行こう。」の広告撮影のお仕事をいただけるようになりました。
──学生のうちに趣味で始めた写真がそのまま仕事になっていったのですね。
当時『Hanako』がリニューアルを図るタイミングで、「#Hanako_Travel」という連載企画のオファーをいただきました。それがきっかけとなり、現在までで30件以上、『Hanako』関連でお仕事をいただいています。仕事の内容は、トラベルフォトグラファーという肩書で、日本国内の観光スポットはもちろん、バリやハワイなど海外にもお仕事で行かせていただき、とても貴重な経験を積ませてもらいました。
一方で、もう一つ気になっている職業がありました。SNSマーケターです。当時Instagramにさまざまな企業が参入したものの、それらの広告を見てみるとフォロワーのことを考えていない、企業側からの一方的なメッセージを押し付けている。そんな印象を持つことが時々あったのです。「自分ならもっとこうするのに…」自分のInstagramでフォロワーを増やしてきた経験と照らし合わせるようになり、少しずつWeb広告にも興味を持ち始めました。
──学生のうちからフォトグラファーとして、仕事をしていたとのことでしたが、そのままフリーランスで仕事をしていこうとは考えなかったのですか?
おっしゃるとおり、WebデザイナーとSNSマーケター、そして大学生ながらすでに仕事をしていたフォトグラファー。この3つのなかで、なにを選ぶのか学生のときはすごく悩みました。そして、結果として私は就活をし、正社員として社会に出ることを選びました。
フリーのフォトグラファーになぜならなかったのか? それは写真を撮ることがコンプレックスになってしまったから。就活中に、グループディスカッションなどでほかの学生が広告業界やマーケティングに対する知識を披露していく場面に出くわすことがありました。そのとき私は、そこで披露される内容がまったく理解できなかったのです。私が写真を撮っている間に、広告の勉強をする人たちがいる。そう思うと、写真しか武器がない自分に焦燥感を持つようになってしまいました。ポジティブに捉えるなら、コンテンツを生み出し、どうやったらたくさんの人に見てもらえるようになれるか?といったことを実践してきた経験とも言えるのですが、当時の自分には耐えられなかった。
だからフォトグラファーとして独立の道は選ばず、正社員としてWebデザイナーかSNSマーケターになれるように、就活を続けていくことを選択しました。あくまでフォトグラファーは副業として。パラレルワーカーとしてキャリアを築いていくことに決めたのです。
そうです。Snapmartでは写真×SNSを組み合わせた提案をクライアントにしていくBtoB営業の仕事を、Mr. CHEESECAKEではオウンドメディアやSNSなどのコンテンツマーケティングと広報の仕事を担当させていただきました。クリエイターがモノを制作する過程の裏側や撮影した写真をクライアントがどのように使うのか。さまざまな立場に立たせてもらえたおかげで多角的な目線でものごとを考えられるようになりました。そのような経験を経て、今年2021年3月にMr. CHEESECAKEを退職し、フリーのフォトグラファーとして現在活動を続けています。
──なぜこのタイミングでフォトグラファーとして独立することを選ばれたのでしょうか?
