XRによって、人間の能力が超次元に生まれ変わる!? イマクリエイト 代表取締役 山本彰洋さん
最近よく耳にするようになったXR(エックスアール)という言葉。現実世界と仮想世界を違和感なく融合し、現実にはない新しい世界をつくりだす技術の総称です。そのなかに含まれるのが、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)の仮想空間技術。そこでXR技術を使った専門技術トレーニングサービスなど、XRの可能性を広げる事業を展開しているイマクリエイトに訪問。代表の山本彰洋(やまもとあきひろ)さんに起業したきっかけから、XRのいまと未来までお聞きしました。山本さんが予想するXRが世の中にもっと浸透した未来とは? 興味深い妄想話も交えつつ、XRの世界を紐解いていきます。
──山本さんは、いつごろから起業を意識し始めましたか?
下町にある実家が小売店を営んでいて、幼いころから商売の現場に触れていました。そのため学生時代から起業したいと思っていました。しかし大学卒業後は、住友商事へ就職しました。10年後を見据えたとき、就職せずにそのまま起業するよりも、商社で経験を積んだほうが役に立つと思ったからです。社会人生活を送るなか意識が変わったのは、トルコに長期駐在していたときです。2016年、トルコクーデター未遂事件が起きました。トルコの空軍が自国の国会議事堂を空爆している様子をテレビの生中継で見たとき「ひょっとしたら明日死ぬかもしれない」と思ったのです。人生一度きり。お金よりも時間を大切に、自分のやりたいことをカタチにしていこうと考えるようになりました。
──やりたいこととは、どのようなものだったのでしょうか。
10億人を相手にするビジネスを手掛けたいと思っていました。ある人にとっては簡単に手に入るけれど、ほかの人にとっては価値のあるもの。例えば、水や空気などの商材をイメージし、バックパックの旅が好きだったことから、体験をシェアできるようなビジネスにしたいと思うようになりました。
そんな思いを抱えながら日本に帰国したのですが、RICOHのTHETAという360度カメラを家電量販店で偶然見かけたんです。視覚と聴覚を簡単に共有できることに、鳥肌が立ちました。偶然にもその年がちょうどVR元年と呼ばれる2016年だったのですが、そこから体験をシェアできる事業をビジネスにしたいという気持ちが強くなりました。 ──構想から起業までどのような流れで進んでいったのでしょうか。
2018年5月に「体験シェアリング」という会社を創業し、2019年1月に法人化しました。その間の約8カ月間は、旅行に特化した360度動画をYouTubeに公開していたのですが、うまくビジネスの波に乗せられませんでした。そこで考えたのが「体験」と「トレーニング」を掛け合わせたスキルアップサービスです。ちょうどMRデバイスであるHoloLens2(ホロレンズ)の発売時期が迫っており、今後のXRの未来を信じて、XRの技術を用いた「体験×トレーニング」サービスへ舵を切りました。それから2019年10月に方向性の合致を理由にVRでトレーニングシステムを開発していた「CanR」という会社と合併し、商号を「イマクリエイト」に変更。現在は体験シェアリングの営業力とCanRの研究開発力、それぞれの強みを活かしながらビジネスを展開しています。
──事業内容をお聞かせください。
一言で言うと、XR領域のソフトウェアを開発する会社です。そのなかで当社の特徴は、VR体験を通じたトレーニングサービスをメインに展開していることです。SF映画の金字塔『マトリックス』の戦闘訓練を思い浮かべてもらえるとイメージがつきやすいと思いますが、お手本となる人の体の動きをデータ化し、VR上で可視化します。その可視化した動きを真似することで技術を習得できるというアプローチです。けん玉やゴルフなどのスポーツから、溶接、注射などの専門技術のトレーニングまで、幅広く対応しています。
