──2019年9月に発売された「GABA for Sleep」の開発経緯やコンセプトについて、伺いたいと思います。また、ストレスを低減するというこれまでの「GABA」シリーズとの違いも教えていただけますか?
日本人は世界と比べて睡眠時間が短いといわれています。また日本のビジネスパーソンの8割は睡眠に満足しておらず、満足していない人のなかでなにかしらの対策を講じている人は1割程度だそうです。眠りに対して、漠然と「なにかをしなければ」と思っている人が7割という状況で、睡眠に関する市場はポテンシャルを秘めています。こうした背景のなかでリリースされました。

「GABA」シリーズは、カカオに入っているGABA(γ-アミノ酪酸)によってリラックス効果が高まることに着目し、GABAの摂取によりストレスを低減することで、ビジネスパーソンがパフォーマンスを発揮できるようサポートする商品です。しかし、働き方改革や労働生産性の向上、戦略的休息やオフの充実などが叫ばれるようになった昨今、オンタイムだけでは十分なサポートをしているとはいえないのではないかと考えました。ストレス低減だけでなく、ハイパフォーマンスのサポートをする商品が必要だろうと。
2019年9月24日に発売された、睡眠の質向上に特化した「GABA for Sleep」。2005年に発売された「GABA」は、2016年9月に国内でチョコレートとして2番目の機能性表示食品となった。
2019年9月24日に発売された、睡眠の質向上に特化した「GABA for Sleep」。2005年に発売された「GABA」は、2016年9月に国内でチョコレートとして2番目の機能性表示食品となった。
以前から、GABA成分に睡眠の質を高める機能があることは、研究によってわかっていました。そこで、オンタイムだけではないオフタイムも含め、ビジネスパーソンの1日をトータルで支えていくために「GABA for Sleep」を開発しました。

「GABA」と「GABA for Sleep」では、機能や用途、GABA成分の配合も異なります。ストレス低減のために必要なGABAの摂取量は、1日28mg。一方、睡眠の質を高めるためには1日100mgが必要です。「GABA」は5粒で28mgを摂取しますが、「GABA for Sleep」は3粒で100mgの摂取が可能です。「GABA for Sleep」は、成分をかなり濃縮して含有しているわけです。

また、「GABA」は職場などオンタイムで食べることを想定し、小粒となっています。パクパクと食べることができ、手も汚れることのないようコーティングを施してあります。しかし、「GABA for Sleep」はコーティングをしていません。リラックスできるよう、舐め溶かしながら食べることが可能な仕様で、味もまろやかミルクを採用しています。
2008年グリコ乳業(当時)入社。3年ほど商品開発に携わったのち、マーケティング部へ異動。果汁飲料や幼児向け飲料のマーケティング担当を経て、2019年から「GABA」シリーズを担当。
2008年グリコ乳業(当時)入社。3年ほど商品開発に携わったのち、マーケティング部へ異動。果汁飲料や幼児向け飲料のマーケティング担当を経て、2019年から「GABA」シリーズを担当。
──「GABA for Sleep」の発売後の反響はどうでしたか?
「GABA for Sleep」は、2019年9月24日に発売したのですが、商品発売前の9月2日に、研究や商品に関する発表会が行われました。その報道を見た方々から、「睡眠の質を高めるチョコレートは、どこで売っているのか」といった問い合わせがたくさん寄せられました。

発売前からこうした反応があるのは珍しいことで、問い合わせを下さった方々の世代もさまざまでした。「GABA for Sleep」のような睡眠の問題を解決する商品は、幅広い世代から求められているということを実感しました。

睡眠の問題は、「病」のように重く捉えてしまいがちです。しかし、睡眠導入剤などの薬を試してみることはハードルが高く、気軽に対策を講じにくい。では、チョコレートはどうでしょうか。「GABA for Sleep」を3粒食べるだけという手軽さです。さらに、薬やサプリメントなどより、コストも抑えられて、美味しくて習慣化しやすい面もあります。

──確かに気軽さは違いますよね。習慣化しリピーターも増えそうです。
「美味しくて、睡眠の質も高まった」とリピートしてくださる方も多いです。また、睡眠中だけでなく、次の日のパフォーマンスに良い影響があったと感じたユーザーも、商品のファンになってくださる傾向があります。朝すっきり目覚めたい人やぐっすり眠りたい人など、多くの方に「GABA for Sleep」を試してほしいです。

