Vol.31 悩み抜いた結果の選択肢はどれも“当たり”だった キャリアアップナビ
キャリアアップナビでは、マーケティングやクリエイティブ職のキャリアアップについて、毎月テーマをピックアップして解説します。今回は、パルコデジタルマーケティングのコンサルティング二部で担当部長を務める長勇樹さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
──これまでのキャリアについて教えてください。
新卒ではアパレル企業に入社し、ショップ店員、店長、本社での店舗開発部を経験後、広告会社のオックスプランニングに転職。5年間、新規開拓営業に励むなかで、クライアントだった駅ビルの担当者の方の、周辺地域の振興まで考える視野の広さに感銘を受けました。自分も挑戦したいと思い、2010年にアトレに転職しました。
入社直後は大井町店の運営管理を担当。3年ほど経ったころ、本社のマーケティング戦略室に異動になりました。
同部署は「マーケティングをアトレの文化にしたい」と考える社長の直下に新設された部署です。ルーティン業務をこなすのではなく、経営の意思決定に必要な仮説を提供・検証する、シンクタンクのような役割です。定量データから利用シーンや消費行動などの仮説を導くため、ひたすらデータに向き合いました。
一番、手応えを感じたのは2016年4月、アトレ恵比寿西館の開業です。マーケティング戦略室では、館の方向性を位置づけるため、本館の購買データを分析しました。本館は1997年の開業時、「憧れのオフィス街」だった恵比寿に通勤する女性をターゲットとして設計し、成功を収めていました。しかし分析の結果、わかったのは、近隣に住む方がカード会員の4割を占めるということ。かつて憧れた街に、歳を重ねて住むようになった方がメインの利用層だったのです。これに基づき、「住みたい街」に求められるテナントが再考され、西館はカフェやスーパーを増やした構成となり、初動も上々でした。
社長が交代したとき、デジタルマーケティングが私のミッションに加わりました。そこでアトレでのデジタルの役割を「リアル店舗の価値を高めるためにどのようにデジタルを活用するか」と設定し、戦略を練ることに。この時はアプリをクローズして顧客接点の軸をLINEに移行するなどの取り組みを行いました。
当時はデジタルの知見が社内になかったため、社外のセミナーに通い、情報収集に努めました。そこで流通小売業界におけるデジタル活用は注目が集まりつつあり、その可能性を模索している方と多く出会うことに。次第に商業施設という枠組みに留まらずデジタルを軸に仕事がしたい思いが強くなり、2019年にアイ・エム・ジェイに転職しました。
同社では、コンサルタントとしてマーケティングストラテジー事業部に所属。しかし、経営層の方にフレームワークを用いて迅速に対応する手法になかなか適応できず、コンサルタントとしての実力不足を痛感しました。
入社から半年経ち、その先のキャリアが思い描けずにいたとき、アトレ在職中に知り合ったパルコデジタルマーケティングの方に食事に誘っていただきました。実は、入社前にも「長さんには手触り感の少ないマーケティングは合わないのではないか」と心配していただいていたのです。
悩みを相談しているなかで、やはりデジタルにこだわりたい、そして流通小売業界ではデジタルの最先端を行き、「リアルの価値をデジタルで高める」ことに取り組んでいるパルコのグループで働きたいと思うように。気がつくと、その場で転職希望を伝えていました。そして2019年9月に同社へ入社しました。
現在はコンサルティング二部の担当部長として、チームのマネジメントとパルコ以外の流通小売企業へのデジタル支援を担当しています。2021年3月には、グループ会社の大丸松坂屋百貨店のデジタル支援チームを立ち上げました。また、会社として戦略的に取り組むべきと考える案件には、私が中心になって部署横断でチームをつくり、対応します。
──ターニングポイントはありましたか?