SnapmartとMr. CHEESECAKEに所属している間もフォトグラファーの仕事は継続し、パラレルワーカーとして働いていました。ありがたいことにたくさんの仕事をいただいていたのですが、徐々に余白の時間をつくることが難しくなってきたのです。具体的に言うと、一週間のうちに平日は会社で正社員として働き、週末はフォトグラファーの仕事をしていました。しかし、フォトグラファーの仕事が増えて、平日の朝や職場での昼休みなどに撮影した写真のレタッチや原稿づくりなどをしなくては、フォトグラファーの仕事を回すことができなくなってきてしまったのです。すると、大きな写真の仕事が来てもうれしくない事態に。また休みがない一週間を過ごすのかと…。そうなったときに、自分にとっての幸せと理想の生活とはなにかを考え始め、自分のやりたいことを一度整理することにしました。
その際に気づいたのが時間の使い方の重要性です。平成、令和と時代を重ねるにつれて、やりたいことが実現できる機会が増えてきたと思います。でも時間は有限のまま。1日は24時間で、1年は365日なのはどのような時代でも変わらない。だからこそ、いまこの瞬間で自分がなにをすべきか、能動的に考えることが大切なのではないでしょうか。
私は2020年5月に、自分のYouTubeチャンネルを開設しました。前々からやりたいと考えていたこともあって、すごく楽しみながら動画を投稿しています。ほかにも個人の仕事で新しいことに挑戦したいと考えたときに、会社の仕事もチームメンバーもプロダクトも本当に素敵な環境だったのですが、だからこそそれぞれ中途半端にしたくないと思い、正社員として働きつつ個人の仕事をするという働き方は、よくないと感じました。そのため個人のお仕事で新しい表現にも挑戦をしていきたい思いが強くなり、独立することを決意しました。
私はここまで、正社員とフリーランス、2つの働き方を経験していますが、どちらの働き方にもいい部分は存在しています。決してどちらかの働き方が優れているというわけではなく、それぞれに向き不向きがあるのです。
そして、いまの自分に適した働き方がなにかを知るためにも、さまざまな価値観に触れていくことが大切だと思います。私の場合は、学生のころから写真というコミュニケーションツールがありました。誰かと一緒に写真を撮りに行ったり、他人の写真を見たり、そうすることで自分とは異なるバックグラウンドを持つ人に出会うことができました。
そのほかにも新しい価値観に出合うことのできるたくさんの方法はありますよね。直接人に会わずとも、いろいろな場所で他人のマインドに触れることをできる。それをどのくらい糧にできるかが、いまを生きていく上でとても大切だと思います。
──オンラインイベントやYouTubeなど、新しい情報接触の機会が増えましたよね。
とはいえ、偏った意見に傾倒しすぎても適切な判断ができない場合もあります。大切なのは、自分が共感できる情報と共感できない情報がなにかをしっかり認識すること。その上で自分が進みたい道とも照らし合わせて、自分だけの武器になるようにカスタマイズしていくと、大きなチャンスに巡り合う機会も増えていくと思います。
「歩いてきた道を振り返ると、一直線に見えるけれど、実はさまよいながら歩いてきた道なんだ」最近見たドラマでこんなセリフがありました。まさしくこれだと思いました。 私は現在、フリーランスで「自分が応援をしたい」と共感したものを世の中により広めるための活動をしています。フォトグラファーやライター、そしてYouTuberとして。しかし、これは正社員として働いた経験があったからこそたどり着けた選択肢でした。
現時点ではフリーランスという働き方を選びましたが、学生の頃に戻ったとしたら就職をする道を迷わずに選びます。その経験があったからこそ導き出せる最適解も確かに存在しています。だから、最適解を導き出すための過程も存分に楽しんでみてください。試行錯誤を繰り返し、自分だけの道を見つけてみてください。
──もろんのんさんのキャリアを紐解きながら、好きな仕事や理想の生活をおくる方法についてお話いただきました。コンテンツが増え続ける時代で、どのように自分の時間を使っていくのか。そのためにも自分の目指すビジョンを明確にしていくことはとても重要になりそうですね。お話いただき、ありがとうございました!