2021年9月には、神鋼エンジニアリング&メンテナンスと共同で提供しているVR溶接トレーニングサービス「ナップ溶接トレーニング」が「XR CREATIVE AWARD 2021」で最優秀賞を受賞しました。手前味噌ですが、超一流の熟練技術者に協力をいただき、それを正確にデータ化できたからこそ、このサービスが成り立っているのだと思います。溶接とは金属同士を溶かして接合することですが、溶接の光が明るすぎるためマスクを付けての作業になります。では、これまで新人がどのようにして溶接の技術を学んできたかというと、熟練者の後ろに立って見ているんです。でも、マスクを付けていると暗すぎて手元でなにをしているのかわからない。VR技術を活用することで、いままで見えていなかった熟練者の動きを熟練者と同じ視点で見ることができ、真似しながらしっかり学べるのです。しかも、時間や場所を問わず、実際の金属や設備が必要ないので資源の節約にもつながります。
──バーチャルトレーニングというのは目の付けどころがいいですね。
おそらくVRと技能訓練の組み合わせを実践している会社は、世界でもまだ数少ないと思います。私たちは、「まずはバーチャルでトライしてみる」という未来をつくりたいと思っています。これまで、なにかを学ぶためには、リアルな世界でトライする選択肢しかありませんでした。しかし、溶接のように、実はバーチャルで訓練したほうが、早く習得できることもあります。しかも溶接は、感電したりする危険性もあるので、手軽に体験できるものではありません。そういうものをバーチャルで体験することで、「実は溶接がすごくうまかった」というような自分のあらゆる潜在的な能力に気づくかもしれません。あらゆる人々が新しい可能性を発見するきっかけをつくれるといいですよね。そのために、さまざまな技術をVRを含めてXRで再現できるようにどんどんデータ化していきたいです。
メタバースはコンピューターネットワークのなかにつくられた仮想空間です。オンラインゲーム『フォートナイト』などがメタバースの具体例として挙げられます。そしてXRはスマートフォンやパソコンなどと同じく、メタバースの世界に入り込むための手段です。そのためXRとメタバースは基本的に一緒に発展を遂げていくと私は考えています。
──XRは1つの産業に発展していくのでしょうか?
XRはあくまで手段なので、産業の横軸になっていくと思っています。ただ、仮想空間で過ごすことに価値が高まると、XR業界自体が新しい産業になっていく可能性があると考えます。例えば、24時間のうち8時間を仮想空間で過ごすとなると、XRが生活の一部になります。すると、メタバースのなかでバーチャルな洋服や家が必要になってきます。物理的に1日が24時間というのは変わらないので、リアルで働く時間より、メタバースで仮想の品物を売ってお金を稼ぐ時間のほうが長くなる人も出てくるかもしれません。
その大きな流れのなかで、XR業界には人材が集まってくるはずです。私自身も商社からの転身組です。新しい産業が発展するためには、ほかの業界から優秀な人材が入ってこないといけないと思っています。
──どのような業種の方がXR業界へ参入していますか?
職種を大きく「エンジニア」と「営業」に分けると、エンジニアはゲーム業界出身者が多い印象です。営業でいうと、商社やSIer、広告会社の出身者が多いです。XRは新しい技術なので、シンプルにモノを売る営業とは違います。そもそもXRの技術にどのような価値があるかわからない状態のなか、お客さまをゼロから開拓して、価値を提供していかなければなりません。その対価の付け方も難しいので、利害関係をうまく調整しながら進める必要もあります。なので、巻き込み力のある、商社やSIer、広告会社などの出身者は相性がいいと思います。
先ほど、大きなくくりとしてエンジニアと営業と言いましたが、ほかにもプロダクトマネジャーやデザイナーの役割も大事です。そして、会社の組織が大きくなるにつれて人事や経理の担当者も必要になります。業界が発展すればするほど、さまざまな職種の人材が必要になります。メタバースやXR業界はまさにこれからの業界なので、さまざまな人にチャンスが転がっていると思います。
ヘッドセットを寝ながらかけて一歩も動かない世界が究極のXRの未来だと考えます。数年後の未来であれば、まずはあらゆる人がバーチャル空間で1日数時間過ごすのが現実的な路線だと思います。 もう少し想像を膨らませると、「人間の脳を脆弱な身体で運ぶのはどうなんだ」というような話もあります。脳が得ている情報は目などの身体から入ってくるデータを処理したものです。そういった意味で、現実の身体のほうが人間の脳に合っていない可能性もあり、データをそのまま脳につないだほうが、情報を正しく早く処理できるという発想も出てきます。