現在はこれまでの経験すべてが生きている手応えがあります。そのなかでも、アトレのマーケティング戦略室で、社長の経営判断の基礎となる提言をした経験は貴重でした。3人の社長の下で働きましたが、交代とともにミッションも変わり、当初はデータ分析とそれに基づくマーケティングプラン立案を、次にインバウンドなど新規事業の事業性の検討、最後にはデジタルマーケティングの戦略立案に携わり、マーケターとしてのベースが形づくられました。この経験がなかったらいまのデジタルの道へ進んでいなかったと思います。 ──若手マーケターへのメッセージをお願いします。
何事にも臆さずチャレンジし、自分の道を切り開いてほしいです。私は行動に迷ったときは、挑戦する方を選んでいます。アトレの一ノ瀬社長の言葉ですが、「悩み抜いた結果、2枚のカードが残ったなら、それはどちらも当たり」なのです。だから、自分が選んだ方が当たりだと信じてカードを引く。徹底的に考え抜いた末、合理性だけでは判断できない選択を迫られたときには、直感を信じることも大切です。
新卒ではアパレル企業に入社し、ショップ店員、店長、本社での店舗開発部を経験後、広告会社のオックスプランニングに転職。5年間、新規開拓営業に励むなかで、クライアントだった駅ビルの担当者の方の、周辺地域の振興まで考える視野の広さに感銘を受けました。自分も挑戦したいと思い、2010年にアトレに転職しました。
入社直後は大井町店の運営管理を担当。3年ほど経ったころ、本社のマーケティング戦略室に異動になりました。
同部署は「マーケティングをアトレの文化にしたい」と考える社長の直下に新設された部署です。ルーティン業務をこなすのではなく、経営の意思決定に必要な仮説を提供・検証する、シンクタンクのような役割です。定量データから利用シーンや消費行動などの仮説を導くため、ひたすらデータに向き合いました。
一番、手応えを感じたのは2016年4月、アトレ恵比寿西館の開業です。マーケティング戦略室では、館の方向性を位置づけるため、本館の購買データを分析しました。本館は1997年の開業時、「憧れのオフィス街」だった恵比寿に通勤する女性をターゲットとして設計し、成功を収めていました。しかし分析の結果、わかったのは、近隣に住む方がカード会員の4割を占めるということ。かつて憧れた街に、歳を重ねて住むようになった方がメインの利用層だったのです。これに基づき、「住みたい街」に求められるテナントが再考され、西館はカフェやスーパーを増やした構成となり、初動も上々でした。
社長が交代したとき、デジタルマーケティングが私のミッションに加わりました。そこでアトレでのデジタルの役割を「リアル店舗の価値を高めるためにどのようにデジタルを活用するか」と設定し、戦略を練ることに。この時はアプリをクローズして顧客接点の軸をLINEに移行するなどの取り組みを行いました。
当時はデジタルの知見が社内になかったため、社外のセミナーに通い、情報収集に努めました。そこで流通小売業界におけるデジタル活用は注目が集まりつつあり、その可能性を模索している方と多く出会うことに。次第に商業施設という枠組みに留まらずデジタルを軸に仕事がしたい思いが強くなり、2019年にアイ・エム・ジェイに転職しました。
同社では、コンサルタントとしてマーケティングストラテジー事業部に所属。しかし、経営層の方にフレームワークを用いて迅速に対応する手法になかなか適応できず、コンサルタントとしての実力不足を痛感しました。
──現在の会社に転職したきっかけを教えてください。
入社から半年経ち、その先のキャリアが思い描けずにいたとき、アトレ在職中に知り合ったパルコデジタルマーケティングの方に食事に誘っていただきました。実は、入社前にも「長さんには手触り感の少ないマーケティングは合わないのではないか」と心配していただいていたのです。
悩みを相談しているなかで、やはりデジタルにこだわりたい、そして流通小売業界ではデジタルの最先端を行き、「リアルの価値をデジタルで高める」ことに取り組んでいるパルコのグループで働きたいと思うように。気がつくと、その場で転職希望を伝えていました。そして2019年9月に同社へ入社しました。
現在はコンサルティング二部の担当部長として、チームのマネジメントとパルコ以外の流通小売企業へのデジタル支援を担当しています。2021年3月には、グループ会社の大丸松坂屋百貨店のデジタル支援チームを立ち上げました。また、会社として戦略的に取り組むべきと考える案件には、私が中心になって部署横断でチームをつくり、対応します。
──ターニングポイントはありましたか?
現在はこれまでの経験すべてが生きている手応えがあります。そのなかでも、アトレのマーケティング戦略室で、社長の経営判断の基礎となる提言をした経験は貴重でした。3人の社長の下で働きましたが、交代とともにミッションも変わり、当初はデータ分析とそれに基づくマーケティングプラン立案を、次にインバウンドなど新規事業の事業性の検討、最後にはデジタルマーケティングの戦略立案に携わり、マーケターとしてのベースが形づくられました。この経験がなかったらいまのデジタルの道へ進んでいなかったと思います。 ──若手マーケターへのメッセージをお願いします。
何事にも臆さずチャレンジし、自分の道を切り開いてほしいです。私は行動に迷ったときは、挑戦する方を選んでいます。アトレの一ノ瀬社長の言葉ですが、「悩み抜いた結果、2枚のカードが残ったなら、それはどちらも当たり」なのです。だから、自分が選んだ方が当たりだと信じてカードを引く。徹底的に考え抜いた末、合理性だけでは判断できない選択を迫られたときには、直感を信じることも大切です。