──ポイント投資というアイデアが面白いと思いました。そのアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?
実は、STOCK POINTは私にとって二回目の起業です。独立して一番目に創業したSound-Fは、金融機関をクライアントにコンサルティングを行っている会社でした。そのクライアントとお話をするなかで、金融機関が「貯蓄が投資に回らない」という悩みを抱えていることがわかりました。

「なぜ、投資に一歩を踏み出すのに、いろいろハードルがあるのか?」、「そのハードルを取り除ければ、日本人ももう少しお金の一部を投資に振り分けるようになるのか?」……。Sound-Fの社員とディスカッションをしているなかで、「ポイントで投資体験ができる」というアイデアがありました。その気軽さがいいのではないかと思い、日本とアメリカで特許を取得。そして、2016年9月にSTOCK POINTを創業しました。
──なぜ、Sound-F ではなく、新しい会社でサービスを立ち上げたのでしょうか?
新しく立ち上げようとしているポイント運用サービスは、自社サービスに当たります。Sound-Fは、受託型のサービスを展開している会社です。別の会社で運用したほうが、会社の目的が明確でよいと思ったからです。

STOCK POINTは、株式や投資信託、暗号資産など、価値が変動する金融商品と連動しているポイント「StockPoint」を発行し、運用している会社です。世界初の個別株連動ポイント運用サービスで、2021年12月時点で累計46万人超の方にご利用いただいています。

具体的には、サービスによって使えるポイントが異なりますが、Pontaポイントやクレディセゾンの永久不滅ポイント、三越伊勢丹のエムアイポイント、サイバーエージェントのドットマネー、三菱UFJニコスのグローバルポイントなど、貯まったポイントを利用して、自己資金がなくても、ある特定の銘柄に投資することができる仕組みです。最近のトピックとして2021年10月1日に、三菱 UFJ 銀行と共同で「STOCKPOINT for MUFG」の提供を開始しました。ロールプレイングゲームを楽しみながら、さまざまな銘柄のポイント運用ができるサービスです。まだ、「投資=難しい」というイメージが根強くあるなかで、我々が扱っているポイントに、「遊ぶ」要素を取り入れながら、気軽に楽しんで運用し続けてもらうことで、少しでも多くの方に投資の世界を体験してほしいと思っています。
STOCK POINTのサービス
STOCK POINTのサービス
──「貯蓄から投資へ」と言われているなか、日本で投資が普及しない理由はなんだと思いますか?
日本で投資が普及していない理由は、「株」と「博打」を同じと捉えている人がまだ多いからだと思います。確かに、株式は値段が動きます。しかし、「投資」と「投機」は違います。リスクをコントロールしたうえで、適切に運用することは決して賭博をしていることではありません。その切り分けが、まだまだ日本人の根底で根付いていないように思います。その意識改革の一助をSTOCK POINTで少しでも担えればと思っています。

STOCK POINTが目指す未来は、生活者と資本市場が自然につながる社会を実現していくことです。「生活は生活」「投資は投資」「投資はやったことがないから、勉強しないといけない」……。生活と投資を別の世界のように考えてしまいがちですが、お金という切り口では同じです。

──投資のきっかけをつくろうとしているのですね。生活と投資がつながる社会とは、どのような世界を想像していますか?
生活者は、仕事をしながら生活しています。プロのトレーダーのように四六時中、金融について考えている暇はありません。そのようななかで、自分のお金を賢く使って、育ててほしいです。そう考えると、金融について「勉強しましょう」というよりは、普通の生活のなかで、自然に金融や投資の世界とつながって、お金が少しずつ増えていく。無理なく長く継続できる世界をつくりたい。それが、ポイント投資で実現できるのではないかと思っています。

例えば、A社のお茶を買ったら、StockPointが貯まります。StockPointはA社の株価に連動して価値が変わりますから、そうすると、A社の株式を擬似的に持っていることになります。買ったこと自体が、少額ですが株を持ったことになるのです。普通の生活者が投資するきっかけは、そうした身近なところから始めればいい。難しい金融のことを勉強することから始めるよりは、身近なところで、できる範囲から始めてみて、投資を経験することでだんだん投資のことがわかってきます。普通に日々を過ごしていくなかで、自然と自分のお金が金融市場とつながっていく世界がつくれれば、投資ハードルが下がります。そうすることで、少しずつ投資をする人たちが増えるといいですよね。
また、普通の生活者が、投資に関わっていくのであれば、無理をしないことが重要です。そのためには、短期で成果を出そうとしないで、長期的に投資をしていくことが基本的なスタンスになります。長く関わっていくことで、企業をより理解し、もっと好きになる。そんな好循環が生まれればいいですよね。そうなると、投資家がファンになります。企業のことが好きな方は、選択的にその商品を買うはずです。つまりは、ファンがたくさん購入してくれることで、業績がよくなり、結果として株価が上がる。それによって、ファンが持っている株も増えるという好循環ができるのです。

それが「愛され企業さーち」というサービスにつながっています。StockPointを持っている会員と一緒に、もっと多くの人に、もっと企業のよいところを紹介することで、「みんなで企業を応援したい」、「みんなでこの企業の商品を買いたい」というファンを増やしていきたいです。それと同時に、その企業はファンのため・社会のためにSDGsへの取り組みを加速する、というサイクルをつくりたいと思っています。
愛され企業さーち
愛され企業さーち
──まさに、普段の生活が投資につながり、社会をよくする好循環が生まれる素晴らしい仕掛けですね。
投資によってお金が回ることで、社会や経済がよくなっていくことに間違いないですが、あまり大それたことを考えるより、まずは自分のために。自分の大切なお金を少しでも増やすために投資を始める、でいいと思っています。ちょっとずつが集まっていけば、結果として大きな金額になって、それで社会が変わっていけばいいのですから。

──ポイントを通して普通の生活が投資とつながる。そして、一人ひとりの投資額は少額でも積み重なれば、大きな変化が起こり、社会を豊かにしていく。STOCK POINTが目指す未来にとても共感しました。本日はありがとうございました!
 
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