──そうなったら人間は別次元の扉を開きそうです。
海にいる生物は長生きするんですよ。だから、水にずっと浸かった状態でヘッドセットを付けてバーチャル生活を続ければ、人間も200年ぐらい生きる未来が待っているかもしれません。その姿をリアルで見ると滑稽ですが、バーチャル世界にいる本人はちゃんと生を実感できています。
そしてこの発想は、まさに映画『マトリックス』の世界と同じ。人は学生時代に影響を受けたものを大人になって社会実装していくものです。いまXR業界で働く人たちはSFの世界観を精神的な支柱にしていることが容易に想像できます。かくいう私も、そのうちの一人です。業界の人たちが目指す未来のために貪欲に研究し続ければ、私たちが生きている間に、永遠に生き続けられる仕組みが生まれるかもしれません。
──妄想的なお話を伺いましたが、現実的な路線として、イマクリエイトはXRの技術を使ってどのような未来をつくっていきたいとお考えですか?
「まずXRでやってみる」がすべての人にとって当たり前になった世の中を実現したいです。規模としては、私が起業したときに思い描いた10億人を対象にするビジネスになりうると考えています。あらゆる行動を軸にできれば、専門職のトレーニングだけではなく、スポーツや伝統芸能など、領域は無限に広がります。その実現にむけて、まずはXRでの「体験×トレーニング」を通して、一人ひとりが持っている能力の可能性を広げていければと思っています。
今は、人の動きをどんどんデータ化しているのですが、最終的には、伝説的なスポーツ選手などの人類の叡智ともいえる動きを保存して、現代から未来へ伝承するXRライブラリーがつくれるといいですよね。トレーニング用や鑑賞用など、さまざまな使い道がありますし、データをAIで解析すれば新しいアプローチも発見できるかもしれません。
──体の動きをデータ化し、XRでトレーニングすることで、能力の向上につなげる。XRによって私たちの身体能力がアップデートされそうな予感がしました。また、XRの未来について、SFのような話も交えお伺いできとても興味深かったです。本日はお話いただき、ありがとうございました!
下町にある実家が小売店を営んでいて、幼いころから商売の現場に触れていました。そのため学生時代から起業したいと思っていました。しかし大学卒業後は、住友商事へ就職しました。10年後を見据えたとき、就職せずにそのまま起業するよりも、商社で経験を積んだほうが役に立つと思ったからです。社会人生活を送るなか意識が変わったのは、トルコに長期駐在していたときです。2016年、トルコクーデター未遂事件が起きました。トルコの空軍が自国の国会議事堂を空爆している様子をテレビの生中継で見たとき「ひょっとしたら明日死ぬかもしれない」と思ったのです。人生一度きり。お金よりも時間を大切に、自分のやりたいことをカタチにしていこうと考えるようになりました。
──やりたいこととは、どのようなものだったのでしょうか。
10億人を相手にするビジネスを手掛けたいと思っていました。ある人にとっては簡単に手に入るけれど、ほかの人にとっては価値のあるもの。例えば、水や空気などの商材をイメージし、バックパックの旅が好きだったことから、体験をシェアできるようなビジネスにしたいと思うようになりました。
そんな思いを抱えながら日本に帰国したのですが、RICOHのTHETAという360度カメラを家電量販店で偶然見かけたんです。視覚と聴覚を簡単に共有できることに、鳥肌が立ちました。偶然にもその年がちょうどVR元年と呼ばれる2016年だったのですが、そこから体験をシェアできる事業をビジネスにしたいという気持ちが強くなりました。 ──構想から起業までどのような流れで進んでいったのでしょうか。
2018年5月に「体験シェアリング」という会社を創業し、2019年1月に法人化しました。その間の約8カ月間は、旅行に特化した360度動画をYouTubeに公開していたのですが、うまくビジネスの波に乗せられませんでした。そこで考えたのが「体験」と「トレーニング」を掛け合わせたスキルアップサービスです。ちょうどMRデバイスであるHoloLens2(ホロレンズ)の発売時期が迫っており、今後のXRの未来を信じて、XRの技術を用いた「体験×トレーニング」サービスへ舵を切りました。それから2019年10月に方向性の合致を理由にVRでトレーニングシステムを開発していた「CanR」という会社と合併し、商号を「イマクリエイト」に変更。現在は体験シェアリングの営業力とCanRの研究開発力、それぞれの強みを活かしながらビジネスを展開しています。
