Vol.15 広告会社で培ったプロデュース力を武器に住宅業界に旋風を起こしたい キャリアアップナビ
キャリアアップナビでは、マーケティングやクリエイティブ職のキャリアアップについて、毎月テーマをピックアップして解説します。今回は、“住宅業界の革命児”といわれるBETSUDAI Inc. TOKYOのCEO林哲平(はやしてっぺい)さんに、これまでのキャリアを伺いました。聞き手はキャリアコンサルタントの荒川直哉(あらかわなおや)。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずでは、なかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
──これまでのキャリアについて教えてください。
大学卒業後、映画業界を夢みて大分県から上京し、複数の映画会社を受けましたが全滅でした。そこからはフリーター生活になるのですが、ある日、高い時給を目当てに派遣登録に行ったところ、人材派遣会社から「君は話すのが上手だから正社員で営業をやらないか」と誘われました。ここで、ようやく正社員への道が開けたのです。しかし売り上げを立てられるようになると、成果に対して給与が見合わないと思うように。「それならば起業しよう」と決意。すでに勝ち組のキャリアルートからは外れていたので、稼ぐ手段として躊躇なく独立を決断したのです。こうして人材派遣事業を起業しましたが、すぐに経営の難しさに直面。思うように利益を出せず、再び就職をすることにしました。
入社したのは日之出出版系列の広告会社、「文化企画」です。映画の宣伝業務という求人募集に惹かれ、営業として入社しました。主に映画配給会社や女性ファッションブランドを担当し、広告企画や販売促進に従事。日之出出版の雑誌を扱った提案も多く、年齢や趣味嗜好を考えてターゲティングし、雑誌メディアの特性を活かしたタイアップ企画を仕掛けるプロデュース力が身に付きました。同社には4年、在籍したのですが、映画宣伝の部署が解散。モチベーションを失った私は、地元の大分へ帰郷することに。そこで知人から紹介されたのがベツダイ代表の矢邉でした。
ベツダイは、大分で60年近く続く老舗不動産ディベロッパー。大分の街はベツダイがつくったと言えるほどの大手企業ですが、当時は大きく業績が傾いていました。広告会社出身の私は、業績再建のためのリブランディングをミッションに入社。典型的なデザインの住宅や土地紹介のチラシを見た瞬間に「もっとこうしたらいいのに」という気持ちがあふれてきました。古く堅いイメージを払拭するためのプロモーションやクリエイティブ制作、広報、新規事業開発などを、すべて一人で推進し、企業イメージを変えたことで、業績の回復につながりました。
ベツダイのリブランディング業務と同時並行で「ZERO-CUBE+FUN」という商品をプロデュースしたことです。一人で奮闘し、収益化に成功したとき、桁違いの給与をいただきました。給与明細を見た瞬間、キャリアのステージが上がったと感じました。
「ZERO-CUBE」は価格が安く、立方体の外観をしている既存商品でした。そこに私は、「ムダを削ぎ落としたシンプルなデザイン」「1000万円の家をベースに、自分に合わせてカスタマイズできる“+FUN” の家づくり」というコンセプトを加えました。また、家を建てるときにキーパーソンとなる女性をターゲットとした、ナチュラルテイストのビジュアルに広告を一新。このようにクリエイティブ視点で改良した商品「ZERO-CUBE+FUN」は、2010年度のグッドデザイン賞も受賞しました。受賞を武器に展開した雑誌広告は大きな反響があり、工務店へと販路を広げました。その後は、加盟店を増やすため、全国をがむしゃらに営業活動で奔走しましたね。
この事業が軌道に乗ったとき、初めて「戦略的なマーケティング」へステップを移そうと考えました。東京に事務所を構えて、マーケティング領域を担うメンバーを採用しました。それが、BETSUDAI Inc. TOKYOの始まりです。消費者向けのマーケティングは、加盟店に代わってすべてベツダイが担っています。住宅業界にない新しい視点とアイデアで、クリエイティビティあふれる住宅やライフスタイルのプロデュースを続けていくことで、加盟店300社を超える巨大ネットワークとなりました。
現在は、さらなる事業の拡大に向けて、消費者との接点やブランディングを意識したオウンドメディアに力を入れています。
──過去の経験が今に活きていますか?
