モリサワは、2024年度新書体として、すでに発表済みの写研フォントや同社初の和文バリアブルフォント「DriveFlux」に加えて、世界観づくりにぴったりな和文デザイン書体やグローバルな情報発信にも対応できる多言語書体など、合わせて140以上のファミリー(同じコンセプトで統一された骨格とエレメントから、ウエイトを段階的に変えてつくられた書体のグループ)をリリースすることを発表した。

また、この度の追加ラインナップ発表に合わせ、新書体ティザーサイトを公開した。サイト内では、ラインナップや、新書体のデザイン、特徴をまとめた動画「Morisawa Fonts 2024年度 新書体紹介ムービー」を掲載している。

モリサワフォント2024年度新書体のラインナップ

2024年度は、サイケデリックなアートや音楽からインスパイアされた極太の「虹蛸天国(にじたこてんごく)」のほか、丸い輪のような装飾が楽しげな印象を与える「はるかぜ」、江戸文字からインスパイアされた「てやんでぇ」など、世界観づくりにぴったりなデザイン書体をリリースする。さらに書家による毛筆の文字が元となった「花氷(はなごおり)」など、華やかな筆文字系デザイン書体の選択肢を広げることが可能となる。

明朝体には、2023年にリリースした「欅明朝 Oldstyle」の見出し書体「欅見出明朝」や、「秀英にじみ」シリーズから「秀英にじみ初号明朝」などを新たに追加する。ユニークなファミリー展開が特徴の「Heavy」シリーズなど、デザインに彩りを加える特色豊かな欧文書体も追加されている。

そのほか、グローバルな情報発信にも対応できる多言語フォントがより充実する。オールドスタイルのゴシック体「A1ゴシック」に簡体字や繁体字が、欧文スーパーファミリー「Role」にインドと東南アジアの主要な種類の文字に対応する多言語展開ファミリーが、それぞれ登場する。

SCREENグラフィックソリューションズのヒラギノフォントには、人気書体「こぶりなゴシック」の最も細いウエイト、W0が追加される(※)。
※「ヒラギノ」「こぶりな」は、SCREENホールディングスの登録商標
「こぶりなゴシック」書体見本
「こぶりなゴシック」書体見本

台湾やアメリカのフォントメーカーによる書体も追加

2022年にモリサワグループの一員となった、台湾を代表するフォントメーカーArphic Typesからは、中国語の表現がより豊かになる簡体字・繁体字書体ラインナップを追加する。シンプルで可読性の高いユニバーサルデザイン(UD)書体「AR UDJingxiheiE1」や、柔らかくも力強い印象の「AR ShuYuanSong Text H32」などArphic Typesの代表書体が仲間入りする。また、温かみとリズミカルな動きを表現した「AR Mochi H16C90」や、近未来的な雰囲気の「AR Xinyi」は、翠流シリーズのベースとなった書体だ。和文書体「翠流きら星」や「翠流アトラス」などと合わせて使うことにより、日本語と中国語の両方を必要とする場面でデザインの統一感が生まれる。

アメリカに拠点を置くOccupant Fontsの欧文ライブラリも加わる。Occupant Fontsは、タイプデザイナーとして長いキャリアを持ち、2017年からはモリサワUSAのクリエイティブディレクターとして活躍するサイラス・ハイスミスがリードする書体ライブラリである。シンプルながら遊び心を感じさせる書体「Magmatic」や「Zócalo Text」のほか、目を引く華やかなディスプレイ書体「Occupant Gothic」や「Biscotti」など、バラエティ豊かなラインナップを追加する。欧文組版の選択肢が増えることはもちろん、和文書体との混植や併記利用で、表現の幅も一段と広がる。
Arphic Typesの簡体字・繁体字書体ラインナップ
Arphic Typesの簡体字・繁体字書体ラインナップ
Occupant Fontsの欧文書体ラインナップ
Occupant Fontsの欧文書体ラインナップ
上記以外の書体を含む2024年度新書体の詳細はティザーサイト内の紹介ムービーで確認が可能。新書体は2024年の秋以降順次、フォントサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」などの対象製品を通じて利用可能になる予定である。