睡眠の質=○○

──それでは、「GABA for Sleep」に含まれるGABA(γ-アミノ酪酸)の機能について具体的に伺いたいのですが、「睡眠の質」を改善するとは、具体的にどういったことでしょうか?
「睡眠の質」というのは、難しい言葉ですよね。多くの人は「入眠」を想像してしまうと思います。しかし、「GABA for Sleep」で示す睡眠の質とは、「眠りの深さ」と「すっきりとした目覚め」のこと。その点を正しく訴求していきたいです。

睡眠の悩みというのは、世代によって異なりますよね。例えば、若い人であれば朝すっきりと起きられない悩みが多く、年齢を重ねてくると早くに目が覚めてしまうことや夜中に何度も目が覚めてしまうことなどに悩みを抱えているイメージがあります。「GABA」は30代のビジネスパーソンを中心に支持されてきましたが、睡眠に特化した「GABA for Sleep」は若い世代はもちろん、40~50代の女性やシニア層など、これまで接点が弱かった層にまでアプローチできています。

──山上さんは睡眠に悩みを抱えていらっしゃったんですか?
私自身、睡眠の悩みはないと思っていました。それは、寝つきのよいタイプだからです。睡眠の悩みというと、すぐに眠ることができるかどうかで判断してしまいがちですよね。けれども、深く眠れて翌日に高いパフォーマンスを発揮できるかが重要です。すぐに入眠のできる人は、「睡眠の質」の低下に気が付きにくく、実は睡眠の課題を抱えている可能性もあります

私はこれまで朝起きることが苦手でしたが、「GABA for Sleep」を食べるようになって、すっきりと目覚められるようになった気がします。しかし、まだまだGABA成分自体を知らない人も多いです。いまは、ストレス軽減には「GABA」、睡眠の質には「GABA for Sleep」ということを、きちんと伝えていきたいです。

新たな食習慣を

──「睡眠の質」を高める機能を持つGABA成分入りのチョコレートというのは初の試みだったかと思いますが、開発するにあたっての苦労はありましたか?
これまでになかったチョコレートとしての挑戦はいろいろありましたが、最も苦労したのは味です。GABA成分そのものに独特な味があるため、含有量が多いとチョコレートにGABAの味が全面に出てきてしまいます。先ほども述べましたが、「GABA」では5粒で28mgであるのに対して、「GABA for Sleep」は3粒で100mg。かなり高濃度にしなければなりません。しかし、チョコレートとしての美味さは大前提です。そうでなければ、なかなか続きませんから。開発担当者は成分の配合に非常に苦労したと聞いています。

また、一般のチョコレートと差別化するため、「GABA for Sleep」ではチョコレートとしては珍しい、青いパッケージを採用しました。「夜」や「リラックス」をイメージしやすく、気になって手にとってもえればと考えてのことでしたが、これもかなりの挑戦でした。
──今後、「GABA for Sleep」では、どういった展開を考えていますか?
「GABA for Sleep」のヘビーユーザーの方たちから、「出張に持っていきたい」というご意見をいただきました。確かに、出張や旅先など、ベッドや枕が変わったときほど、眠れないということがありますよね。また、ビジネスパーソンにとって、出張は多くの疲労感がともなうものでもあります。

そこで、ホテルなどの業態向けに、3月10日から、業務用の食べ切りポーションタイプの「GABA for Sleep」を発売することになりました。さらに宿泊施設だけでなく、電車や飛行機といった乗り物に乗車している時間にも、アプローチできるのではないかと思っています。

また、日本よりチョコレート消費量の多いヨーロッパでは、おやすみ前にチョコレートを食べることが習慣になっているといいます。日本においても眠るためにチョコレートを食べ、リラックスするという文化を浸透させ、チョコレートを食べる新たなシーンを創出していきたいですね。眠る前に「GABA for Sleep」を食べることが、これからの食習慣になってほしいと思っています。
──短期集中連載でネスレ日本も取材しましたが、「寝る前にノンカフェインコーヒーとチョコレート」といった食習慣が生まれるかもしれませんね。睡眠の質を高め、翌日のパフォーマンスを上げていく。ビジネスパーソンは寝る前の喫食に気をつかう必要がありそうですね。
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