Vol.55 固定観念にとらわれない「何でもあり」の発想で広報部長がメディア出演 キャリアアップナビ
キャリアアップナビでは、マーケティングやクリエイティブ職のキャリアアップについて、毎月テーマをピックアップして解説します。今回は、サンコーで執行役員 広報部部長を務める﨏晋介(えきしんすけ)さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
──大学卒業後は車の販売会社に就職されたそうですね。
就職先を決めた理由のひとつに学生時代のアルバイトでの経験があります。データ入力のアルバイトをしていたのですが、頑張っても少々サボっても時給は同じ。それが納得できず、成果が評価に反映される仕事に就きたかったんです。それで選んだのが、車の販売会社でした。
正直言って興味があったのは「営業で成果を上げる」ことだけで、商材にこだわりはありませんでした。だからこそ手法や慣習にとらわれず、成果を出すことだけを追求できたと思います。例えば、僕は飛び込み営業やポスティングには、小回りが効いて効率がいい自転車を使っていました。同僚たちは「車の営業は車で行く」が唯一の正解だと考えていました。でも営業成果が目的なら、そのやり方はひとつではない。そう工夫を重ねた結果、新人の中で営業成績はトップになりました。
このような考え方の背景には、子どもの頃の経験があるかもしれません。実は僕は中学生くらいまで、引きこもりでした。だから、誰かに物事の正解を教わるという経験が圧倒的に少なかった。やりたいことをかなえる方法は、自分で考えるしかありませんでした。
その後、周りの人より2年遅れで商業系の高校に入りました。そこでは勉強もできる明るい人になりたい、年下の同級生たちのお手本のような存在になりたい、と目標を立てました。目標を達成するために、簿記の資格の勉強法やコミュニケーション能力の高め方などを幾通りも考え実行するのはすごく楽しかったですね。
ディーラーの仕事をした後、何度か転職をしたのですが、職種はずっと営業職。広報業務を初めて経験したのは、前職の韓国資本の雑貨商社で、新規事業だった家電事業の営業をしていたときでした。知名度ゼロからの出発なので、小売店に1軒ずつ営業していくのは時間がかかりすぎる。できれば、小売店側から「取り扱いたい」と言ってもらいたい。そこで、メディアに取り上げてもらえたら一番効率よく売れるのではないかと考え、営業部からプレスリリースを出すことにしました。
もちろんプレスリリースをつくるのは初めてだったので、ノウハウ本を5冊読んで見よう見まねで書きました。それを持ってメディアキャラバンをしたところ、家電情報サイトに取り上げてもらえて。そこから新聞に載り、さらにその記事が「笑っていいとも!」などのテレビ番組で紹介されるという連鎖が起き、小売店からの問い合わせが殺到。メディアの影響力を実感しましたね。当時はメディアへの働きかけも営業の一環だと思っていて、自分が広報を担当することになるとは思いもしませんでした。
──現職のサンコーも、最初は営業だったのですね。
「アイデア家電メーカー」という呼び名の通り、面白くて役に立つモノづくりの姿勢が好きで、2015年にサンコーへの入社を決めました。
入社当時は営業と兼任で、時々プレスリリースを書いていました。商品を売るには営業も大事ですが、商品がメディアで紹介されると、その効果は商品の売上にとどまらず、会社全体に波及します。社内でもそんな実感があり、広報業務の比重も大きくなっていったので、会社に直訴して僕ひとりで広報部門を立ち上げました。
広報専任になって特に力を入れたのが、僕自身が「ekky(エッキー)」というキャラクターとしてメディアに出演すること。営業との兼任時代にも「ekky」としてテレビに出たことはありましたが、白いシャツにエプロンという地味な格好。それを、華やかなタレントさんと並んでも見劣りせず、面白い会社というイメージをつけるために、オレンジ色のシャツと蝶ネクタイに変えました。メディア向けのニュースレターにも、「ekky」の紹介を必ず載せています。タレントを起用する予算がなくても、「ekky」だけで番組を面白くできる。そんなイメージを番組制作会社の方に持ってもらうためです。
最近は、「ekky」を見ればサンコーを想起してくれる人が増えてきました。今後は僕の露出をさらに増やす作戦で、会社の知名度向上を目指します。これまでにドラマやミュージックビデオ、アニメへの出演を果たし、ラジオのレギュラー番組も始まりました。こうなってくると、声がすごく大事。今は自費でボイストレーニングに通っています。コンテンツへの貢献が、サンコーの評判に結びつきますからね。 広報がここまで自分をキャラクター化することはあまり例がないと思います。しかし、何事も正解はひとつじゃない。広報の本質、「メディアや社会との関係づくり」につながるなら、やり方は何でもありです。成果を上げるコツは、自分自身が楽しめる手法を選ぶこと。僕はメディアに出るのがすごく好きなので、モチベーション高く「ekky」を続けられるのだと思います。