顧客と向き合うすべての経験を通じて営業力を、起業からは経営を学びました。なかでも文化企画で培った広告・プロモーションの経験はベツダイの事業に大きく活かされています。例えば、話題性や新たなイメージの獲得を狙い、ファッション・ライフスタイルブランドと協業開発している「コラボ規格住宅」。このようなジョイントマーケティングは、文化企画で鍛えたタイアップ広告の発想が最大限に発揮されていると思います。 ──若手マーケターへのアドバイスをお願いします。
「他が為に」のコミュニケーションを大切にしましょう。私自身、自分の稼ぎのためではなく会社の再建のために、そして徹底的な顧客視点で動くようになったからこそ、ベツダイの事業は成功したのだと思います。そして結果的にそれが功績となって私自身に返ってきました。情けは人の為ならず。他が為に全力を尽くすことが、キャリアアップにつながるかもしれません。
大学卒業後、映画業界を夢みて大分県から上京し、複数の映画会社を受けましたが全滅でした。そこからはフリーター生活になるのですが、ある日、高い時給を目当てに派遣登録に行ったところ、人材派遣会社から「君は話すのが上手だから正社員で営業をやらないか」と誘われました。ここで、ようやく正社員への道が開けたのです。しかし売り上げを立てられるようになると、成果に対して給与が見合わないと思うように。「それならば起業しよう」と決意。すでに勝ち組のキャリアルートからは外れていたので、稼ぐ手段として躊躇なく独立を決断したのです。こうして人材派遣事業を起業しましたが、すぐに経営の難しさに直面。思うように利益を出せず、再び就職をすることにしました。
入社したのは日之出出版系列の広告会社、「文化企画」です。映画の宣伝業務という求人募集に惹かれ、営業として入社しました。主に映画配給会社や女性ファッションブランドを担当し、広告企画や販売促進に従事。日之出出版の雑誌を扱った提案も多く、年齢や趣味嗜好を考えてターゲティングし、雑誌メディアの特性を活かしたタイアップ企画を仕掛けるプロデュース力が身に付きました。同社には4年、在籍したのですが、映画宣伝の部署が解散。モチベーションを失った私は、地元の大分へ帰郷することに。そこで知人から紹介されたのがベツダイ代表の矢邉でした。
ベツダイは、大分で60年近く続く老舗不動産ディベロッパー。大分の街はベツダイがつくったと言えるほどの大手企業ですが、当時は大きく業績が傾いていました。広告会社出身の私は、業績再建のためのリブランディングをミッションに入社。典型的なデザインの住宅や土地紹介のチラシを見た瞬間に「もっとこうしたらいいのに」という気持ちがあふれてきました。古く堅いイメージを払拭するためのプロモーションやクリエイティブ制作、広報、新規事業開発などを、すべて一人で推進し、企業イメージを変えたことで、業績の回復につながりました。
──ターニングポイントはありましたか?
ベツダイのリブランディング業務と同時並行で「ZERO-CUBE+FUN」という商品をプロデュースしたことです。一人で奮闘し、収益化に成功したとき、桁違いの給与をいただきました。給与明細を見た瞬間、キャリアのステージが上がったと感じました。
「ZERO-CUBE」は価格が安く、立方体の外観をしている既存商品でした。そこに私は、「ムダを削ぎ落としたシンプルなデザイン」「1000万円の家をベースに、自分に合わせてカスタマイズできる“+FUN” の家づくり」というコンセプトを加えました。また、家を建てるときにキーパーソンとなる女性をターゲットとした、ナチュラルテイストのビジュアルに広告を一新。このようにクリエイティブ視点で改良した商品「ZERO-CUBE+FUN」は、2010年度のグッドデザイン賞も受賞しました。受賞を武器に展開した雑誌広告は大きな反響があり、工務店へと販路を広げました。その後は、加盟店を増やすため、全国をがむしゃらに営業活動で奔走しましたね。
この事業が軌道に乗ったとき、初めて「戦略的なマーケティング」へステップを移そうと考えました。東京に事務所を構えて、マーケティング領域を担うメンバーを採用しました。それが、BETSUDAI Inc. TOKYOの始まりです。消費者向けのマーケティングは、加盟店に代わってすべてベツダイが担っています。住宅業界にない新しい視点とアイデアで、クリエイティビティあふれる住宅やライフスタイルのプロデュースを続けていくことで、加盟店300社を超える巨大ネットワークとなりました。
現在は、さらなる事業の拡大に向けて、消費者との接点やブランディングを意識したオウンドメディアに力を入れています。
──過去の経験が今に活きていますか?
顧客と向き合うすべての経験を通じて営業力を、起業からは経営を学びました。なかでも文化企画で培った広告・プロモーションの経験はベツダイの事業に大きく活かされています。例えば、話題性や新たなイメージの獲得を狙い、ファッション・ライフスタイルブランドと協業開発している「コラボ規格住宅」。このようなジョイントマーケティングは、文化企画で鍛えたタイアップ広告の発想が最大限に発揮されていると思います。 ──若手マーケターへのアドバイスをお願いします。
「他が為に」のコミュニケーションを大切にしましょう。私自身、自分の稼ぎのためではなく会社の再建のために、そして徹底的な顧客視点で動くようになったからこそ、ベツダイの事業は成功したのだと思います。そして結果的にそれが功績となって私自身に返ってきました。情けは人の為ならず。他が為に全力を尽くすことが、キャリアアップにつながるかもしれません。