テレビ視聴質データの計測・分析を行うTVISION INSIGHTSは、東京2020オリンピックが全体を通してどのように見られていたのかを分析し、発表した。なお今回の指標として、テレビがついているときに視聴者がどれくらい注目しているかを表す、同社独自の「注目度」のような指標「アテンション含有率」を軸としている。

開会式、閉会式はどのシーンが注目された?

TVISIONのデータでは「テレビを見ている視聴者が、注目した場面」を1分単位で出すことができる。このデータをもとに、東京2020オリンピックの開会式と閉会式、それぞれがどのように見られていたのかを分析した。

開会式の見られ方

開会式で一番注目されたのは、20:21ごろ、俳優でダンサーの森山未來さんによるパフォーマンスのシーン。続いて選手団の入場がおよそ2時間かけて行われ、なかでも最後に入場した日本の選手団の入場行進で再び注目が集まった。その後いくつかのプログラムを経て、ジョン・レノンさんの『イマジン』を、各大陸を代表する歌手が歌い上げる映像が流れるところまで注目を維持している。最後は聖火が会場に到着し、吉田沙保里さんと野村忠宏さんから聖火を引き継いだ長嶋茂雄さん、王貞治さん、松井秀喜さんが走る場面で注目が高まった。


閉会式の見られ方

閉会式で一番注目されたのは開始6分、日本の国旗掲揚のシーン。その後、1964年の東京オリンピック開会式で流れた「オリンピック・マーチ」を入場曲として、それぞれの国や地域の旗手が入場するシーンでも注目されていた。その後選手入場があり、東京スカパラダイスオーケストラによるショーまで、注目を維持した。21:35ごろから、2024年の開催都市であるフランス・パリへと引き継ぐセレモニーが開始。パリの街並みをBMXの選手が上に下にと走りめぐる映像が始まると、そこでも注目が集まった。

視聴者が一番熱狂した競技とは?

オリンピック全体を通して、どのような競技が注目を集めたのかを分析したところ、個人全体の1位は「スケートボード 男子ストリート決勝」となった。スケートボードは本大会から採用された競技で、堀米雄斗さんが初代金メダリストとなり、多くの注目を得た。

また、男女別では見られた競技が大きく異なる結果に。男性は1位~3位すべてがサッカーで、PKまでもつれた末に日本の準決勝進出が決まったニュージーランド戦が1位となった。対する女性は、1位が閉会式、2位と3位はどちらも団体競技がランクインした。

属性別でみるオリンピックの注目度は?

7月23日~8月8日のオリンピック期間中のテレビ番組ランキングの上位20番組のうち、何番組がオリンピック番組だったのかを、属性別でまとめた。男性では、上位20番組中18番組もランクインしており、圧倒的にオリンピック番組に釘付けになっていたことがわかった。男性に続いて「男女35~49歳」の注目度も高くなっていた。

テレビ離れと言われている若年層のなかでも、「男女13~19歳」では10番組がランクインしており、オリンピックに注目していたと言えそうだ。「男女35~49歳」、「男性全般」の注目が高いことから、普段はあまりテレビに注目していなくても、オリンピックは家族で一緒に見ていたということも推測される。また、「男女50歳以上」は、普段とあまり変わらないテレビの見方をしていた可能性がある。

通常期よりオリンピック期はテレビに釘付けになっていたのか?

オリンピック期と通常期でテレビの注目がどれほど変化していたのかについて、属性別にまとめた。普段より最も見ていたのは「男女4~12歳」の平日お昼で、通常期より6.5%も多くテレビに注目していたことになる。夏休みの影響も考えられるが、概ね若年層は通常期よりじっくりとテレビを見ていたことがわかる。