就職先を決めた理由のひとつに学生時代のアルバイトでの経験があります。データ入力のアルバイトをしていたのですが、頑張っても少々サボっても時給は同じ。それが納得できず、成果が評価に反映される仕事に就きたかったんです。それで選んだのが、車の販売会社でした。
正直言って興味があったのは「営業で成果を上げる」ことだけで、商材にこだわりはありませんでした。だからこそ手法や慣習にとらわれず、成果を出すことだけを追求できたと思います。例えば、僕は飛び込み営業やポスティングには、小回りが効いて効率がいい自転車を使っていました。同僚たちは「車の営業は車で行く」が唯一の正解だと考えていました。でも営業成果が目的なら、そのやり方はひとつではない。そう工夫を重ねた結果、新人の中で営業成績はトップになりました。
このような考え方の背景には、子どもの頃の経験があるかもしれません。実は僕は中学生くらいまで、引きこもりでした。だから、誰かに物事の正解を教わるという経験が圧倒的に少なかった。やりたいことをかなえる方法は、自分で考えるしかありませんでした。
その後、周りの人より2年遅れで商業系の高校に入りました。そこでは勉強もできる明るい人になりたい、年下の同級生たちのお手本のような存在になりたい、と目標を立てました。目標を達成するために、簿記の資格の勉強法やコミュニケーション能力の高め方などを幾通りも考え実行するのはすごく楽しかったですね。
──どのようなきっかけで広報をやることに?
ディーラーの仕事をした後、何度か転職をしたのですが、職種はずっと営業職。広報業務を初めて経験したのは、前職の韓国資本の雑貨商社で、新規事業だった家電事業の営業をしていたときでした。知名度ゼロからの出発なので、小売店に1軒ずつ営業していくのは時間がかかりすぎる。できれば、小売店側から「取り扱いたい」と言ってもらいたい。そこで、メディアに取り上げてもらえたら一番効率よく売れるのではないかと考え、営業部からプレスリリースを出すことにしました。
もちろんプレスリリースをつくるのは初めてだったので、ノウハウ本を5冊読んで見よう見まねで書きました。それを持ってメディアキャラバンをしたところ、家電情報サイトに取り上げてもらえて。そこから新聞に載り、さらにその記事が「笑っていいとも!」などのテレビ番組で紹介されるという連鎖が起き、小売店からの問い合わせが殺到。メディアの影響力を実感しましたね。当時はメディアへの働きかけも営業の一環だと思っていて、自分が広報を担当することになるとは思いもしませんでした。
──現職のサンコーも、最初は営業だったのですね。
「アイデア家電メーカー」という呼び名の通り、面白くて役に立つモノづくりの姿勢が好きで、2015年にサンコーへの入社を決めました。
入社当時は営業と兼任で、時々プレスリリースを書いていました。商品を売るには営業も大事ですが、商品がメディアで紹介されると、その効果は商品の売上にとどまらず、会社全体に波及します。社内でもそんな実感があり、広報業務の比重も大きくなっていったので、会社に直訴して僕ひとりで広報部門を立ち上げました。
広報専任になって特に力を入れたのが、僕自身が「ekky(エッキー)」というキャラクターとしてメディアに出演すること。営業との兼任時代にも「ekky」としてテレビに出たことはありましたが、白いシャツにエプロンという地味な格好。それを、華やかなタレントさんと並んでも見劣りせず、面白い会社というイメージをつけるために、オレンジ色のシャツと蝶ネクタイに変えました。メディア向けのニュースレターにも、「ekky」の紹介を必ず載せています。タレントを起用する予算がなくても、「ekky」だけで番組を面白くできる。そんなイメージを番組制作会社の方に持ってもらうためです。
──ekkyこと﨏さんは今後どうなっていきますか?
最近は、「ekky」を見ればサンコーを想起してくれる人が増えてきました。今後は僕の露出をさらに増やす作戦で、会社の知名度向上を目指します。これまでにドラマやミュージックビデオ、アニメへの出演を果たし、ラジオのレギュラー番組も始まりました。こうなってくると、声がすごく大事。今は自費でボイストレーニングに通っています。コンテンツへの貢献が、サンコーの評判に結びつきますからね。 広報がここまで自分をキャラクター化することはあまり例がないと思います。しかし、何事も正解はひとつじゃない。広報の本質、「メディアや社会との関係づくり」につながるなら、やり方は何でもありです。成果を上げるコツは、自分自身が楽しめる手法を選ぶこと。僕はメディアに出るのがすごく好きなので、モチベーション高く「ekky」を続けられるのだと思います。