──事業内容をお聞かせください。
一言で言うと、XR領域のソフトウェアを開発する会社です。そのなかで当社の特徴は、VR体験を通じたトレーニングサービスをメインに展開していることです。SF映画の金字塔『マトリックス』の戦闘訓練を思い浮かべてもらえるとイメージがつきやすいと思いますが、お手本となる人の体の動きをデータ化し、VR上で可視化します。その可視化した動きを真似することで技術を習得できるというアプローチです。けん玉やゴルフなどのスポーツから、溶接、注射などの専門技術のトレーニングまで、幅広く対応しています。
2021年9月には、神鋼エンジニアリング&メンテナンスと共同で提供しているVR溶接トレーニングサービス「ナップ溶接トレーニング」が「XR CREATIVE AWARD 2021」で最優秀賞を受賞しました。手前味噌ですが、超一流の熟練技術者に協力をいただき、それを正確にデータ化できたからこそ、このサービスが成り立っているのだと思います。溶接とは金属同士を溶かして接合することですが、溶接の光が明るすぎるためマスクを付けての作業になります。では、これまで新人がどのようにして溶接の技術を学んできたかというと、熟練者の後ろに立って見ているんです。でも、マスクを付けていると暗すぎて手元でなにをしているのかわからない。VR技術を活用することで、いままで見えていなかった熟練者の動きを熟練者と同じ視点で見ることができ、真似しながらしっかり学べるのです。しかも、時間や場所を問わず、実際の金属や設備が必要ないので資源の節約にもつながります。
おそらくVRと技能訓練の組み合わせを実践している会社は、世界でもまだ数少ないと思います。私たちは、「まずはバーチャルでトライしてみる」という未来をつくりたいと思っています。これまで、なにかを学ぶためには、リアルな世界でトライする選択肢しかありませんでした。しかし、溶接のように、実はバーチャルで訓練したほうが、早く習得できることもあります。しかも溶接は、感電したりする危険性もあるので、手軽に体験できるものではありません。そういうものをバーチャルで体験することで、「実は溶接がすごくうまかった」というような自分のあらゆる潜在的な能力に気づくかもしれません。あらゆる人々が新しい可能性を発見するきっかけをつくれるといいですよね。そのために、さまざまな技術をVRを含めてXRで再現できるようにどんどんデータ化していきたいです。
XRのいま
──フェイスブックの「メタバース宣言」を皮切りに、メタバース界隈が熱を帯びてきているように感じます。XRとメタバースの関係について教えてください。メタバースはコンピューターネットワークのなかにつくられた仮想空間です。オンラインゲーム『フォートナイト』などがメタバースの具体例として挙げられます。そしてXRはスマートフォンやパソコンなどと同じく、メタバースの世界に入り込むための手段です。そのためXRとメタバースは基本的に一緒に発展を遂げていくと私は考えています。
──XRは1つの産業に発展していくのでしょうか?
XRはあくまで手段なので、産業の横軸になっていくと思っています。ただ、仮想空間で過ごすことに価値が高まると、XR業界自体が新しい産業になっていく可能性があると考えます。例えば、24時間のうち8時間を仮想空間で過ごすとなると、XRが生活の一部になります。すると、メタバースのなかでバーチャルな洋服や家が必要になってきます。物理的に1日が24時間というのは変わらないので、リアルで働く時間より、メタバースで仮想の品物を売ってお金を稼ぐ時間のほうが長くなる人も出てくるかもしれません。
その大きな流れのなかで、XR業界には人材が集まってくるはずです。私自身も商社からの転身組です。新しい産業が発展するためには、ほかの業界から優秀な人材が入ってこないといけないと思っています。
──どのような業種の方がXR業界へ参入していますか?