私と写真との出会いは、大学浪人時代のことです。同じ予備校に通っている友人に写真を撮ることが好きな女の子がいたことがきっかけでした。その写真をInstagramというSNSで見られることを知り、私もInstagramを始めました。これがはじまりでした。ようやくLINEが一般的になりmixiからTwitterへ人が移行するころで、Instagramはまったく知られていない時代だったと思います。電車のなかでInstagramを見ている人がいたのなら、「アカウントを教えてください!」と声をかけたくなるほどのニッチなコミュニティでした。 当時のInstagramは本当に写真が好きで、それ以前から趣味にしていたような人が多い環境でした。当然、写真のクオリティも高くて、それらの写真を見ているうちに「この写真たちはどのようにして、撮っているのだろう」と徐々に気になり始めてきました。そして、自分もこんな写真を撮りたいと決起し、一眼レフカメラを購入して趣味で写真を撮り始めました。
大学入学後も撮り続けました。平日は大学に通って、週末にはカメラ仲間と遠出をする。ひまわりが綺麗な時期には、茨城県のひたちなか公園に行ったり、海で朝日を撮るために深夜からドライブをして千葉県の海を目指したり。活発に撮影を行い、その写真をInstagramに掲載する。そのような生活を続けているうちに、Instagramのフォロワーが徐々に増えていくようになりました。そして大学3年生のあるとき、雑誌『Hanako』からトラベルフォトグラファーとしてや、「そうだ京都、行こう。」の広告撮影のお仕事をいただけるようになりました。
──学生のうちに趣味で始めた写真がそのまま仕事になっていったのですね。
当時『Hanako』がリニューアルを図るタイミングで、「#Hanako_Travel」という連載企画のオファーをいただきました。それがきっかけとなり、現在までで30件以上、『Hanako』関連でお仕事をいただいています。仕事の内容は、トラベルフォトグラファーという肩書で、日本国内の観光スポットはもちろん、バリやハワイなど海外にもお仕事で行かせていただき、とても貴重な経験を積ませてもらいました。
フォトグラファー以外の道に
そのようななか、私も大学3年生になり自分の進路を考えるようになりました。当時考えていた進路は、Webデザイナーでした。大学ではプログラミングを学んでいたものの、自分はプログラマーには向いていないと思い、その仕組みを少しでも理解しているWebデザイナーになりたいと考えたのです。一方で、もう一つ気になっている職業がありました。SNSマーケターです。当時Instagramにさまざまな企業が参入したものの、それらの広告を見てみるとフォロワーのことを考えていない、企業側からの一方的なメッセージを押し付けている。そんな印象を持つことが時々あったのです。「自分ならもっとこうするのに…」自分のInstagramでフォロワーを増やしてきた経験と照らし合わせるようになり、少しずつWeb広告にも興味を持ち始めました。
──学生のうちからフォトグラファーとして、仕事をしていたとのことでしたが、そのままフリーランスで仕事をしていこうとは考えなかったのですか?
おっしゃるとおり、WebデザイナーとSNSマーケター、そして大学生ながらすでに仕事をしていたフォトグラファー。この3つのなかで、なにを選ぶのか学生のときはすごく悩みました。そして、結果として私は就活をし、正社員として社会に出ることを選びました。
フリーのフォトグラファーになぜならなかったのか? それは写真を撮ることがコンプレックスになってしまったから。就活中に、グループディスカッションなどでほかの学生が広告業界やマーケティングに対する知識を披露していく場面に出くわすことがありました。そのとき私は、そこで披露される内容がまったく理解できなかったのです。私が写真を撮っている間に、広告の勉強をする人たちがいる。そう思うと、写真しか武器がない自分に焦燥感を持つようになってしまいました。ポジティブに捉えるなら、コンテンツを生み出し、どうやったらたくさんの人に見てもらえるようになれるか?といったことを実践してきた経験とも言えるのですが、当時の自分には耐えられなかった。
だからフォトグラファーとして独立の道は選ばず、正社員としてWebデザイナーかSNSマーケターになれるように、就活を続けていくことを選択しました。あくまでフォトグラファーは副業として。パラレルワーカーとしてキャリアを築いていくことに決めたのです。
さまよったからこそたどり着いた道
──その後、大学卒業後にSnapmartに、そしてそこからMr. CHEESECAKEに所属されたわけですね。そうです。Snapmartでは写真×SNSを組み合わせた提案をクライアントにしていくBtoB営業の仕事を、Mr. CHEESECAKEではオウンドメディアやSNSなどのコンテンツマーケティングと広報の仕事を担当させていただきました。クリエイターがモノを制作する過程の裏側や撮影した写真をクライアントがどのように使うのか。さまざまな立場に立たせてもらえたおかげで多角的な目線でものごとを考えられるようになりました。そのような経験を経て、今年2021年3月にMr. CHEESECAKEを退職し、フリーのフォトグラファーとして現在活動を続けています。
──なぜこのタイミングでフォトグラファーとして独立することを選ばれたのでしょうか?
