1 経歴や仕事・家庭の状況は?

──日本ロレアルは、「世界をつき動かす美の創造」をパーパスに掲げるロレアルグループの日本法人です。「ロレアル パリ」をはじめ、「イヴ・サンローラン・ボーテ」「キールズ」「シュウ ウエムラ」「ランコム」など、知らない人はいない人気の化粧品ブランドを18も展開。ジェンダーギャップの解消に向けた取り組みにも積極的で、女性社員比率は60%超、女性管理職の割合は54%に達しています(2024年1月末時点)。

今回は、その日本ロレアルで、デジタルを中心としたコミュニケーションプランの策定などを手掛ける三輪さんを取材しました。まずは、ご自身のご経歴や育児休業の取得状況について、お話を伺いました。
──ご経歴について、簡単に教えてください。
2019年に中途採用で日本ロレアルに入社し、デジタルマーケティングマネジャーとして当時展開していたロサンゼルスの化粧品ブランドを担当しました。

その後、同じ事業部内で異動があり、「ロレアル パリ」というブランドのオンラインブランドマネジャーとして、EC事業を担当。

2022年8月に、デジタルトランスフォーメーションチームに異動しまして、現在は、「メイベリン ニューヨーク」と「ロレアル パリ」の消費者向けのデジタルコミュニケーション戦略の策定・実行をするチームのマネジャー職です。

──日本ロレアルに入社する前は、どのようなお仕事をしていたのでしょうか。
10年近く、広告会社でデジタル関係の仕事に携わりました。いわゆるブランディング広告からWebマーケティングのコンバージョンまでを手掛けるような、デジタル領域の広告の仕事を経験しました。

──お子さんの出産時期を教えてください。
2020年10月から産休に入り、11月に出産して、2021年7月まで育休を取得した後、同じ職場の同じポジションで復帰しました。職場を離れた期間は、9カ月ほどです。一般的には短い方かもしれませんが、それもロレアルっぽいなと自分でも思っています。働くことが好きな人が多い環境なんですよね。

私自身も産休・育休に入ってみると、子どもとしか接さず一日無言の日もあるので、これで大丈夫かしらと思うようになり…。早めの復帰を選択しました。

保育園は、0歳児だったこととちょうどコロナ禍の真っ最中だったことで、多くの人が行くのを控えたタイミングだったのかもしれません。すんなり入園できました。

──職場復帰の際の周囲の反応は、いかがでしたか。
職場には同じポジションで戻れましたので、安心感がありました。チームには年次の若いメンバーが多く、25人くらいの組織でワーキングマザーは私を含めて2名でしたが、そんな中で温かく迎え入れてくれて、またリスペクトしてくれるのが、本当にありがたかったなと思います。

夫は私のキャリアをポジティブに応援してくれるタイプの人で、夫自身も育児休業を取って一緒に子育てをし、私が復帰しやすいようにしてくれました。

──ワーキングマザーが少ないという点で、不安はありませんでしたか。
大きな不安はなかったです。ちょうど私が復帰したタイミングで産休に入ったメンバーがいましたし、営業など別の組織のワーキングマザーとは情報交換もしていたんです。子どもが風邪を引いた時は、自治体が運営している病児保育のサービスについて教えてもらったり、素敵な公園の話を聞いたり。また、ワーキングファーザーは周囲にも何人かいて、普段から子育てトークをしています。

ロレアルは「声を上げると変えられる」という社風かなと思っています。例えば、在宅勤務は月10日間までというルールはありますが、子どもがインフルエンザで保育園に行けず超えてしまう場合には、相談できる会社です。そういう面も安心感はありますね。

──会社の人事制度やサポートで役に立ったものはありますか。
いろいろあるのですが、特に2点あります。

1点目は「ワーキングペアレンツ手当」。出産後3カ月ごとに30万円、1年間で合計120万円の手当が支給されるという会社独自の制度です。お金の面での不安が和らぎました。

2点目がハイブリットワークなどの自由な働き方です。会社も推奨しているので、フレキシブルに在宅勤務とオフィス勤務を使い分けながら働けているところが、とてもありがたいです。育児中の社員に限らず、ダイバーシティの意識が社内には根付いているので、どんなライフステージの人でも働きやすい環境への高い意識や、それを求める権利があるという雰囲気です。

今は、時短ではなくフルタイムで勤務しています。若いチームメンバーと、できる限り対面でコミュニケーションを取っていきたいなと思っているので、月に7日くらい在宅勤務をして、残りは出社しています。

2 仕事のやりがいや工夫、働き方については?

──現在、多くの企業が男女問わず、家庭と仕事を両立できるような職場環境づくりに力を入れています。日本ロレアルでは、制度だけでなく、何か問題が起きた時には個々の事情に合わせて相談できるというお話を三輪さんから聞き、その働きやすさに感銘を受けました。それでは三輪さん自身は、どのように仕事をしているのでしょうか? 仕事の大変さとやりがい、その思いを伺うことができました。
──日本ロレアルへの入社を選んだのは、どういった理由でしたか。
グローバルでNo.1の会社で働くというのは、どういう環境なんだろうと興味を持ちました。多くの人が自然とロレアルの製品を使っているぐらい、世界的に見てもトップシェアの化粧品メーカーだったので。

私が社会人になった時からずっと大切にしているのは、人が年を取ることに対して、不安じゃなくて楽しみが増えていくような社会になってほしいということです。

そういう意味では、前職の広告業界の仕事も、「人に情報を伝え新しいものを知ってもらうことで、人々の生活を豊かにしていく」側面がありますが、私にとっては、その延長線上に化粧品もあります。それ自体は生活必需品ではありませんが、使うことで生活に楽しみやワクワク感を与えられるモノに携わる仕事ですし、それを通じて社会をよくしていきたいという思いをずっと強く持っています。

──現在担当している仕事は、具体的にどんなお仕事ですか。
担当ブランドでは、Z世代をターゲットに、主にデジタル領域のメディアプランを立てるのが仕事です。インフルエンサーとの協業が非常に多くて、発信してもらう内容や展開そのものをプランニングしているチームになります。

自分はZ世代ではないので、若いチームメンバーの意見をかなり吸い上げながら進めています。エージェンシーとのやりとりも多いですね。私自身は、一連の業務に携わりながら特にフィジビリティのチェックや予算管理、それとメンバーの育成が主な仕事になります。

──仕事のやりがいや面白みは、どんなことですか。
Z世代という、これからの社会を担っていく方々に向けたコミュニケーションをつくるのは、すごくやりがいがあります。自分とは違う世代なので、チャレンジなんです。そして、常にイノベーションやクリエイティビティをとても必要とされる仕事です。その分、伝わった、そして買ってもらえたという行動変容が起こせた時のやりがいが大きいんです。

──仕事と家事・育児の両立で予想以上に大変なことはどんなことでしたか。
大変じゃないことはないです(笑)。日々、カオスだなと思っていますけど。

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【インタビュアー】
シキノハナ
編集者・ライター 兼 華道家。東京都出身。ビジネス雑誌の編集長を経て、複合サービス企業へ転職。約16年間にわたり、広報を軸とした企画業務に携わる。現在はシキノハナを主宰。仕事に、家事に、育児に…と、忙しい女性を心からリスペクトし応援する。
<ホームページ> https://shikinohana.com/
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しゅふクリ・ママクリ
クリエイティブを一生の仕事にしたいと考える方へ、これからのキャリアを提案していくプロジェクトである「しゅふクリ・ママクリ」。キャリアを考えるのに役立つ記事を抜粋してお届けします。
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