職種を大きく「エンジニア」と「営業」に分けると、エンジニアはゲーム業界出身者が多い印象です。営業でいうと、商社やSIer、広告会社の出身者が多いです。XRは新しい技術なので、シンプルにモノを売る営業とは違います。そもそもXRの技術にどのような価値があるかわからない状態のなか、お客さまをゼロから開拓して、価値を提供していかなければなりません。その対価の付け方も難しいので、利害関係をうまく調整しながら進める必要もあります。なので、巻き込み力のある、商社やSIer、広告会社などの出身者は相性がいいと思います。
先ほど、大きなくくりとしてエンジニアと営業と言いましたが、ほかにもプロダクトマネジャーやデザイナーの役割も大事です。そして、会社の組織が大きくなるにつれて人事や経理の担当者も必要になります。業界が発展すればするほど、さまざまな職種の人材が必要になります。メタバースやXR業界はまさにこれからの業界なので、さまざまな人にチャンスが転がっていると思います。
XRの未来
──XRの未来について、山本さんが妄想していることはありますか?ヘッドセットを寝ながらかけて一歩も動かない世界が究極のXRの未来だと考えます。数年後の未来であれば、まずはあらゆる人がバーチャル空間で1日数時間過ごすのが現実的な路線だと思います。 もう少し想像を膨らませると、「人間の脳を脆弱な身体で運ぶのはどうなんだ」というような話もあります。脳が得ている情報は目などの身体から入ってくるデータを処理したものです。そういった意味で、現実の身体のほうが人間の脳に合っていない可能性もあり、データをそのまま脳につないだほうが、情報を正しく早く処理できるという発想も出てきます。
──そうなったら人間は別次元の扉を開きそうです。
海にいる生物は長生きするんですよ。だから、水にずっと浸かった状態でヘッドセットを付けてバーチャル生活を続ければ、人間も200年ぐらい生きる未来が待っているかもしれません。その姿をリアルで見ると滑稽ですが、バーチャル世界にいる本人はちゃんと生を実感できています。
そしてこの発想は、まさに映画『マトリックス』の世界と同じ。人は学生時代に影響を受けたものを大人になって社会実装していくものです。いまXR業界で働く人たちはSFの世界観を精神的な支柱にしていることが容易に想像できます。かくいう私も、そのうちの一人です。業界の人たちが目指す未来のために貪欲に研究し続ければ、私たちが生きている間に、永遠に生き続けられる仕組みが生まれるかもしれません。
──妄想的なお話を伺いましたが、現実的な路線として、イマクリエイトはXRの技術を使ってどのような未来をつくっていきたいとお考えですか?
「まずXRでやってみる」がすべての人にとって当たり前になった世の中を実現したいです。規模としては、私が起業したときに思い描いた10億人を対象にするビジネスになりうると考えています。あらゆる行動を軸にできれば、専門職のトレーニングだけではなく、スポーツや伝統芸能など、領域は無限に広がります。その実現にむけて、まずはXRでの「体験×トレーニング」を通して、一人ひとりが持っている能力の可能性を広げていければと思っています。
今は、人の動きをどんどんデータ化しているのですが、最終的には、伝説的なスポーツ選手などの人類の叡智ともいえる動きを保存して、現代から未来へ伝承するXRライブラリーがつくれるといいですよね。トレーニング用や鑑賞用など、さまざまな使い道がありますし、データをAIで解析すれば新しいアプローチも発見できるかもしれません。
──体の動きをデータ化し、XRでトレーニングすることで、能力の向上につなげる。XRによって私たちの身体能力がアップデートされそうな予感がしました。また、XRの未来について、SFのような話も交えお伺いできとても興味深かったです。本日はお話いただき、ありがとうございました!