SnapmartとMr. CHEESECAKEに所属している間もフォトグラファーの仕事は継続し、パラレルワーカーとして働いていました。ありがたいことにたくさんの仕事をいただいていたのですが、徐々に余白の時間をつくることが難しくなってきたのです。具体的に言うと、一週間のうちに平日は会社で正社員として働き、週末はフォトグラファーの仕事をしていました。しかし、フォトグラファーの仕事が増えて、平日の朝や職場での昼休みなどに撮影した写真のレタッチや原稿づくりなどをしなくては、フォトグラファーの仕事を回すことができなくなってきてしまったのです。すると、大きな写真の仕事が来てもうれしくない事態に。また休みがない一週間を過ごすのかと…。そうなったときに、自分にとっての幸せと理想の生活とはなにかを考え始め、自分のやりたいことを一度整理することにしました。
その際に気づいたのが時間の使い方の重要性です。平成、令和と時代を重ねるにつれて、やりたいことが実現できる機会が増えてきたと思います。でも時間は有限のまま。1日は24時間で、1年は365日なのはどのような時代でも変わらない。だからこそ、いまこの瞬間で自分がなにをすべきか、能動的に考えることが大切なのではないでしょうか。
私は2020年5月に、自分のYouTubeチャンネルを開設しました。前々からやりたいと考えていたこともあって、すごく楽しみながら動画を投稿しています。ほかにも個人の仕事で新しいことに挑戦したいと考えたときに、会社の仕事もチームメンバーもプロダクトも本当に素敵な環境だったのですが、だからこそそれぞれ中途半端にしたくないと思い、正社員として働きつつ個人の仕事をするという働き方は、よくないと感じました。そのため個人のお仕事で新しい表現にも挑戦をしていきたい思いが強くなり、独立することを決意しました。
そして、いまの自分に適した働き方がなにかを知るためにも、さまざまな価値観に触れていくことが大切だと思います。私の場合は、学生のころから写真というコミュニケーションツールがありました。誰かと一緒に写真を撮りに行ったり、他人の写真を見たり、そうすることで自分とは異なるバックグラウンドを持つ人に出会うことができました。
そのほかにも新しい価値観に出合うことのできるたくさんの方法はありますよね。直接人に会わずとも、いろいろな場所で他人のマインドに触れることをできる。それをどのくらい糧にできるかが、いまを生きていく上でとても大切だと思います。
──オンラインイベントやYouTubeなど、新しい情報接触の機会が増えましたよね。
とはいえ、偏った意見に傾倒しすぎても適切な判断ができない場合もあります。大切なのは、自分が共感できる情報と共感できない情報がなにかをしっかり認識すること。その上で自分が進みたい道とも照らし合わせて、自分だけの武器になるようにカスタマイズしていくと、大きなチャンスに巡り合う機会も増えていくと思います。
「歩いてきた道を振り返ると、一直線に見えるけれど、実はさまよいながら歩いてきた道なんだ」最近見たドラマでこんなセリフがありました。まさしくこれだと思いました。 私は現在、フリーランスで「自分が応援をしたい」と共感したものを世の中により広めるための活動をしています。フォトグラファーやライター、そしてYouTuberとして。しかし、これは正社員として働いた経験があったからこそたどり着けた選択肢でした。
現時点ではフリーランスという働き方を選びましたが、学生の頃に戻ったとしたら就職をする道を迷わずに選びます。その経験があったからこそ導き出せる最適解も確かに存在しています。だから、最適解を導き出すための過程も存分に楽しんでみてください。試行錯誤を繰り返し、自分だけの道を見つけてみてください。
──もろんのんさんのキャリアを紐解きながら、好きな仕事や理想の生活をおくる方法についてお話いただきました。コンテンツが増え続ける時代で、どのように自分の時間を使っていくのか。そのためにも自分の目指すビジョンを明確にしていくことはとても重要になりそうですね。お話いただき、ありがとうございました!