PR TIMESは11月30日、運営するプレスリリース配信サービス「PR TIMES」において、1月1日から10月31日に企業から発表されたプレスリリース総計30万1976件を対象にデータ分析と総括、業界分析と各種ランキングなどを発表した。

トピックス

  • プレスリリースに登録したキーワードで2023年の企業発表トレンドを振り返るPR TIMESキーワードランキング
  • キーワードランキング月別推移では、コロナ5類引き下げの5月以降は「イベント」が1位をキープ
  • 2023年件数が急増した上昇キーワードは「ChatGPT」「生成AI」「タイパ」
  • 今後増加が期待される注目キーワードは、260種超に多様化する「●●」+「DX」の組み合わせ
  • 業界カテゴリ別分析では、[スポーツ・アウトドア]国際大会開催の「野球」「バスケ」「ラグビー」の変動を分析​​​​​​

キーワードランキングの傾向

下半期は、「イベント」が伸びて1位に。観光・旅行がTOP20入り。

2020年以降、発表の定番キーワードとなった「DX」は、最近では「●●DX」と細分化され、医療・建設といった業界や営業・経理といった職種などに幅広く使われるようになってきたことがわかる。

2023年総合では、「イベント」が1位、「DX」が2位と続く形となった。5月8日以降、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に引き下げられたこともあり、企業活動でもリアル開催するイベントも増え、6月以降は月別に見ても「イベント」が1位をキープという結果となった。同じく上半期で件数が増えた「AI」は後半に少し落ち着いたものの総合で6位と昨年の10位よりランクアップしている。後述する「ChatGPT」や「生成AI」の隆盛にもあるように、今年は「AI」が急進した年と言える。

そして「観光」は初のTOP20位入りとなった。「インバウンド」が1660件で総合89位(2022年356位)、「夏休み」が7月単月で3位(2022年6位)と関連するキーワードの伸びも見られた。

2023年上昇&注目キーワード。●●DXは260種超で約100種が新出

2023年に配信されたプレスリリースに使用されたキーワードの増加傾向を調査し、昨年と比較して特に顕著に増加している上昇キーワードと、今後さらに増加が見込まれる注目キーワードを分析した。

■ 2023年上昇キーワード|「ChatGPT」・「生成AI」
2023年上半期のキーワードランキングでも注目キーワードとして紹介した「ChatGPT」は、2023年中に3863件のプレスリリースで使用され、総合でも24位となった。しかし、月別に見ると6月以降で徐々に順位は落ち着き、流行のピークは3~5月、現在ではビジネスツールの定番の1つとして、活用されていると言える。

一方で、後半にかけて件数と順位を伸ばしたのが「生成AI」で、10月には「ChatGPT」を上回る415件(総合28位)となった。

■ 2023年上昇キーワード|「タイパ」
「タイパ」のキーワード使用は、287件と昨年比28.7倍となった。当初のZ世代内の流行に留まらず、社会全体にその様式に対する需要が高まっている。プレスリリースでは、簡単に作れるレトルト食品や、予約不要のジムなどさまざまな業種業態で使用されている。

消費者行動に起因するキーワードであり、新商品やサービスとの親和性も高く、キーワードの使用件数が増加したと考えられる。また、「タイパ」流行の元と言われる「Z世代」も2021年367件、2022年962件、2023年1412件と増加しており、「Z世代」が企業トレンドに繋がる流行を生み出す状況が今後も続きそうだ。

■ 注目キーワード|自治体DX・医療DX…260種超にも上る「●●DX」が多様化
2020年にコロナ禍とともに頻出キーワードとなり、2021年には総合1位、2022年総合2位、2023年総合2位と定番キーワードとなった「DX」。「●●DX」というように、他と組み合わせたワードも誕生している。2023年に業種や職種と組み合わされた「●●DX」のキーワードは266種あり、その内2022年にはなく、新出したものは97種にのぼる。

業種や職種に対してDXをもたらすためのサービスなどの発表が多く、特に自治体や行政に加え、建設、不動産、医療、物流といった産業に向けられたサービスが多く、キーワード件数も上位となった。社会全体でDXが進むなかで、今後も新しいサービスが発表されることが予想される。

■ 注目キーワード|AIやDXの広がりに伴い期待される「省人化」
「省人化」は、2021年77件、2022年159件、2023年213件と年々その件数を増やしている。また、起因するように「人手不足」のキーワードが2021年120件、2022年212件、2023年505件と、この1年でもその件数は2倍超となっており、キーワードランキングでも上位にランクインしているように「DX」の普及や「AI」の広がりがビジネスにもたらす業務効率化に伴い、「省人化」というキーワードが使用されることが予測できる。ビジネスサービスでも訴求しやすく、一般商材に向けても活用が想像できるキーワードであることからも企業発表のトレンドとなることが期待される。

業界カテゴリ別動向|国際大会が開催された野球・バスケ・ラグビーの月別変遷は?

<スポーツ・アウトドア> 国内リーグや国際大会開催に合わせて盛り上がりを見せる
 
[スポーツ・アウトドア]カテゴリでは、今年国際大会が開催され大きく盛り上がった「野球」「バスケットボール」「ラグビー」の月別のカテゴリ内順位の推移をグラフにまとめた。

国際大会で盛り上がりを見せるタイミングに合わせて、企業発表でも多く使用されるキーワードとなっている。「野球」は国際大会が開催された3月に3位と年間を通じた最高順位となった。8月~10月にかけては、「バスケットボール」の国際大会開催からリーグ開幕が続き、順位を徐々に高める結果が見られた。「ラグビー」についても、国内リーグ決勝が行われる5月(29位)と、国際大会が開催された9月~10月(9月:19位、10月:20位)に向けては順位が上がった。

<ネットサービス・アプリ> 中盤はAIが席巻も9月、10月と勢い落ち着き1位はならず
昨年までは「DX」が1位を独占していた<ネットサービス・アプリ>カテゴリでも、3月以降には「AI」の勢いを感じるところとなり、5月~8月は「AI」が月間1位となった。しかし、9月10月と「DX」が巻き返し年間を通じては1位「DX」、2位「AI」の結果となった。他にも年間を通じて、7位「NFT」、9位「ChatGPT」、10位「ブロックチェーン」、13位「メタバース」と同カテゴリらしく技術的なキーワードが並んだ。